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LCC関係者が集う国際会議「CAPA LCCs in North Asia Summit 2017」を6月13日~14日に関空で実施

6/15(木) 18:38配信

Impress Watch

 北アジア地域を中心とするLCC各社のトップマネジメントが集まる「CAPA LCCs in North Asia Summit 2017」が関西国際空港で6月13日~14日の2日間にわたって開催された。

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 航空市場に関する情報・データおよび分析結果を提供する独立系シンクタンクCAPA(Centre for Aviation)が主催する年1回の国際会議で、2016年度は成田で開催している。今回の会議では、「日本におけるLCC需要」「空港民営化」などをテーマに議論が行なわれた。

 はじめに、関西エアポート代表取締役社長の山谷佳之氏が今回の会議を開催することへの感謝を述べ、2016年4月に関空と伊丹(大阪国際空港)の運営を引き継ぎ1年が経過したことを報告。2017年1月に増設されたLCC専用の第2ターミナルビル(国際線)についても触れ「関空のLCCのシェアは国際線が39%、国内線が57%を占めている。今後のLCC需要の動向に適切に対応していきたい」と話した。

 次に、CAPAのマネージングディレクターであるステファン・ピアーズ氏がLCCの現段階の市場について説明を行なった。「LCCは航空需要の変化に大きな影響を与え、重要性を高めている」としたうえで、10年前は5%だったものが、現在は20%まで成長を遂げていることなどを例に挙げ、LCCの認知度は徐々に高まっていると説明。しかし、国際的な規制や空港の発着枠(スロット)不足、GDS(予約・発券システム)などの問題もあり、市場は複雑化されていると伝えた。

 さらに、アジアのLCCの普及率は北アジアで20%、東南アジアでは50%と差があることを指摘し、「北アジアはまだ成長できる可能性がある」と述べた。

■LCCが空港に求めること

 LCCターミナルについて「LCCが空港に求めるものとは」という内容で、ローコスト施設建設の必要性やサービスキャリアのニーズなどについて議論が行なわれた。

 現在日本にあるLCC専用ターミナルは、成田の第3ターミナル(2015年4月開業)、関空の第2ターミナル(2017年1月開業)があり、2019年にはセントレア(中部国際空港)でも開業予定となっている。

 LCC専用のターミナル建設については、「空港自体にLCCを受け入れるキャパがあるならば、わざわざLCC専用のターミナルを作る必要はないのではないか」という意見もあったが、パネラーとして登場した成田国際空港 代表取締役専務の長田太氏は「FSCのターミナルにLCCを移行させてはどうかという意見があったが、基本的な賃料が違うため、LCCにとってはローコストのターミナルを増やすのがいいと思う」と指摘。LCCと空港がどのように共存して進んでいくのかが大切と述べた。

 また、日本におけるLCCの需要と展望についてのパネルディスカッションでは、まず「どのようにLCCの乗客を増やすことができるか」というテーマで、さまざまな観点からディスカッションが進められた。

 ジェットスター・ジャパン 代表取締役会長の片岡優氏によれば、「LCCが日本で就航して5年、当初3%しかなかったキャパシティーが現在は10%に成長している」「まだまだ伸びる余地がある」とした。その理由として、消費者のLCCに対する不安視や抵抗感がなくなってきたことを説明。そのうえで、どのように伸ばしていくかという課題には、パイロット不足を挙げた。

 さらに、ピーチ 代表取締役副社長の森健明氏は、2020年の目標であるインバウンドによる外国客の増加と地方創生による活性化の組み合わせで、日本のマーケットは増えると思うと言及。テーマについては、利用客にいかにLCCを求めさせるかという観点から「飛行機に乗る回数を増やすか」という考えを示した。

 具体的には「安い運賃の提供」「24時間化空港の関空のように、あらゆる時間帯に飛行機が飛んでいること」「お客さんが旅行しようかなと思うときに“させる”こと」の3つの要素が重要だと話した。また国際的な問題であるパイロットの不足について触れた森氏は、「地方と協力してタッチ&ゴートレーニングを行なっている、パイロットを育てることが重要だと考えている」と話した。

 そのほかに、バニラエア 取締役副社長の山室美緒子氏は空港からのLCCターミナルのようなサポートが必要と話したが、一方でとても厳しい発着枠の制限があることがLCCの成長に影響を与えていると問題点を指摘した。また山室氏は、国際線と国内線のバランスの重要性や日本のLCCの質の高さなどにも触れた。

■空港の民営化に重要なのは、地域の協力体制とタイミング

 日本の空港の民営化については、まず初めに、関西エアポート代表取締役社長の山谷氏が順調な1年だったと振り返った。関西エアポートは、関空/伊丹の統合が決まった2011年から5年の準備期間を経て、運営を2016年4月から始めている。関西エアポートの設立には、オリックスとフランスの空港運営会社ヴァンシ・エアポートの大手2社が出資しており、2社間でうまくいくのかという懸念もあったというが、関係も良好だと伝えた。

 国内では、国管理空港の民営化第1号として2016年7月に仙台空港が民営化されている。年間利用者数310万人、90%が国内線としているが、民営化のあとには、初のLCCとなるタイガーエア台湾が就航したことによって、台湾からの旅行者が急激に増加したという。

 仙台国際空港の取締役営業推進部長の岡崎克彦氏は「フライトがあることで東北の経済を豊かに、そして東北にとってプラスになった」と語った。さらに福岡空港でも、民営化を行なうにあたり現在運営者の募集が行なわれている。

 空港民営化について何よりも大切なのは、空港が民営化して順調に進んでいくことであり、そのためには、地域の経済界あるいはさまざまな関係者が民営化した空港を支えていこうという環境が整うこと、機運が盛り上がることが重要であるという。空港の活動自体が活性化することで、地域の活性化、そして日本の活性化につながるとの政府の考えも明らかになった。

トラベル Watch,編集部:峯岸麻美

最終更新:6/15(木) 18:38
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