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<英高層住宅火災>人災か 防火設備に不備 死者17人に

6/15(木) 21:49配信

毎日新聞

 【ロンドン矢野純一】ロンドン西部の高層住宅(24階建て、120室)で起きた大規模火災で、ロンドン消防局は15日、建物内の捜索をほぼ終え、生存者がいないことを明らかにした。ロンドン警視庁は死者は17人に増え、重体は17人と発表。安否が確認できない人も多数おり、犠牲者はさらに増える可能性がある。高層住宅の住民団体からは防火設備の改善などを求める声が再三上がっており、人災的な要素も浮かび上がっている。

 ◇外壁

 現場近くに住むイゼルディンさん(50)は、火災発生から約30分過ぎた14日午前1時半ごろ、高層住宅近くまでたどり着いた。「炎が低層階から中高層階まで壁を伝うように広がっていた」と話す。

 高層住宅では、昨年まで約2年間、約1000万ポンド(約14億円)をかけて、内装や暖房設備のほか、防水効果を高める外壁工事も行った。英メディアは、「外壁に使用された樹脂が火のまわりを早めた可能性がある」との専門家の分析を紹介。炎が外壁を伝って瞬く間に上層階に燃え広がったとみられる。

 ◇警告

 この建物では2013年に漏電による火災が発生。大事には至らなかったが、有志住民で作る組織は、繰り返し防火設備の不備を指摘していた。この組織のウェブサイトによると、昨年11月には、高層住宅の管理会社に対して再三、改善を要求しても無視されている現状を報告。「犠牲者が出るような事態が起きない限り、外部調査は期待できない」と警告していた。同組織は「こうした事態を懸念していたのに管理会社は聞く耳を持たなかった」と批判した。

 管理会社は14日、声明で「指摘を真剣に受け止め、調査を予定していた」と述べた。

 ◇室内待機

 1974年に建てられたこの住宅は、スプリンクラー設置を規定した規則改正前の建築物のため、防火設備が不十分だった。にもかかわらず管理会社は、建物はコンクリートで防火性が高いとして、住民に火災の際は炎が部屋に迫ってくるまでは、室内にとどまるように指導していた。

 妹が9階に住んでいたというマリータさんは「なぜ、部屋にとどまるようにしていたのか。そのために亡くなった人が大勢いる」と不満をあらわにした。

最終更新:6/15(木) 21:49
毎日新聞