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開発者が語る「Life Is Strange: Before the Storm」

6/15(木) 21:47配信

Impress Watch

 今回、「Life Is Strange: Before the Storm」は電撃的に発表された。E3でのスクウェア・エニックスでは「Before the Storm」関連は、メディア関係者のみが入れるクローズドシアターだけが用意されていた。

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 筆者達が取材のため前で待っていると、真っ青な髪の毛の女の子が受付に「このブースはいつ公開するのか、私も中に入りたい、いつなら入れるのか」とすごい熱意で話しかけていた。彼女は「メディアのみで一般には公開されない」と聞いてもなかなか引き下がらず、どうしても見たい、新作の情報が知りたいと、あきらめきれない様子だった。

 女の子の青い髪は、もちろんクロエのコスプレだ。必死に受付に食い下がろうとする彼女からは、彼女がどれだけ「Life Is Strange」が好きか強く伝わってきた。ファンはまさに「Life Is Strange」の新たな物語を待ち望んでいたのである。

 しかし一方で、今回の発表が意外だったことも確かである。「Life Is Strange」は主人公のマックスが“不思議な力”を得たことで進行する物語だ。時を巻き戻す力がゲーム性の面白さを引き出し、テーマ性を強めていた。

 しかし、“前日譚”である「Before the Storm」ではクロエは何ら特殊な力を持っていないのである。そして前作のプレーヤーはクロエとレイチェルがどういう物語を展開しているか“知っている”だろう。「Before the Storm」はどういう思いで作られたのか、今回はデモムービーとショートインタビューが行なわれた。本作の“意味”を探っていきたい。なお、本稿は前作のネタバレを含んでいるので、注意して欲しい。

■寂しいクロエと、秘密を抱えたレイチェル、不器用な2人の友情

 今回、まずは公開されたばかりの「Life Is Strange: Before the Storm First Gameplay」をご覧いただければと思う。このムービーはクローズドブースで公開されたものだが、実はほぼ同時に世界にも公開されていたのだ。あの青い髪のクロエファンの子もこのことを知っていて欲しい。

 19分にもわたる長いムービーだが、英語が苦手な人でもある程度ストーリーがわかると思う。なにより、「Life Is Strange」ファンにはうれしくなる要素満載である。このムービーのポイントや開発者のコメントを紹介していきたい。

【Life Is Strange: Before the Storm First Gameplay [E3 2017]】

 本作に登場するのは父親を亡くし、親友だったマックスも引っ越し以来連絡が取れないという寂しさのどん底にいるクロエだ。彼女はまだ髪を染めていないが、“不良”になるための背伸びを繰り返していて、とても危なっかしい。ヤクの売人までいる“危ないパーティ”にドキドキしながら飛び込んでいる。

 近づくと選択肢が出るなど基本的なインターフェイスは前作そのままだ。違うのはクロエがマックスと比べ、かなり乱暴で無茶な女の子だと言うこと。Tシャツ売りにむかついた彼女は、屋台代わりの車にいたずらをする。そして偶然だが目の前に札束。「盗るか?」、「そのままにするか」……。「Before the Storm」では、いくつもの選択肢が提示され、それを選ぶことでストーリーが分岐していく。そして重大な決断は、その後に大きな影響を及ぼしていく。

 チンピラ達に絡まれたクロエは、逃げるか、挑発するかを選択させられる。ここでの選択は後に大きな影響を及ぼしそうだ。クロエは本当に危なっかしい。そして彼女を助けるのがレイチェルなのである。クロエはレイチェルにあこがれを抱いてるのがよくわかる。そしてヤクの売人であるフランクがレイチェルを気遣う視線……前作をプレイした人にはグッとくる要素だ。

 舞台は変わりレイチェルとクロエに。クロエはレイチェルの激しい感情に翻弄される。カップルを見てはやし立てるクロエに猛烈な拒否感を示し、自分の感情をぶつけ、寂しさに泣き出してしまったクロエにためらいながらも背を向ける。レイチェル自身も大きな秘密を持っていそうだ。クロエとレイチェルは、どんな物語を紡いでいくのだろうか。

 このムービーで面白いのはレイチェルの「面倒くささ」だ。前作ではレイチェルは「行方不明」となっている。彼女の情報は、伝聞ばかりだ。しかし得られた情報は、気さくで、美人で、彼女は学園の人気者だったという。しかし、実際の、クロエに対するレイチェルはちょっと違うようだ。筆者自身抱いていたイメージが大きく揺らいだ。こういった部分もファンには楽しい部分だろう。

 そしてムービーを見た人は、いくつもの疑問が渦巻いているだろう。筆者も浮かんだ疑問を開発者にぶつけてみた。

■レイチェルは実は超めんどくさい? 驚きをもたらす物語

 今回インタビューしたのは開発元であるDeck Nine GamesのリードシナリオライターであるZak Garriss氏。最初の質問はやはり、「なぜ今回、“前日譚”を描いたのか、その意図は何か?」というものだ。Garriss氏は、「今回、どうしても“16のクロエ”を描きたかったんです。3年後に『Life Is Strange』が始まる、父が去り、マックスがいなくなって、彼女にどのような心境の変化があったのか、そこをぜひ描きたかったんです」と応えた。

 そしてつらい時期を過ごしていたクロエに訪れた新しい友達、レイチェルがどのようにクロエを変えていくか、それを書きたかった。そこに面白さを感じたんだと言葉を続けた。

 今回最大の疑問点が前作と大きく異なる“特殊能力の有無”である。クロエは能力を持っていない。しかしGarriss氏は、舞台となるアルカディアベイそのものが不思議な場所であり、謎めいた秘密や特異な現象があり、それは物語に影響を与えるという。

 もう1つ前作のプレーヤーである筆者達ファンにとってレイチェルが、クロエがその後どのようになるかわかっている。本作は必ずその決められたポイントに突き進むのだろうか? それとも選択によってそれは変わるのだろうか?

 「今回描くのは、『レイチェルはいかにして行方不明になってしまったか』ではなく、クロエとレイチェルの出会い、2人がどう関係を育て上げていったかの物語です」と語った上で、「Before the Storm」は「Life Is Strange」に直接的に繋がる“前日譚”ではなく、あくまで本作はレイチェルとクロエの物語という大きなテーマを持っており、新しい物語を描く、ということをGarriss氏は強調した。「前作をプレイした人も、きっと驚くと思います」とのことだ。

 驚いたと言えばレイチェルの性格だ。筆者はあんなめんどくさい気むずかしい女の子だとは思わなかった。Garriss氏は筆者の言葉に笑い、彼女は「学園の女王蜂」であり、スクールカーストの頂点に君臨する女の子だと語った。しかし、実は深く知り合うことでレイチェルのリアルな人間性が明らかになっていく。クロエを通じてレイチェルを知っていくというのもこの作品のポイントだという。

 また“ゲーム性”という意味では「クロエの力」が重要となる。彼女は特殊能力はないが、ひたむきで、強引で、破れかぶれだ。時には彼女の強引さが物語を動かす。「壁をぶち破る力」に期待して欲しいとGarriss氏はコメントした。しかしそれは「特殊能力がなくても物語は描ける」という前作の否定になるような結論ではなく、前作は能力があるからこそ描ける物語だった。今回は別のやり方でキャラクターを掘り下げている、とのことだ。

 前作では本当に選択肢を吟味しないとたどり着けない、例えばクロエが「父親以外の銃を使う」といった到達するのが難しいようなシーンがあった。今回もそういう要素があるのか、という質問にGarriss氏はニヤリと笑い「今回も沢山の選択肢がある。その中には大きな驚きをもたらすものもあるよ。新しいものも沢山盛り込んでいます」と応えた。

 このほかGarriss氏は本作は北米では8月に「エピソード1」が発売され、「エピソード3」まで登場予定なこと、そのプレイ時間は全体で9時間ほどとなり、やりこむこと、選択肢を変えることでたっぷり楽しめると言うことを明らかにした。

 最後にユーザーへのメッセージとしてGarriss氏は「前作のアルカディアベイが帰ってきました。そして新たな秘密も明らかになります。是非楽しみにして下さい」と語った。

 非常に魅力的であり、好評を博した「Life Is Strange」だが、現在のところ日本語版の発売は未定だ。前作は日本語版の吹き替えも評価が高く、筆者も大好きなのだが、今のところ検討段階だという。公式Twitter「Life Is Strange JP」では、日本語化発売希望のアンケートも行なっている。ファンならばぜひ投票して欲しいところだ。

【スクリーンショット】

GAME Watch,勝田哲也

最終更新:6/16(金) 13:07
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