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「ポスト浅田真央」京都が次世代席巻か 宮原知子、本田真凛ら期待の選手輩出

6/16(金) 9:28配信

産経新聞

 高さのあるジャンプや躍動感あふれるステップ、情感豊かな表現力は、まるで氷上の華-。近年、日本人選手の活躍がめざましいフィギュアスケート。女子では、4月に浅田真央選手(26)が現役引退を表明し、「ポスト真央」の台頭が取り沙汰される中、注目されるのが京都出身の選手たちだ。全日本選手権女子3連覇中のエース、宮原知子(さとこ)選手(19)=関大=や、3月の世界ジュニア選手権銀メダリストの本田真凛選手(15)=関大高=、同5位の白岩優奈選手(15)=関大KFSC=はいずれも京都市出身。近年は浅田選手をはじめ、安藤美姫さん(29)、1992年アルベールビル五輪銀メダリストの伊藤みどりさん(47)ら愛知県出身者が活躍していたが、次世代は「京都」が席巻するかもしれない。(小川恵理子)

 「若い世代が台頭しているが、中でも京都出身の選手は技術も高く、頑張っている」。こう評価するのは、スポーツライターの玉木正之さん(65)。「浅田選手が引退して、日本のフィギュア女子は谷間の時期を迎えた」とする中、京都の選手に期待を寄せている。

 まずは宮原選手。4歳から競技を始め、平成23、24年の全日本ジュニア選手権で優勝すると、26~28年の全日本選手権でも優勝。2016(平成28)年の四大陸選手権でも優勝し、日本女子のエースに躍り出た。宮原選手に続くのが本田選手。昨季の世界ジュニア選手権女王に輝いて一躍注目を集めると、今年3月に台北で開催された世界ジュニア選手権でも銀メダルを獲得した。妹に子役として活躍する望結さんがいることでも知られる。さらに、本田選手と同学年の白岩選手がいる。

 いずれも京都市出身の3人は、世界を見据える強化指定選手に名を連ねる。宮原、本田両選手は、日本スケート連盟による3段階の強化指定のうち、「特別強化選手」に指定され、白岩選手も2番手に位置する「強化選手A」ランクの若手の有望株に成長した。

 玉木さんによると、日本の女子フィギュア界には2つの流れがある。1つは、女子選手として初めてトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させた伊藤みどりさんのようなジャンプを得意とする「技術」の選手。もう1つは、2006年トリノ五輪金メダリスト、荒川静香さん(35)のように、滑らかなスケーティングと豊かな「表現力」が持ち味の選手だ。

 その上で玉木さんは「浅田選手はその2つを持ち合わせている」と指摘する。代名詞となったトリプルアクセル。五輪や世界選手権といった大舞台で何度も挑戦するなど浅田選手は現役時代を通してこだわり続けた。一方、浅田選手の「純真さ」や「無垢(むく)さ」がそのまま表現されたようなスケーティングは、観客を魅了してきた。

 そんな浅田選手のポストを占めるのは誰か。玉木さんは宮原選手について「技術があり、難しいジャンプも簡単にこなしてしまう。これから期待できる選手。フィギュア界を引っ張っていってほしい」と評価。本田選手については「ジャンプに偏らず、表現力もある。浅田選手という良いお手本もあるし、伸びしろがある」と述べ、今後の成長に期待する。

 「ポスト真央」をうかがう彼女らを輩出した京都。実は京都のフィギュアスケートの歴史は古い。昭和28年、京都市左京区にアイススケート場「キョートアリーナ」が誕生。約10年後、同アリーナでは、京都から世界に通じる選手を輩出しようと「京都スケート学校」が開校した。府内から選手を目指す小中学生が通い、互いに切磋琢磨(せっさたくま)したという。その後も、「桃山アリーナ」(伏見区)や「高野アリーナ」(左京区)などのアイススケート場の開業が相次いだ。

 だが、そんな京都も逆境に追い込まれる。リンクの維持に多額の費用がかかることやレジャーの多様化などの理由で、昭和50年以降、多くのアイススケート場が閉鎖された。「世界を目指す選手やよい指導者が多くいたが、練習拠点がなくなり、優秀な選手らが府外に流出していった」(府内のフィギュア関係者)。結局、京都府内に現在残っているのは、冬季営業だけの京都アクアリーナ(京都市右京区)のみ。実は、宮原選手や本田選手らは、所属する関大の「たかつきアイスアリーナ」(大阪府高槻市)を練習拠点としている。

 全国レベルの選手を輩出する中、通年型の練習場がない-。この状況を打破しようと、京都では昨年9月、府スケート連盟と府アイスホッケー連盟が、季節に関係なく使えるスケート場の整備を府に要望。現場には白岩選手も駆けつけた。これを受けて府は今年、府立山城総合運動公園(宇治市)内に、通年型アイススケート場「京都アイスアリーナ」(仮称)の整備を決定。国際競技規格(縦60メートル、横30メートル)のメーンリンクと、一般利用者用のサブリンクを備えたもので、平成30年度内の完成を目指すという。

 府スケート連盟の松山孝司副会長(71)は「新アリーナはフィギュアスケートの京都での拠点となり、選手も良い環境で練習できるようになるはず」と話す。京都のスケート界に追い風が吹く中、選手らも虎視眈々と世界を狙っている。今年4月に京都府スポーツ賞を贈られた本田選手は「スケートを始めたころからの目標のオリンピック出場を目指して頑張りたい」と抱負を述べた。左股関節の疲労骨折のため3月の世界選手権を欠場した宮原選手も「思い切って演技できるようにエネルギーをためたい」と意気込む。

 五輪で活躍し、京都から「ポスト真央」が生まれるか。玉木さんは「現時点では誰と言うのは難しいが、京都勢はその一角を占めており、期待できる」としている。

最終更新:6/16(金) 9:28
産経新聞