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こんな国会で憲法改正を発議できるのか? 「テロ等準備罪」成立

6/16(金) 10:30配信

産経新聞

 今国会最大の懸案だった改正組織犯罪処罰法は徹夜の与野党攻防の末、ようやく成立したが、えも言われぬ後味の悪さが残った。

 民進党など4野党は一体何のために抵抗したのか。

 もし改正案を時間切れで廃案に追い込める可能性がわずかでもあったならば、金田勝年法相らに対する問責決議案や内閣不信任案を次々にぶつけて採決を先送りしたことに多少の意味を見いだせる。

 だが、会期を4日間も残した時点でこんな戦術に出てもその可能性はゼロだ。単なるパフォーマンスのためにいたずらに時間を浪費したと言わざるを得ない。社民党の福島瑞穂副党首らによる「女の壁」戦術などは論評に値しない。

 民進党の蓮舫代表は、与党が委員会採決を省き、本会議での中間報告に踏み切ったことに対して「だまし討ち」「狂暴な国会運営」などと非難したが、これも首をかしげざるを得ない。

 法相の問責決議案や、参院法務委員長の解任決議案を早々に提出したのは野党ではなかったのか。与党がこれを「審議打ち切り宣言」と受け取ったのはむしろ当然だといえよう。

 逆に与党が野党との信義を重んじ、ギリギリまで協議を続けていたら廃案に追い込まれた可能性が十分ある。多少国会を延長しても結果は同じだ。今回のなりふり構わぬ抵抗戦術は皮肉にもそれを裏付けている。

 そもそもTOC条約に署名しながら締結しないのは国際公約違反だ。現在締結していないのはイランや南スーダン、ソマリアなど11カ国だけ。民進党もそれが分かっているからこそ現幹事長の野田佳彦政権時代に国会提出を試みたのではないのか。

 それを今になって「法律がなくても条約締結は可能だ」などと言い出すのは理解できない。ましてや「キノコ狩り」や「毒カレー」を持ち出して、いたずらに国民の不安をあおる手法は常軌を逸している。

 もちろん政府・与党にも非はある。金田法相の答弁は実に心もとなかったし、審議の最中に今村雅弘復興相が失言で更迭されるなど不祥事も相次いだ。加計学園の問題も早々に再調査に踏み切るべきだった。

 来年はいよいよ憲法改正が本格的に動き出す。早ければ来年夏にも国会が改憲案を発議し、年内に国民投票を実施する運びとなる。

 それなのに国会がこんな体たらくでよいのか。国会で改憲論議を深めることなく、いたずらに街頭パフォーマンスを繰り広げ、最後は大混乱の中で採決を押し切り、改憲案を発議したらどうなるか。国民は興ざめし、憲法論議そのものにNOを突きつけかねない。

最終更新:6/16(金) 10:30
産経新聞