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糸魚川―静岡構造線に新地表断層 興津川支流域、静岡県内最大

6/15(木) 17:51配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 新潟県糸魚川市と静岡市を結び、起源を日本列島誕生にまでさかのぼることができる断層「糸魚川―静岡構造線」(糸静線)の巨大露頭(地表に現れている断層)を同市葵区の地質学者塩坂邦雄さん(72)が14日までに、同市内で発見した。南北の長さ約30メートル、高さは最大で6メートル。別の専門家によると、県内最大の露頭。学術上、極めて貴重な発見とみられる。

 発見したのは同市清水区の興津川の支流沿い。周辺にはワサビ田が広がり、一般の人はめったに立ち入らない場所という。塩坂さんは大学などの研究機関には属していないものの、大学卒業後、地道に糸静線の調査を継続してきた。2016年3月、地質図に記載された糸静線沿いを歩いている際、今回の露頭にたどり着き、さらに詳細な調査を進めてきた。

 糸静線の露頭は山梨県早川町で国の天然記念物(長さ約20メートル、高さ約20メートル)になっている。新たに見つかった露頭について、関係者からは「天然記念物級の発見」との声も上がっている。

 6月中旬に塩坂さんと現地調査を実施した狩野謙一静岡大名誉教授(構造地質学)は「端的に言えば、中学1年の理科の教科書にも出てくる糸静線の実態を、県内でも明確に見られる場所が見つかった」と今回の発見の意義を解説した。

大地の動き実感「貴重なジオサイト」 県外では観光利用も

 静岡市清水区で新たに発見された「糸魚川―静岡構造線」(糸静線)の巨大露頭。一度は聞き覚えのある人も多いこの断層名も、静岡県民の関心はいまひとつだった。一方で、断層沿線の自治体の中には、露頭をてこに町おこしをしている例もある。発見者の塩坂邦雄さん(72)は「貴重なジオサイトとして大事に育てて」と話す。

 これまで静岡県内の糸静線の露頭として知られていたのは、同区の林道沿いにある小規模なもの(長さ、高さ数十センチ)。今回発見した巨大露頭は約2・5キロ北方に位置する。

 「林道建設工事でたまたま出たこれまでの露頭は小さすぎた。ある程度専門的な知識のあるガイドがいれば、これからは断層を実感できるようになる」。糸静線研究の第一人者として知られる狩野謙一静岡大名誉教授はそう指摘する。アクセスが悪いため、ツアーなどを行う際には、周辺の駐車場整備なども課題だ。

 現地調査に同行した北村晃寿静岡大教授(古環境学)は、断層の周辺に約40センチ幅で積もる「断層粘土」に注目する。断層粘土は、現在は活断層ではない静岡側の糸静線が、過去に活断層として大きく動いたことの証拠だという。鉱物が摩擦熱で溶け、粘土状になった。

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