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ウィンブルドンでもオスタペンコに注目 [女子テニス]

6/15(木) 12:03配信

THE TENNIS DAILY

 エレナ・オスタペンコ(ラトビア)は、全仏オープンにおいて彼女の若いキャリアで初のツアーレベルのタイトルを獲得してからほんの1時間あまりが経った頃に、将来的な野望は何かと尋ねられた。

20歳の新星オスタペンコが初優勝、その力は本物か [全仏オープン]

 すると、輝く銀色のトロフィを横に置き、オスタペンコは微笑むと、何でもないことを言うような口調でこう言ったのだ。

「もちろん、多分すべてのグランドスラム大会のタイトルを勝ち獲りたいわ。それが私の目標よ」

 20歳の誕生日を2日過ぎたところで、オスタペンコをここにまでいざなったのが、この制御しがたき自信と、威勢のよいプレースタイルであるなら、なぜ今、尻込みする理由があるだろうか? 7月3日に始まるウィンブルドンが間近に迫った今、トップシーンへの彼女の唐突な登場は、ことをより面白くすることになった。

 もちろんオスタペンコが次世代のチャンピオンだと宣言するのは早すぎる。テニスの歴史は多くのほかのスポーツ同様、一度きりのまぐれあたりや、あまりに性急に次代の星というラベルを張られながら、静かに消え去っていった選手たちで溢れている。

 しかし、観客から「おー!」「あー!」といった感嘆の声を引き出すパワフルなプレースタイルと、試合に対する怖いもの知らずの態度で、オスタペンコはこれからかなりの間、目が離せないプレーヤーとなることだろう。

「もしすごく調子のいい日に当たっていれば、私は本当にうまくボールを打つことができるの」とオスタペンコは言った。彼女は第3シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)に4-6 6-4 6-3で挽回勝ちした全仏オープン女子シングルス決勝の間に、54本ものウィナーを叩き出した。

「どんなことだって可能だと思うわ!」と彼女は言う。

 そして彼女は間違いなく、ここ2週間でそのことを証明して見せた。

 47位の選手としてパリにやって来たラトビアの少女は、今、12位に浮上し、もっとも若いトップ20のメンバーとして、この町をあとにした。彼女はノーシードから全仏チャンピオンとなった、ここ84年で初の女子プレーヤーだ。

 彼女はまた、優勝した初の大会がグランドスラム大会だったという稀な選手でもあるのだが、女子でこれが起きたのは実に48年ぶりのことだった。

「もし彼女がいいプレーをしていれば、ほかのプレーヤーにとって、彼女を倒すことは非常に難しくなるわ」と、ここ4月からオスタペンコのコーチを務めているアナベル・メディナ ガリゲス(スペイン)は言う。

 そんなわけで、オスタペンコの存在がカギとなるであろう、オールイングランドクラブのグラスコートの上で、何が起こるか見てみようではないか。

 オスタオペンコの子供時代のアイドル、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は妊娠中であるため、今季いっぱいは休みをとっている。薬物使用による15ヵ月の出場停止処分のため、一年半グランドスラム大会でプレーしていないマリア・シャラポワ(ロシア)は、左腿の故障のため、ウィンブルドン予選の出場をとりやめると言った。もうひとりの元ナンバーワンでグランドスラム大会優勝者のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)は出産を終え、まもなく復帰する予定だが、彼女から何を期待できるのか知ることは難しい。

 ウィンブルドンを2度制しているペトラ・クビトバ(チェコ)に関しても同じことが言える。彼女は昨年末に暴漢に襲われナイフで負傷させられたあと、カムバックの過程を始めたばかりのところだ。

 そして世界ナンバーワンのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)は、全仏での1回戦負けをはじめ、このところ悪い成績が続いて深刻なスランプに陥っている。

 つまり、より多くのプレーヤーが、オスタペンコがやったように浮上することができるかもしれない、ということなのだ。

「実際、現時点では、ダーツボードがあって、ダーツを投げて当たった数字の選手が、ランキングが何位であれ、この手の大会で決勝に進出したり、あるいは優勝したりすることができるような感じなんだ。これは女子テニス界に多くの興味を生み出すことになると思う」と、ハレプのコーチであるダレン・ケーヒルは言った。

「我々は、いくつかのライバル関係も生み出したい。だから僕はエレナがふたたびいい活躍をし、いいプレーを続けるところを見たいと思っている。そして、もしこれら多くのトッププレーヤーたちが、お互いにしのぎを削り続けたいと思い、ライバル関係を生み出すのであれば、女子テニスに多くの興味を惹きつけることになるだろう」

 オスタペンコに関し、心にとどめておかなければならないことがひとつある。彼女のお気に入りのサーフェスは全仏オープンで使われているレッドクレーではない。それは、彼女のすでに威圧感のあるストロークにいっそうの活力を加えるグラスコートなのだ。

 15歳のとき、彼女は芝のことなどあまり気にかけていなかった。しかし17歳となった頃までに、彼女はウィンブルドン・ジュニアのタイトルを獲得していたのである。

「最初に芝の上でプレーしたとき、私はあのサーフェスが全然好きじゃなかった。グラスコートの上でどうやってプレーするかがわかっていなかったのね」とオスタペンコ。「私は最初、“どうやればグラスの上でなんかプレーできるの? 芝はサッカーのためにあるのよ。おかしいわ“とでもいうような感じだった。でも続く数年の間に、私はそこでどうやってプレーすべきか、どう動けばいいのかを理解したの。それから本当に好きになったのよ」。

 オスタペンコのテニスについて、また彼女の振る舞いや姿勢について、好いて然るべき要素はたくさんある。その双方が来月、そしてここから数年にわたり、見るに値するものなのである。(C)AP (テニスマガジン/テニスデイリー)

最終更新:6/15(木) 12:03
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