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<狭山虐待死>母に求刑通り懲役13年…保護すれば子は死ななかった

6/15(木) 22:31配信

埼玉新聞

 埼玉県狭山市で昨年1月、藤本羽月ちゃん=当時(3)=が冷水をかけられて放置されるなどして遺体で見つかった虐待事件で、保護責任者遺棄致死や暴行、逮捕の罪に問われた、母親の無職藤本彩香被告(24)の裁判員裁判の判決公判が15日、さいたま地裁で開かれた。高山光明裁判長は「実母として保護すべき立場にありながら生存に必要な保護をしなかった」と母親の責任を重視し、「無慈悲かつ卑劣で極めて悪質」と求刑通り懲役13年を言い渡した。

 藤本被告は公判で羽月ちゃんの死について、「なぜ亡くなったかは分からない」と主張し、弁護側も藤本被告が病院に連れて行くなどの保護をしなかったことと死亡との因果関係を否定。死亡する直前に大河原優樹受刑者(26)=保護責任者遺棄致死罪などで懲役12年6月確定=が羽月ちゃんに冷水をかけて放置したことが死亡の原因だとして、「保護責任者遺棄致死罪は成立しない」としていた。

 高山裁判長は判決で、「医療措置を受けさせるなどの必要な保護をしていれば、羽月ちゃんは死ななかった。藤本被告も十分に認識していた」とし、保護責任者遺棄致死罪を認定。大河原受刑者が冷水をかけて放置した行為は「かねて繰り返してきた虐待の一環に過ぎず、藤本被告は十分予測可能で、放置行為について積極的に加担していた」と弁護側の主張を退けた。

 判決では藤本被告と大河原受刑者の役割の大きさにも言及し、「実母として最も被害者を保護すべき立場にありながら、被害者の生存に必要な保護をしなかった。大河原受刑者以上に強い非難が妥当」と指摘。「犯行態様は無慈悲かつ卑劣で、動機は虐待の発覚を恐れたと推認され卑怯(ひきょう)」と非難した。

 藤本被告は8日に行われた公判の最終意見陳述で「私ははづ(羽月)を守らなかったんです。本当にごめんなさい」などと涙ながらに謝罪の弁を述べていた。だが判決は「反省は不十分で、今後、より真剣に罪と向き合って自責と反省の念を深めていく必要がある」と指摘し、求刑通りの判決を下した。

 これまでの公判と同様、白いブラウスに長い髪を後ろに束ねて出廷した藤本被告。判決が読み上げられた後、裁判長に向かって深く一礼して退廷した。

最終更新:6/16(金) 1:52
埼玉新聞