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ステファン・ヨハンソンのコラム第2回:ヨハンソンがマネジメントする二人の才能。ディクソンとローゼンクビスト

6/15(木) 20:20配信

motorsport.com 日本版

 元F1ドライバーであるステファン・ヨハンソンが、motorsport.com日本版で独占コラムをスタート。連載第2回目は彼がマネジメントを担当するスコット・ディクソンとフェリックス・ローゼンクビストについてだ。

【動画】インディ500でのスコット・ディクソンの大クラッシュ

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 日本の皆さん、ステファン・ヨハンソンです。Motorsport.com日本版で始まったコラム、今回が2回目です。初回はドライバーのマネージメントをしている話を書きました。今回も同じようなテーマですが、私が担当しているドライバーに関して少し絞った話にしたいと思います。

 現在、私はインディカー・シリーズを戦っているスコット・ディクソンと、フォーミュラEとスーパーフォーミュラに参戦中のフェリックス・ローゼンクビストのマネージメントをしています。ディクソンは経験豊かなドライバーで、私とはもう何年もマネージャーとドライバーという関係が続いています。モータースポーツ界で働くのは結構タフですが、特にマネージャーという仕事はドライバーとのパイプが唯一の生命線。お互いの信頼関係が重要な要素です。ディクソンもローゼンクビストも私のことを信頼してくれ、もちろん私も彼らを全面的に信頼して、その結果ビジネスが成立しています。否、ビジネス以上の素晴らしい関係です。

 一度特定のドライバーと働き始めると、そこには喜怒哀楽が着いてきます。今年のインディ500ではディクソンがポールポジションを獲得しましたが、インディは現在行われている数あるレースの中で、本当にドライバーがプッシュしないとポールポジションを獲得出来ないレースです。それも1周ではなく4周ですから、ドライバーには速さと共に長い間の忍耐力が求められます。4周もの間緊張を強いられるのです。
緊張するのはインディカーのスピードとキャラクターです。最高速は380キロ以上、インディアナポリスに4つあるターンを回るときも340km/hの高速です。それだけに非常に繊細な運転が要求され、ほんの些細なミスが大事に至ります。

 決勝レースではディクソンが大きな事故に見舞われました。ポールポジションからスタートして好位置でレースを走っていたのですが、ライバルのミスで逃げ場をなくした彼はクラッシュ、その反動でクルマはコースの内側に向けて宙を舞い、ガードレールに叩きつけられました。その映像を見ると身の毛もよだちますが、幸運なことにディクソンは怪我をすることなく帰還しました。十分に勝てるレースであっただけに、不運というしかありませんが、ディクソンが無事だったということで良しとしましょう。

 ところで、今年のインディ500はフェルナンド・アロンソの参戦があって注目を浴びましたが、素晴らしいことだと思います。ここ20年のインディで最も印象的な出来事だと思います。F1チャンピオンが走ることでインディがどれほど素晴らしいレースかということが分かり、F1ドライバーのレベルの高さもよく分かりました。将来、より多くのF1ドライバーが興味を持つんじゃないかと思います。

 そして、佐藤琢磨の優勝は、日本にとって最高の結果だったのではないでしょうか。インディ500の歴史の中でも初めてのアジア人ドライバーの勝利だし、もちろん初めての日本人ドライバーの勝利です。琢磨はドライバーとして長いキャリアを持っており、アメリカでは10年以上レースを走っている。インディカーレースのベテランと言ってもよく、2012年の最終ラップでダリオ・フランキッティと優勝を争ってクラッシュしたシーンは誰もが覚えています。その時から琢磨はインディ500で勝てるドライバーだということを我々に知らしめており、今年その日が来たということです。お目出度うと言いたいですね。

 最後に、私の可愛いローゼンクビストがフォーミュラEベルリンePrixの第1レースで勝利したことは、この上ない喜びです。フォーミュラEは非常にレベルの高いドライバーが集まっています。そこで勝利できたということは、他のカテゴリーでも十分に勝てる力を持っていることの証です。日本のスーパーフォーミュラでも近いうちに勝利を挙げると確信しています。

ステファン・ヨハンソン