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北朝鮮に抑留された米国大学生、17カ月ぶりに“昏睡状態”で釈放

6/15(木) 5:42配信

ハンギョレ新聞

ジョセフ・ユン米対北政策特別代表、12日平壌到着 同行した米医師ら、ワームビア氏の健康確認後、釈放要求 家族「1年以上昏睡状態」…北朝鮮に対する非難世論が拡散

 米国6カ国協議首席代表であるジョセフ・ユン国務省対北朝鮮政策特別代表(国務省東アジア太平洋副次官補)が電撃的に平壌(ピョンヤン)を訪問し、17カ月の間北朝鮮に抑留されていた米国大学生オットー・ワームビア氏(22)を13日(現地時間)、彼の故郷のオハイオ州シンシナティに連れて戻った。米国高官の訪朝はドナルド・トランプ政権に入って初めてだが、ワームビア氏が1年以上昏睡状態に陥っていたことが伝えられ、米国内の対北朝鮮世論が悪化しているもようだ。

 ワシントンポスト紙など米メディアの報道を総合すると、ユン特別代表は先月12日朝、医療陣2人とともに平壌に到着し、直ちにワームビア氏を接見した。ユン代表はワームビア氏の健康状態を確認した後、人道主義的見地で釈放を要請し、北朝鮮はこれに同意した。

 米バージニア州立大学3年生だったワームビア氏は、昨年1月に観光で訪問した北朝鮮の平壌のヤンガクド・ホテルで政治宣伝物を盗んだ疑いで逮捕され、同年3月、体制転覆扇動の容疑で15年の労働教化刑を言い渡された。以後、ワームビア氏は公開場所に現われず、米国の代わり北朝鮮で領事助力をしてきたスウェーデンもワームビア氏を接見することができなかった。

 ワームビア氏の両親は、北朝鮮が米国側の関係者に説明した内容を聞いたとし、「ワームビアが昨年3月、北朝鮮の法廷判決の際に姿を現して以来、1年以上昏睡状態に陥っていた」と公開した。両親はまた、ワームビア氏が裁判以降食中毒である「ボツリヌス中毒症」に罹ったとし、睡眠薬を服用した後、昏睡状態に陥ったと聞いたと話した。フォックスニュースも同日、「米国の高位当局者が、ワームビア氏が昏睡状態にあると確認した」と伝えた。

 ワームビア氏が正常な健康状態で故郷に帰ってきたならば、長い間緊張状態が続いている米朝関係の雪解けムードが造成される呼び水になる余地もあった。米朝はワームビア氏など北朝鮮抑留者の釈放に向け、先月からノルウェー・オスロとニューヨークなどで密度の高い協議を行った。トランプ政権に入って米朝高位級関係者が直接顔を合わせて懸案を議論したのは今回が初めてであり、いわゆる「ニューヨークチャンネル」も一時的に稼動された。

 しかし、ワームビア氏が昏睡状態で帰ってきたことで、今回の釈放が少なくとも短期的にはかえって「悪材料」として作用する余地もある。まず、世論があまりにもよくない。彼の家族たちはこの日声明を通じて「我々はやっと一週間前にこのような(昏睡状態)の話を聞いた。ワームビアがいじめ体制でどれほど非人間的に扱われ脅迫を受けたのか、世界に知らせたい」と北朝鮮を直接非難した。

 ワシントンポスト紙は同日付の社説で「これは世界で最も残忍で孤立した政権によって行なわれた残酷な行為」だとし、「必ず処罰を受けなければならない」と要求した。北朝鮮を数回訪問し、ワームビア氏釈放に向けて努力してきたビル・リチャードソン前ニューメキシコ州知事も「ワームビア氏が昏睡状態にあったとすれば、北朝鮮は多くのことを説明しなければならない」と話した。

 ワームビア氏の不運な帰還が米朝関係の短期的な悪材料として終わるかどうかは、ワームビア氏の健康と、まだ抑留中の米国人3人を釈放するかどうかなどにかかっているといえる。ワームビア氏の健康が悪化すれば、北朝鮮核交渉に向けた米国の外交的空間は制限されるしかない。

 また、ワームビア氏が昏睡状態に陥った理由が、北朝鮮の説明どおりの食中毒ではなく、一部で疑惑を提起するように苛酷行為などのためとされた場合、事態はさらに悪化する恐れがある。まだ北朝鮮に抑留中のアメリカ国籍者のキム・ハクソン、キム・サンドク、キム・ドンチョル牧師ら3人を釈放するかどうかも重要な影響を与えるとみられる。

 ただし、トランプ政権がかなり節制した反応を示しているのは異例のことだ。レックス・ティラーソン国務長官はワームビア氏の釈放と関連し、同日発表した声明で「ワームビア氏と彼の家族のプライバシーを尊重する次元で、追加的な言及は控える」とし、ワームビア氏の健康状態を説明しておらず、北朝鮮を非難することもなかった。

 ホワイトハウスも、トランプ大統領がワームビア氏釈放に向けて努力したという点を強調した。ワームビア氏の釈放を米朝間の外交的機会にしたい意図が読み取れる。実際、来週米国と中国の外交・国防長官が出席する「米中外交安保対話」を控え、双方は北朝鮮を交渉のテーブルに復帰させるための事前条件について相当な水準の意見交換をしていると伝えられている。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:6/15(木) 5:42
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