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社説〔降下訓練〕既成事実化は許せない

6/15(木) 7:30配信

沖縄タイムス

 在沖米軍は嘉手納基地でパラシュート降下訓練を強行する姿勢を変えていない。

 14日夜に実施すると日本側に通告していた降下訓練は中止になった。「天候が悪いため」というのが理由だ。

 同基地周辺の自治体や県、日本政府が求めていた中止要請に応えたわけではない。地元の訴えを無視して3カ月連続の訓練になりかねなかっただけに米軍の強行姿勢を断じて許すわけにはいかない。

 パラシュート降下訓練について1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告では「伊江島補助飛行場に移転する」と明記している。

 その後、米軍が嘉手納基地で降下訓練を実施するケースが出てきたため、2007年の日米合同委員会で、「基本的に伊江島補助飛行場を使用することとしており、嘉手納飛行場は、あくまでも例外的な場合に限って使用される」ことを確認した。

 米軍は14日に予定していた伊江島補助飛行場での降下訓練が「気象、海象の状況により実施できない可能性がある」と説明していた。これに対し、稲田朋美防衛相は「例外的な場合に当たるとの判断には至っていない」として認めない考えを示していた。

 日米で確認した「例外」の解釈がなぜこんなに違うのか。実際、日本政府は米軍の訓練に口を挟むことができない。米軍が「例外」と言えば、例外扱いとなる。稲田氏は「遺憾」としながら追認する姿勢も示しており、米軍基地の「自由使用」につながっているのである。

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 降下訓練における「例外的な場合に限って」の表現のように、日米合意には、表向き米軍を縛るように見えながら「抜け穴」が準備されているのが常だ。

 米軍は嘉手納基地を「例外的な場合に」使用すると言いながら、1カ月に1回のペースは恒常化であり矛盾だ。

 既成事実を積み重ねることによって「例外」が肥大化すれば、合意そのものが脇に追いやられてしまう。合意の形骸化である。

 降下訓練に限ったことではない。海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間飛行場への配備の際、「ヘリモードでの飛行は運用上必要となる場合を除き、米軍基地内に限る」-などと合意していたが、市街地上空をヘリモードで飛行しているのがたびたび確認されている。「運用上必要となる場合を除き」というのが抜け穴だ。

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 基地と隣り合わせの生活を強いられている住民は事件・事故に巻き込まれる危険性の中にいる。憲法で保障された平和的生存権が脅かされているといっても過言ではない。

 嘉手納周辺の3市町長らでつくる三連協が批判を強めるのは、住民の生命と財産を守る立場から当然だ。當山宏嘉手納町長は抗議の意味を込めて第18航空団の司令官交代式への招待を断った。就任以来初めてだが、これまた地元の代表として当然である。

 「例外」の解釈で日米で相違が出ている。防衛省は日米合同委を再度開き、反対する地元の意向をくんだ確認を米側とするのが筋だ。

最終更新:6/15(木) 12:00
沖縄タイムス