ここから本文です

好調4Kテレビに落とし穴 外付けチューナーなしには本放送視聴できず 関係各所周知急ぐ

6/17(土) 8:15配信

SankeiBiz

 市販の4Kテレビで4KのBS放送が視聴できない-。フルハイビジョンの4倍の高画質を誇る4Kの本放送が来年12月からBSで始まるが、現在市販されている4Kテレビで視聴するには、今後発売される外付けチューナーの購入が必要だが、一般の視聴者に浸透していない。4Kテレビの販売台数は順調に増えているだけに、2020年東京五輪の開催時には混乱が起きかねない。政府や業界団体は視聴者への周知を急いでいる。

 総務省は昨年6月、市販の4K(対応)テレビでBSの4K放送を見るには、「18年の実用放送開始にあわせて発売予定の機器が別途必要になります」との注意喚起を行った。販売店には、4Kテレビを売る際にしっかりと説明することを求めている。

 総務省の言う「機器」とは、4KのBS放送受信機能を持ったチューナーのことで、まだ市販されていない。ピクセラ(大阪市)は9月に、放送関連事業者の技術評価用として20万円(税別)で発売するとしている。消費者向けの価格はもっと抑えられるとみられるが、すでに4Kテレビを買った人がBSの4K放送を視聴するためには追加購入する必要があり、手痛い出費となりそうだ。

 シャープやソニー、パナソニックなどの大手家電メーカーは来年12月までにチューナーのほか、チューナーを内蔵した4Kテレビを発売する可能性が高い。ただ、発売時期は未定。録画に関する規格がまだ決まっておらず、メーカーが対応できないからだ。

 高市早苗総務相は1月、NHK▽ビーエス朝日▽BSジャパン▽BS-TBS▽BS日本▽ビーエスフジ▽SCサテライト放送▽QVCサテライト▽東北新社▽WOWOW-の10社に4K放送の認定書を交付した。4K放送は地上波では予定されていない。通常のテレビ放送のように視聴できるものとしてはBSが主流になるとみられる。当然、東京五輪の競技を4Kの高画質で見たければ、最も有力な選択肢となる。

 一方で、4Kテレビの販売は増えている。電子情報技術産業協会(JEITA)の集計によると、16年の国内出荷台数は前年比で2倍近い121万9000台。累計出荷台数は216万台となった。液晶やプラズマといった「薄型テレビ」の需要が高まり、ブラウン管のテレビからの買い替えが加速した時期から10年以上がたち、再び買い替えの時期を迎えている。「せっかく買うなら」と4Kテレビを選ぶケースが多いようだ。

                  ◇

 ■五輪へ周知徹底なければ混乱も

 BSの4K放送が来年12月に始まることや、市販の4Kテレビだけでは4K放送が視聴できないことは、それほど知られていない。総務省は5月に動画を公開し、A-PABも「4K・8Kサービスガイド」というリーフレットを制作した。

 しかし、店頭に置かれている大手メーカーの4Kテレビのカタログでは、「今後発売される別売りのチューナーが必要です」と、下の方に小さな字で書いているだけだ。

 総務省関係者は「量販店などには、理解したうえで買ってもらうように説明していただいている。説明不足なら店に苦情が来るので、徹底しているはずだ」と話す。

 試しに6月初旬の日曜日に埼玉県内の家電量販店で聞いてみた。まず4Kテレビの売れ筋をたずね、BSの4K放送に話が及ぶと店員は「チューナーがないと見られないです」と、きちんと説明してくれた。

 とはいえ、4Kテレビ購入に至った理由は、BSの4K放送を視聴したいだけではなさそうだ。店員によると、4Kテレビでは、フルハイビジョンで視聴している番組の画質を高める機能があり、これが主な購入動機になっているという。映画などのHulu(フールー)や、Jリーグの試合が中継されるDAZN(ダ・ゾーン)といった動画配信が人気だ。

 今のところ、4Kの本放送がないので不都合が生じないが、BSの4K放送が始まったり、東京五輪が始まったときには、「4Kテレビなのに4K放送が見られない!」と、混乱が起きる懸念も否定できない。

 放送開始まであと1年半。NHKや民放系のBS4K放送は外付けチューナーがあれば従来のBS用アンテナで見られるが、SCサテライト放送やWOWOWなどが提供する4チャンネルは電波の伝わり方が従来と異なるため、チューナーのほかに専用アンテナが必要になるなど、視聴環境に関する事情は複雑だ。

 政府や業界団体はこれまで以上に、4K放送に関する周知を徹底する必要がある。(高橋寛次)

最終更新:6/17(土) 8:15
SankeiBiz