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「産めないのか」やじと戦った塩村都議 職員青ざめ「あっ」 伏魔殿の正体を見た瞬間

6/18(日) 7:00配信

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 小池百合子都知事の登場で盛り上がる都議選。塩村文夏都議は、「産めないのか」というやじで都議会に注目が集まるきっかけを作りました。「何回もめげました」「2回ぐらい泣いた」。今回の都議選には出馬しない塩村都議。4年間、向き合ってきた「伏魔殿」について聞きました。(朝日新聞東京社会部・吉野太一郎)

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「数がパワーというのは本当でした」

――4年間つとめてこられて、立候補前に思っていた都議の仕事と印象はどう変わりましたか? 思っていたこととどんなことが違いましたか。

年配の男性が多くて縦社会というのは本当でした。「政治は古い人がやっていて、分かっていないから、古い慣行がまかりとおっている」というのは確かなんだけれども、新しい意見でいいものでも、頑固に取り入れないんです。自分たちが主導権を握っているんだぞという人たちで占められていたのが現実で、提案なんかできる雰囲気もないし、議場と言っても、議論にならない。都民の代表というよりは、どちらかと言うと行政側に近いような印象があります。
――旧みんなの党公認で当選して、現在は1人会派。ずっと少数会派だったので、数の面で苦労されたということでしょうか。それとも、そういうものを超えた議論のしにくさがあったのでしょうか。

数がパワーというのは本当でした。だから何を言っても通じないですし、行政側も数を見ながら対応しますから、こっちを向いてないですよね。知事の予算要望も複数会派以上じゃないと聞いてもらえない。世田谷区で私より下位当選した会派の予算要望は受けつけられていますから、理由をつけて断られる。

議会改革を話し合う「在り方検討会」にも入れてもらえないし、何を話したのかも知らされない。都議会広報には一般質問の顔写真が一人会派の議員は載らない。1人会派は議員じゃないという雰囲気は議会でも、行政側からも感じました。

議事録に残すことが仕事

――放送作家などの活動をしながら、政治に遠い世界から飛び込みました。

議員になる前は放送作家としてラジオ番組を担当していました。東京に憧れて東京に出てきて働く女性で、ようやく仕事も非正規とはいえ何となく安定してきた。なのに子供を産もうと思っても産めないじゃん。休んだら収入も途絶えちゃう。うまく子供を産めたとしても待機児童になっちゃう。キャリア積めないじゃん、どうしたらいいんだというジレンマにぶち当たった。

それから動物愛護の問題。国政でも区議選でもなく都議選に出たのは、動物愛護センターの行政官管轄が広域自治体の東京「都」にあったからです。

議員になる前は、いい提案をすれば気づかなかった人たちが「これいいね、やろう」となると思っていたけど、そうならないと気付いた。何回もめげました。認めないですから、何を言っても。行政側の答弁のロジックがおかしいときには、根拠となるものを全部見つけだして、現地に足を運んで写真を撮る。その作業に夜中まで、時には朝までかかる。その繰り返しでしたね。

与党の先生が、質問調整をささっと終えて帰られるのを見ると、私がやっていることは大会派の議員には理解できないんだろうなあと思いますよね。

一人会派は訴えたいことを思う存分、一般質問の持ち時間やブログで発信することはできますが、施策に反映させるのがすごく難しい。提案しても、私が望むような回答が私の質問のときには出てこず、次の与党の質問で「やります、改善します」と答える、みたいなことが続いていく。
かつては悪くない答弁も頂けていたんですが、ある日、大会派の先生が職員に「おい、ずいぶんサービスいいじゃないか」と委員会で言ったら、その瞬間に職員の顔が青ざめたんです。それを見た瞬間「あっ」と思いました。

ただ、やっていくうちに、少数会派の役割がわかってきました。だれも取り上げなければ改善されなかったことを、しっかり都議会で訴え、議事録に残すことで、行政側も動かざるを得なくなる。

自分の仕事は、いいことを提案して「私はこれを変えました」と誇るんじゃなくて、おかしいことを東京都に認識して変えてもらうことだな、それが与野党の違いとすごく認識させられた。

だから途中から、おかしいことを徹底的におかしいと追及する戦法に変えたら、動物愛護や待機児童問題でもこの4年で大きく変わった。私が当選した時はまだまだ都の重要課題ではなかったですから、やっぱり続けていくのは重要だと思っています。

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最終更新:6/19(月) 22:50
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