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藤井四段 深夜の決着で26連勝 初の1手1時間超長考も

6/16(金) 6:01配信

スポニチアネックス

 将棋の史上最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が15日、大阪市内の関西将棋会館で順位戦C級2組に臨み、瀬川晶司五段(47)を破って自らの持つデビューからの公式戦連勝記録を26に伸ばした。17日に行われる朝日杯将棋オープン戦も勝てば、30年前に神谷広志八段(56)が打ち立てた最多記録に並ぶ28連勝に、21日の王将戦1次予選で挑むことになる。

 プロとして初めて挑んだ順位戦は、いきなり深夜に及ぶ大激戦だった。午前10時の開始からこれまで最も遅かった対局を1時間以上も超え、未体験ゾーンに突入した午後10時53分に終局。藤井は「仕掛けが少しずつ遅れて苦しい展開になった。最後の最後まで分からなかった」と、長い一日を振り返った。

 この日は、ともに世間の大きな関心を集めた者同士の新旧“時の人”対決。相手の瀬川はプロ棋士養成機関「奨励会」を1996年、年齢制限のため退会に。その後、サラリーマン生活をしながらアマで実績を積み、2005年に戦後初めて実施された編入試験でプロへの入り口を突破した“苦労人”。14歳2カ月の中学生でプロとなった藤井とは対照的な経歴の持ち主だ。

 先手は瀬川で、戦型は藤井が得意とする角換わり。順位戦は将棋界の頂点、名人への長い道のりの第一歩。各6時間という1日制で最大の持ち時間が特徴だが、藤井が1時間16分という公式戦で初めて1時間超の長考に沈む場面や危ない場面もあった。

 だが、終盤に差を広げ、日本将棋連盟関係者が「時間の使い方がうまい。最後に考える時間をきっちり残している」というマジシャンぶりを発揮。最後は1分将棋に追い込んだ瀬川が投了し、連勝の数字をまた一つ積み上げた。今月7、10日には4日間で5勝。直感力が試される早指し戦、読みの深さが物をいう長時間戦でも、最後に勝利を呼び込む万能ぶりを証明した。

 終局後は愛知県瀬戸市の自宅に戻れず、大阪市内で宿泊。体をゆっくり癒やす時間もなく、17日以降の戦いに挑むハードスケジュールが続く。だが疲れを問われても「そういったことは特に…」と平然と言い切る若さも、また強さの証か。

 このまま連勝街道が続けば竜王戦決勝トーナメントがある26日に神谷八段の記録を超える。「ここまでできるとは思っていなかった」とひょうひょう。メモリアルデーまで残り10日、カウントダウンがいよいよ始まった。

 《瀬川「あと一歩」》敗れた瀬川は対局を振り返りつつ「うまくいったと思ったが、リードを守れなかった。あと一歩、届かなかったという感じ」と悔しさをにじませた。対局が決まった時からこの日を楽しみにし、自身が先輩だが、格上と戦う気持ちでぶつかった。敗れはしたが、自分の力は出し切ったとし、満足げな表情を浮かべる場面も。最後は「連勝記録を絶対達成してほしい」と力を込めた。

 《昼食夕食ともご飯+麺》順位戦は長丁場のため、昼夕2食を挟む。藤井の出前は、正午からの昼食が「小雀弥(こがらや)福島店」のぶっかけそば・いなり寿司セット(800円)、午後6時からの夕食が会館近くにある「やまがそば」の他人丼・冷たいそばセット(830円)。麺好きとされている通りの勝負メシが並んだ。夕食ではメニューを見ながら、約3分間も“長考”していた。