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「能」群馬と意外なつながり ゆかりの秀作いっぱい 文化活性へ企画展や定期公演会

6/16(金) 7:55配信

産経新聞

 伝統芸能である「能」への関心が高まっている。能をテーマにした企画展のほか定期公演も実施中だ。高崎市では平成31年完成予定の高崎文化芸術センターに能公演も可能な多目的ホールが開設される予定。歴史的にも群馬と能のかかわりは深く代表的演目にも群馬は登場しており、関係者の取り組みにも力が入る。

 養蚕業の歴史や絹織物などを展示する日本絹の里(高崎市)では、「群馬と能のつながり」をテーマとした企画展「能装束でみる群馬の能」が開催中(来月10日まで)だ。

 高崎市出身の観世流能楽師、下平克宏さん(59)の監修で、能装束や面など計57点を集めた。目玉は安珍・清姫伝説を題材にした「道成寺」の釣鐘。国立能楽堂(東京都渋谷区)から借り受け、シンボルとして展示している。

 群馬における能の歴史は古く、安土桃山時代に初めて長昌寺(前橋市)で演能があったと伝わる。その後、徳川家康が能を幕府お墨付きの式楽と定め奨励したことで、年中行事に欠かせない教養となった。

 茂原璋男(あきお)・日本絹の里館長は「近年、県内では古い文化を見直し学ぼうとする機運が盛り上がっている。能への関心が高まることで各地の寺社などで発見されずに眠っている能装束などが見つかり、注目されるきっかけになればうれしい」と期待を寄せる。

 同展の監修者の下平さんによると、能の代表的な演目の「鉢木(はちのき)」と「船橋」では、群馬の佐野(現在の高崎市上佐野町)が舞台になっている。「能と群馬は意外に近しい関係にあり、ゆかりがあることを知ってほしい」と下平さん。

 県内では能の定期公演も行われており、実際に公演を楽しむことができる。下平さんも今月9日、高崎市文化会館で自身の定期公演会「演能の会」を行った。観客700人の前で世阿弥の長男、観世元雅作の「隅田川」を演じ、シテ(主人公)の狂女役を演じた。

 下平さんは「人さらいにあった息子を追って、都からはるばる下ってきた狂女が、隅田川で息子の死を知るというテーマ。母の悲しみを最小限の動きで伝えたいとの思いで舞った」と振り返った。

 JR高崎駅東口に建設予定の高崎市文化芸術ホールのメーンスタジオは、能舞台からスタンディングライブまで対応する多目的利用が可能だが、関係者は「完成すれば、県を代表するホールで能を演じる機会がより増える」と能文化の活性化につなげたい考えだ。

最終更新:6/16(金) 7:55
産経新聞