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手負いの主将が劇勝呼んだ!阪神・福留、執念の送りバントでチャンス拡大

6/16(金) 7:00配信

サンケイスポーツ

 (セ・パ交流戦、阪神3x-2西武=延長十回、3回戦、阪神2勝1敗、15日、甲子園)白木のバットを寝かせた。そのどよめきを、楽しむかのようだった。福留が簡単そうに転がす。一塁まで全力疾走し、アウト判定に悔しがった。

 「俺? 関係ねぇよ。あの2人に聞いて」

 六甲おろしが漏れ聞こえるベンチ裏で、主将は平然たる姿勢を崩さず、お立ち台の原口&中谷をたたえた。

 延長十回無死一塁。2年ぶりの犠打を自ら選択した。金本監督が「やるかな、と思った。それか一、二塁間にボテッと打つのか」と振り返ったように、相手バッテリーも警戒していたはずだが、その網をかいくぐった。

 シュリッターの150キロシュートは低く、難しい球だったが、セーフティー気味に1球で決めた。虎将が「しかし、うまいね。うまい! うまいわ! そりゃセンスでしょ。うまい」と絶賛するバントで、サヨナラ劇への道を切り開いた。

 右手中指は思うように動かない。口にこそしないものの、この日も練習中から気にするしぐさをみせ、ヘッドが効きやすいようバットのグリップにテープを巻いた。他球団スコアラーも「押し込めていない」と指摘するほど。手負いの中でもやれることや、やるべきことはわかっていた。

 鹿児島・大崎でまだソフトボールをしていた小学生時代。当時の監督のサインはバントばかりだった。打てばヒットになる自信はあったが、とにかく転がした。自己犠牲の精神を体に染みこませるためだったと知ったのは大人になってからだった。さらに当時、ロッテが地元でキャンプをはっており、そこで「ソフトボールの開会式や閉会式できてくれた」のが金田正一氏(当時監督)。下半身を徹底的に鍛えるなど、体のケアを誰よりも考える400勝左腕との出会いが、満身創痍の今を支えてくれている。

 一回二死二塁では詰まりながらも右前に運び、4試合連続安打。8日のオリックス戦(京セラ)以来、6試合ぶりの打点をマークした。左太もも裏を痛めている糸井の穴をこれ以上広げるわけにはいかない。福留が身を削って、勝利を届ける。