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シーメンスが注力する積層造形ソリューション、「パートナーとの協力を重視」

6/16(金) 13:10配信

MONOist

 シーメンスPLMソフトウェアは2017年6月9日、東京都内で開催した年次ユーザーイベント「Siemens PLM Connection Japan 2017」で会見を開き、同社の積層造形(AM:Additive Manufacturing)ソリューションについて説明した。

【従来の製造法と積層造形の比較などその他の画像】

 同社は2016年10月、設計の自動最適化から積層造形による製品製造までをカバーするエンドツーエンドの積層造形ソリューションを発表。ハイエンド3D CADツール「NX」に、設計、解析、製造計画、積層造形、製造後解析までの機能を統合したソリューションだ。

 同社 製造エンジニアリング・ソフトウェア担当 シニア・バイスプレジデントのズヴィ・フォイアー(Zvi Feuer)氏は、積層造形ソリューションが考案された背景について、「21世紀のイノベーションに向けて行った社内ハッカソンで積層造形に関するアイデアが出て、約2年半前から取り組み始めた。しかし、実用的なものとするにはさまざまなパートナーが必要であり、収益を上げられるビジネスモデルも考えなければならなかった」と語る。

 例えば、積層造形に用いる材料や加工技術については、全世界に約280の工場を展開するシーメンスといえども全てのノウハウを有しているわけではない。そこで、金属材料粉末とレーザを同時に照射し積層と溶融を行うダイレクトエナジーデポジション(Directed Energy Deposition)方式ではDMG森精機と、パウダーベッド方式にではEOSやトルンプ(TRUMPF)と、マルチジェットフュージョン方式ではHPと、熱溶解積層方式ではストラタシス(Stratasys)と、剛性を保ちつつ軽量化できる格子構造ではマテリアライズ(Materialise)と協業している。また、さまざまな業界への積層造形の展開についても、デロイト(Deloitte)やアクセンチュア(Accenture)といったコンサルティング企業と協力している。

 ただし、積層造形は切削加工などの従来技術と比べて高コストになることが課題とされており、実際の製造には適用できないという意見が多い。フォイアー氏は、積層造形のメリットを生かした事例として、自社で製造している火力発電所のガスタービンの構成部品を挙げた。バーナーであれば、従来は13個の部品を組み立てて、18カ所の溶接が必要であり、リードタイムは26週間もあった。これを積層造形で製造すると、もちろん部品は1個になって溶接は不要、リードタイムは約9分の1の3週間に短縮されたという。さらに、重量も4.5kgから3.5kgに軽量化できた。

 42枚のブレードをディスクに組み付けるタービンについては、従来と運用そのものが大きく変わることを示唆した。「高温高速で回転するタービンは1600時間使用すると定期メンテナンスを行う。そこでブレードに問題があれば、交換パーツをドイツから輸入しなければならなかった。積層造形を適用すれば、設計はドイツ、製造は日本ということが可能になる」(フォイアー氏)という。

●「Siemens Part Manufacturing Platform」は2018年初にサービス開始

 さらにシーメンスPLMソフトウェアは、2017年4月の「ハノーバーメッセ2017」で、積層造形による部品製造のオンラインコラボレーションプラットフォーム構想「Siemens Part Manufacturing Platform」を発表。積層造形ソリューションの展開を拡大している。

 Siemens Part Manufacturing Platformは、部品を購入したい企業、その部品の設計データを持つ企業、積層造形でその部品を製造する企業をつなげるものだ。クラウドベースのサービスであり、言語は英語のみとなるが、日本からも参加することができる。現在、2018年初頭のサービス開始に向けて準備を進めているところだ。

 フォイアー氏は「積層造形の分野についてはスタートアップ企業のつもりで、着実に展開を広げていきたい。まずは、先述したガスタービンのような、積層造形が適した部品の製造から始める。そこで、積層造形のプロセスに関する問題の洗い出しを行う。長年技術を積み重ねてきた切削加工に対して、積層造形はまだ20年程度の歴史しかない。材料への取り組みはその分遅れているが、技術開発が進めばどんどん安価になるだろう。それと合わせて適用範囲も広げられるのではないか」と述べている。

最終更新:6/16(金) 13:10
MONOist