ここから本文です

町工場の“折り”パリコレに 茨城・牛久、南海プリーツ吉波忍会長(69)

6/16(金) 7:55配信

産経新聞

 世界的なファッションショー、パリコレクションに、手がけた生地が何度も出展されている町工場が茨城県牛久市にある。生地加工会社「南海プリーツ」だ。従業員30人ほどの小さな会社の技術に、世界のファッション関係者からも注目が集まっている。

 昭和45年創業の同社はスカートやドレスなどに使われる生地に折り目(プリーツ)をつける生地の加工会社。プリーツ加工をするには、折り目をつけた2枚の型紙の中に加工する生地を挟み、特殊な機械で100度以上の熱処理を加える。ポリエステルなどの生地が持つ熱可塑性を利用して、折り目が形状記憶される仕組みだ。

 同社が注目される理由はその表現の自在さにある。これまでに製作した型紙の種類は1千点を超え、1枚の生地なのに編み込まれたような複雑な折り目など、ショールームには多様なサンプルが並ぶ。その実力を評価したパリコレブランド数社からも加工の注文が入る。

 このプリーツ技術を生かした一風変わった商品が「プッチペット」と呼ばれる眼鏡ふきのシリーズだ。折り紙で作る動物がモチーフになっている。プリーツによって折り目が消えないため、折り方を知らない外国人も半永久的に折り紙を再現できる点が土産物としてのヒットにつながった。

 この商品、実は同社の吉波忍会長(69)が遊び心で折っていた折り鶴がベースになった。吉波会長は「社員からは白い目で見られた」と当時を振り返るが、「日本の折り紙文化と技術を海外に発信するよい商品になった」と想定外の好評を喜んでいる。

 吉波会長はプリーツを「1枚の生地から無限の形を生み出す技術」と表現している。「服以外にも」と語る表情は常に新デザインを生み出そうと“野望”に満ちている。再び海外に飛び出す商品が誕生する日も近そうだ。(鴨川一也)

 ◆「氷河を表現」の注文も

 南海プリーツのプリーツ技術は、ルイ・ヴィトン銀座並木通り店(東京都中央区)のショーウインドーや歌手、きゃりーぱみゅぱみゅのステージの装飾品にも使われた。過去には、ある有名デザイナーから氷河の写真を見せられ「これを折り目で表現して」とむちゃとも思える注文もあったが、何とか期待に応えたという。

最終更新:6/16(金) 7:55
産経新聞