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新ワールドマップは“雲の下”も描かれている! 『FFXIV』開発者インタビュー第1弾【完全版】

6/16(金) 18:07配信

ファミ通.com

●物語はアラミゴと東方地域の2本立て的な作り
 『FFXIV』の次期拡張パッケージ『紅蓮のリベレーター』は、バトルシステムの部分に関しては全貌が見えてきた。その一方でシナリオについては、アラミゴとドマの解放を目指すというゲームの目的は明らかになったものの、それ以外の部分はいまだ謎のベールに包まれたままだ。そこで、本作でシナリオをご担当されている、世界設定/メインシナリオライターの織田万里氏と、メインシナリオライターの石川夏子氏に登場いただき、『紅蓮のリベレーター』の物語の見どころを聞いてみた。


──おふたりは、『FFXIV』のシナリオ全般を手掛けてらっしゃるのですか?

石川夏子氏(以下、石川) 私たちの部署自体は、シナリオがメインの業務というわけではありません。『FFXIV』のクエストを作成する部署がありまして、その中でシナリオ業務にも携わる形になっています。私は、おもにパッチ3.2以降のメインシナリオと、『紅蓮のリベレーター』のメインシナリオを、それぞれ織田と半分ずつ担当しています。

──具体的に、どのあたりの物語を担当されてきたのですか?

石川 『新生エオルゼア』でいうと、クルザス中央高地編(オルシュファンの物語)や双剣士のクラスクエストなどです。『蒼天のイシュガルド』では、暗黒騎士のジョブクエストなどを担当しました。

──すべて心に残るお話でした(笑)。

石川 ありがとうございます(笑)。

──双剣士だけでなく、忍者のジョブクエストもよかったです。カラスがいい味を出していて(笑)。

石川 申し訳ないんですが、私は双剣士までの担当で、忍者は別のスタッフが書きました。「忍者の人」と呼んでいただけることがあるのですが、そのたびに心苦しい気持ちになって……(苦笑)。

──そこまで細かく担当を分けると、シナリオ全体の整合性を取るのが難しそうです。

石川 リリースの速度や必要なテキスト量にあわせて、私たちの中では担当の入れ替えが結構頻繁に行われるので、お互いの(シナリオを)読んで対応しています。チェック体制も、スタッフの入れ替えを念頭に置いたものになっていますので、とくに問題ありません。

──根幹となるシナリオがすでに決まっているから、どの担当の方が描いても物語がブレないのでしょうか?

石川 そうですね。その根幹部分さえ守ってくれれば、後はそれぞれ好きにしてくれてもいいよ、みたいなところがすごく大きいです。書式はチーム内でテンプレートみたいなものがあるので、担当替えが行われてもスムーズに業務が進むようになっています。

──シナリオの制作は、積み上げていくタイプの仕事かと思うんですが、その部分につらさを感じたりしますか?

石川 私は、「やりすぎた」とか「受け入れられないのでは」という思いと常に戦いながら書いているので……自分自身との戦いです。

──織田さんはいかがでしょう?

織田万里氏(以下、織田) 石川と同じイベント班という部署のほかに、世界設定班という謎のグループがありまして、こちらにも併せて所属しています。いままで携わってきたシナリオでいうと、学者のジョブクエストは継続的に担当してきました。ほかにも『蒼天のイシュガルド』のメインシナリオと、パッチ3.1以降に追加された、いわゆる“奇数アップデート”のメインシナリオも担当しています。

──学者のクエストもよかったです。海洋都市ニームの成り立ちみたいなところが、謎の奇病を通じてひと通りわかる内容でした。

織田 ありがとうございます。

──『新生エオルゼア』や『蒼天のイシュガルド』当時と比較して、『紅蓮のリベレーター』の制作で何か違いはありましたか?

織田 『蒼天のイシュガルド』との違いでいうと、メインシナリオを(石川氏と)ふたりで分けて担当しているのがいちばん大きいところです。いわゆる3.Xシリーズ制作の途中からそういう体制になったのですが、そこがひとつのポイントかなと。

──なるほど。

織田 『蒼天のイシュガルド』当時は、イシュガルド(が舞台)という1本の大きな柱がありましたが、今回はアラミゴと東方地域という2本の柱があります。そこも以前と比較して、若干違うところなのかなという気がしています。

石川 物量的な面もあって、『蒼天のイシュガルド』もひとりでシナリオを書いていたわけではありませんが、今回はざっくりというと、西側のアラミゴと東方側という、わかりやすい(担当の)区分けになっています。私たちの気持ちとしては、2本立ての物語みたいなイメージです。

織田 そうですね。

石川 もちろん1本のお話にまとまって最後は帰結はするんですが、3.Xシリーズで行ってきた“交互に担当”を、ひとつのパッケージで実行した感じです。

──プレイヤーとしても、ある意味2本立てに近い感覚でストーリーが楽しめると。

石川 そうですね。一方で、『蒼天のイシュガルド』当時は、イシュガルド周りにすべてのリソースを投入できたんですが、今回は前回以上にたくさんの文化圏があるのでたいへんでした……。

──ベースとなる設定が単純に倍になっている感じですか?

石川 そうなんです。例えば箱を用意するにしても、前回はイシュガルド向けにひとつ準備すればよかったんですが、今回はギラバニアやアジムステップなど、さまざまな箱を用意する必要が出てきました。たくさんの文化圏のやりくりをどうしたらいいのか……リソースの分配は、すごく悩んだところです。

──ドマとクガネも、文化圏が似ているようで違いますよね。

石川 どこまでの設定を共通にして、あるいは(双方の)違いをどこまで出すべきか……といったところもたいへんでした。

●吉田氏を交えた“合宿”で原案を作成
──今回は、石川さんや織田さん側から、“こういうふうな設定にしよう”みたいな感じで物語の原案が広がっていったのですか?

石川 『紅蓮のリベレーター』のメインシナリオの作りかたとして、今回は吉田(吉田直樹氏。プロデューサー兼ディレクター)から「アラミゴ奪還が目標となるストーリーのほかに、東方もやりたい」という話をもらいました。それを受けて、キーワードを世界設定班で協議し、新たに登場するフィールドの感じと、それらを訪れるざっくりとした順番を提案しました。

──吉田さんから、プロットが提示されてたわけではないんですね。

石川 そうです。ですので、吉田と織田と私の3人でシナリオ合宿をしました。

──お三方で合宿されたのですか!

石川 何しろ吉田は多忙のためなかなか時間が取れないので、合宿という体裁で時間だけ押さえてもらいました。やっていることは、たんなる打ち合わせです。都内の貸し会議室を確保して、朝から晩まで……(笑)。その日は「お疲れさまでした」と言ってふつうに帰宅して、また翌日に会議室にこもる日々です。

──それだけ長時間、吉田さんの時間を拘束するのはまさに合宿レベルです(笑)。

織田 あまりないですね(笑)。

石川 何日も合宿を重ねて、「こういう順番で(地域を回ろう)」みたいなところを決めました。おかげで、すごく詳細までネタが決まった部分もあったのですが……。

──決まらない部分も出てくるわけですね。

石川 “何かやる、以上”みたいな2行程度のコメントで終わった項目もありました(笑)。

──その合宿で大まかなプロットが決まったと。

織田 そこで仕上げたラフなプロットをもとに、地域ごとの担当者を決定。その後で、地域内で展開される物語の順番や、そこに登場するキャラクターといった詳細なプロットを組み上げていきました。それが完成したら、もう一度吉田にチェックしてもらう形です。

──吉田さんから、何かテーマを提示されたりしましたか?

織田 今回は泳げるようになるので、水中の要素は欲しいという意見はありました。とはいえ、“水推し”かと言われればそれほどでもないので……さほど強いテーマはなかったです。

石川 基本的に『FFXIV』は遊びやフィールドを決めたうえで、それを含めたシナリオを描くところがあります。もちろん今回もアラミゴの解放というテーマがあって、その中でたとえば「あまりきれいごとにしないでね」といった注文を受けたりはしました。ですがそれよりも、「これくらいのタイミングで泳げるようにしてね」といった部分のほうが重要度が高かった気がします。

──それが吉田さん流のゲーム作りなんですね。

織田 “ゲームプレイ重視”という部分は、吉田や前廣(前廣和豊氏。シナリオセクション:マネージャー)は徹底していると思います。

──合宿を終えた後、吉田さんと何かすり合わせのようなものは行わたのですか?

織田 細かいシーン構成に関して、石川の見えないところで吉田とガチガチやっていました。「うるさいやつだな」と思われたかもしれません(笑)。

──見えないところでバトルがくり広げられていたんですね。

織田 吉田はこちら側の意図を真正面から受け止めてくれたうえで、自身の考えを伝えてきます。そこをやらせてくれるのが、『FFXIV』チームのいいところなんだなと思っています。最終的に、「これで行こう」と決まってよかったです。念のため申しておくと、べつにケンカをしているわけではないですよ(笑)。

──それにしても、合宿とお聞きした瞬間、京都の別荘や河口湖畔のロッジを連想しました(笑)。

織田 優雅な感じで(笑)。

石川 でも実際は、都内の貸し会議室という(笑)。

織田 3人でラーメンをすすって……(苦笑)。

石川 オフィス街の周辺だったせいか、ラーメン屋さんが混んでいて。3人で並んで座って、急いで食べて帰るみたいな感じでした(笑)。

──あまり会話もなく……?

石川 はい(笑)。でも吉田は北海道出身のせいか、ラーメンにうるさいんですよ。吉田のラーメン評を聞きながら食べていました。

──ちなみに『蒼天のイシュガルド』のときは、どうたったんですか?

織田 あのときは「イシュガルドをやろう」という話が(吉田氏から)ありました。もともとイシュガルドはドラゴン族と1000年間戦争をしている国という設定があったので、おのずとその戦いを描くことになりました。そこから、世界設定班からフィールドの原案を出していった感じです。

──フィールドが、それほど物語に影響を及ぼしているとは思いませんでした。

織田 当時はフライングマウントが実装されることもあり、空をテーマにしたフィールドが欲しいというオーダーを受けていました。それを受けて雲海をはじめとする設定を盛り込んだうえで、“フィールド先行”という考えかたのもとで、冒険者が訪れる順番とストーリーを決めました。『蒼天のイシュガルド』では合宿みたいなことはせず、こちら側から提案したプロットをチェックしてもらった感じです。

●キャラクターに抱く印象は人それぞれ
──プレイヤーがリセに抱くであろうイメージはどのようなものでしょう?

織田 “仮面をかぶった仮のイダ”としていままで登場してきた人物ではありますが、彼女そのものは、『新生エオルゼア』の物語にさほど深く関わってきたわけではありません。グリダニアから冒険をスタートすれば、多少関わるかなという程度でした。ですので、リセはほぼ新規のキャラクターだろうと思っています。プレイして抱くイメージは、ゲームを遊んでくれた方ひとりひとりが感じるものなので、我々書き手の側からこうしてほしいという願いはありません。ぜひプレイして楽しんでください、という感じです。

──“私はこう思う”みたいに、リセは人によって印象が分かれるタイプでもないと。

織田 反応は実際に見てみないとわからいと思います。イヤなキャラクターに描いた気はしていませんが……(笑)。

石川 “イダじゃない”がキーワードになると思います。これまでの(活発な性格の)彼女をイメージすると、少し違うかもしれません。仮面を脱いでイダからリセになったことで、新しい登場人物として生まれ変わった……そんな感じで見てもらえば、より素直にイメージが抱けるかなという気はしています。

──イダの首筋に刻まれていた賢人の証がハラハラと消えていく、メインシナリオの名シーンを境に、リセの物語が始まるイメージですか?

石川 そうですね。リセとしての物語は、パッチ3.56から始まったと言っていいと思います。プレイヤーのみなさんとも、まだ短期間しか時間を共有していません。新キャラクターなので……よろしくお願いします(笑)。

──ほかに開発秘話はありますか?

石川 ござるさんは、吉田しか使ってなかったです(笑)。

──なんと(笑)。

石川 たしかに吉田はそう呼んでました(笑)。

織田 ずっと言ってましたね。

石川 それが開発内に浸透したかというと……(苦笑)。

織田 ゴウセツに関していうと、パッチ3.56と『紅蓮のリベレーター』のボイス収録を合わせて行いました。そのためスケジュールの関係上、ゴウセツの日本語の音声がなかなか開発環境上のバージョンに乗りませんでした。最後まで、海外版のボイスを仮でつけていたので、初登場のシーンでゴウセツだけが「I am Gosetsu」と英語で話していました(笑)。

石川 そのせいで、開発の中で「異国から来た人物だから、日本語版でも英語で話しているんですか?」という(勘違いの)やり取りもありました(笑)。

●クガネの街の温泉宿に日本人だからそのこだわりが
──オサード小大陸周辺は、現実世界の東アジア地域をモチーフにしているように思えます。東洋的な文化を『FFXIV』に落とし込む際に気を付けた点はどのあたりでしょう?

石川 『蒼天のイシュガルド』はヨーロッパ風ですが、現地の人から見ると「そういう文化ではないのに」と言いたくなる部分も多いと思います。にも関わらずゲームとして成立している理由は、西洋ファンタジーではあるものの、あくまでも『FFXIV』の世界におけるイシュガルドだからです。今回も、寄せようと思えば中国や日本の姿にいくらでも近づけられますが、私たちは『FFXIV』としての歴史の流れみたいなところを大切にしています。

──なるほど。

石川 たしかに実際の国々とは多少違いますし、(現実世界とゲーム世界とのあいだで)文化がクロス(交錯)するかもしれません。ですが、「この経緯を歩んできた国ならこうするだろう」みたいな感じで、ゲームの世界における整合性を重視した感じです。

──惑星ハイデリンの中での異国情緒ですね。

石川 そうです。

織田 そういう意味では、過去の『FF』シリーズも参考にしました。たとえばドマは、『FFVI』で登場した国から名前を取っています。ですが『FFVI』当時のドマのお城は、ドマ城の外観は西洋風でしたし、和風的な要素がほぼありません。せいぜい、和風な点といえば、カイエンが刀を使って必殺剣をくり出すくらいでした。

──たしかに和風で統一された印象はなかったです。

織田 その『FFVI』風のドマの再現を目的としたかといえば、そうではありません。『FFXIV』の東方地域にあるドマはどんな文化だろう……といったところを想像しながら、デザインを詰めていきました。ただし『FFVI』のドマをすべて無視したわけではなく、たとえば川の近くに城があるといった、立地上のエッセンスは活かしてあります。

──『FFVI』経験者は、はニヤリとできそうです。

織田 『紅蓮のリベレーター』に登場するドマ城は、川が重要なポイントを占めています。また『FFVII』のウータイという場所は、わりと日本や中国文化の影響を受けたような見た目になっているので、そのデザインラインの一部も参考にしています。

──『FFXIV』の中の和風を表現することに苦心されたわけですね。

石川 クガネに温泉宿みたいなところがあるんですが、そこだけは「日本人が変に思わないように作らないと恥だ」と吉田から言われました。

──そんなことが。

石川 「脱衣室前には仕切りがなければダメだ」みたいな感じで。そうしたところは(現実世界を忠実に)踏襲している、ということです。

織田 我々日本人は、畳敷きの部屋に土足で上がり込むことにすごく罪悪感を覚えます。靴を脱いで上がりたくなるところですが、『FFXIV』はそういう仕様になっていません。ですので、そうした部分にも気を配った室内デザインになっています。

──細かい部分も配慮されているのですね。

石川 温泉に浸かっているNPCが裸になっているのかといえば、もちろんそうではありません。ですが、スタッフのこだわりで“すごい服装”になっているので、クガネの温泉宿にぜひご期待ください(笑)。

──これまで温泉と言えば、ブロンズレイクやクルザス西部高地でしたが、今後はクガネも加わるわけですね。

石川 服を脱げない『FFXIV』でどうやって(入浴の様子を)再現したのかを、ぜひお楽しみに。もちろん水着ではありませんよ(笑)。

──たしかに日本人から見ると、水着などの服を着て温泉に入ることに違和感を覚えます。

石川 各国の倫理などさまざまな要素と戦いつつ、その部分をクリアしました。キャラクター配置を担当するスタッフたちのがんばりです。

●ガレマール帝国は三大州最強の軍事国家
──幾多のアラグ帝国の防衛機構を撃破してきた光の戦士たちにとって、若干ですがガレマール帝国は“力不足”のようにも思えます。現在の世界情勢において、ガレマール帝国はどれくらい強い存在なのでしょうか?

織田 少なくとも冒険者が暮らしている“三大州”においてはもっとも強く、かついちばん広大な国土を持つ国家です。(個人的にも)ほぼ最強の存在だろうと思います。プレイヤーのみなさんが戦っておられるアラグの兵器は、いまから5000年前から現代まで残っている遺跡だったりしますので、当時の最盛期のものではありません。

──アラグ帝国が滅亡する直前の、いわば性能の低い兵器ということですか?

織田 一方で、これまで冒険者のみなさんが戦ってきたアラグの兵器類は、5000年間、メンテナンスもされず放置されてきた遺物に過ぎません。アラグ黄金期の新品同然のものと戦ったかと言えば、そうではないということです。

──なるほど。

織田 とはいえ、ゲーム内での強さを比較しても、あまり実のある議論にはならない気がしています。たとえば、F.A.T.E.に登場する狼に、光の戦士が倒されることもあるわけです。だから、光の戦士が狼よりも弱いのかといえば、そうではないですよね。

──おっしゃる通りだと思います。

織田 『新生エオルゼア』の物語を、ガイウス・ヴァン・バエサルと戦うところに持って行ったこともあり、プレイヤーのみなさんにとって帝国軍との戦いははじめてではありません。ガレマール帝国は“すでに乗り越えた相手”という印象がどうしても拭えないので、いまのようなご質問をされるのだと思います。

──たしかにそうかもしれません。

織田 だからこそ、今回もう一度、ガレマール帝国と戦うに際して、いかにしてガレマール帝国に“乗り越えるべき強敵”という認識を持っていただくか……この点も、シナリオを含めたゲーム体験で工夫しました。そうした部分にもご期待いただけるとうれしいです。

──その部分は、さきほどお話に出た合宿で吉田さんと打ち合わせたりしたのでしょうか?

織田 ゲームとしてのコンセプトに関わる、いままでにない構図のバトルなどを用意していて、それをやっていいかどうかは合宿でも議論しました。

──『紅蓮のリベレーター』で、ガレマール帝国の文化が語られたりするのでしょうか?

織田 たとえば、ガレマール帝国には徴兵制度があることが過去のシナリオで語られていますが、実際に徴兵された人たちがどうなるのかという部分が、当事者が登場する形で語られたりします。

──これまで文字ベースで語られてきたことを、実際に目の当たりにできるわけですね。

織田 そうです。より詳しく体感できる作りになっています。また、エオルゼアに帝国軍の基地がいくつか建てられていますが、あれは“攻め込んだ地域に建設した仮設の建物”という設定をベースにデザインされています。一方でアラミゴは20年前に帝国に占領されたわけですが、建物に関して言えば、その期間中に建てられた“帝国本来のデザインライン”になっています。

●アラミゴには『旧FFXIV』時代の設定が山盛り!?
──今回アラミゴを作るに当たり、紅葉戦争を代表とするかつてのグリダニアとの関わりなど、『旧FFXIV』の設定がどれくらい生かされているのでしょうか?

石川 あるものはひと通り使った気がします。

織田 イシュガルドという国自体は、中に入れないにせよ、『旧FFXIV』時代も目で見えていました。そのわりに、この国に関する設定は当時あまり語られていません。せいぜい、ドラゴン族と戦っていて、内部に異端者がいるといった程度です。

──あとはチョコボを生産していて水がきれいで……くらいでしょうか。

織田 はい。一方でアラミゴは、イシュガルドとは違いまったく姿が見えないにも関わらず、たとえばミンフィリアの故郷だったり、『旧FFXIV』時代の“相棒”の出身地だったりなど、メインシナリオでいろいろ語られてきました。表に出ている情報がかなり多いので、そこを壊さないようベース(の設定)として活用することを意識しました。

──たしかに、アラミゴ関連の情報は多いですよね。

織田 たくさんのフレーズが出ているので、そこを丹念に拾っていきました。内部的に存在するだけで表に出ていない情報もあったのですが、それとは分けて考えてあります。

──メインシナリオ以外の部分にも、そうした要素が散りばめられていそうです。

石川 『紅蓮のリベレーター』のメインシナリオだけでなく、たとえばジョブクエストや集落で受注できるクエストにもそうした部分が反映されています。全体のゲームプレイを通して、過去に登場した設定を拾ったり、あるいは理解を深めたりしていただきたいです。

──個人的に、ミンフィリアの父親のウォーバートンがどういう人物だったのかという部分にモヤモヤを感じているのですが、この悩みは解決されますか?

織田 さぁどうでしょう(笑)。

──たとえばクォーリーミルにいるメッフリッドみたいな人も、何らかの形で『紅蓮のリベレーター』の物語に関わってくるのでしょうか?

石川 先日公開された“Revolutions”トレーラーに、メッフリッドがいることに気付いた方もおられたようです。ですので、どこかで登場するかもしれません(笑)。“Revolutions”トレーラーではリセだけでなく、アラミゴぽい人たちやエオルゼア同盟軍の兵士たちも登場していまいた。そうした人々が戦うシーンがある……といったところから、いろいろ想像をめぐらせてください(笑)。

●ガレマール帝国の設定を深掘り!
──アラミゴやドマで顕現した蛮神を討つと、当地を支配するガレマール帝国を利するような気もします。

石川 蛮神の召喚を好ましく思っていないのは、帝国も同様です。しかし、むしろ帝国の側から見れば、蛮神を倒しまくる光の戦士がいるという事態こそ脅威に思っているはずです。光の戦士にできることが自分たちにはできない……つまり、帝国が御しきれない力を制する者たちがいることへの恐怖を感じていると思います。この問題に対して、彼らはどういう対策を練ってくるのかといった部分にもご注目いただきたいです。

──これまでの経緯を思い返せば、帝国が光の戦士に警戒感を抱くのは、ある意味当然ですよね。

石川 魔法が使えない帝国人にとって、光の戦士は“未知の技術体系”のようなものです。これに対する恐怖は相当なものだと思います。

──ガレアン人にとって、魔法とはどのような存在なのでしょうか?

織田 インスタンスダンジョンなどに登場する帝国兵を見ていただくと、魔法を使う相手はすべからく兵隊の格好をしています。彼らはどこか別の地域から徴兵されてきた人々なので、当然ながら魔法が使えるわけです。一方、全身を甲冑で包んだ、ガレアン人と呼ばれる生粋のガレマール帝国人は、一切魔法を使わずに剣やガンブレードで攻撃してきます。帝国では魔法の使用が禁止されているわけではありませんが、軍の上層部は魔法にあまり理解がなく、野蛮なものだとさえ思っています。そのせいか、帝国では魔法の研究はさほど進んでいないのが現状です。

──そんな彼らは、アラミゴをどう支配しているのですか?

織田 魔導技術の力で、人々を押さえつけているのが現状でしょう。そこで魔法という存在がキーワードになるのか、ならないのか……といったところです。

──ガイウス・ヴァン・バエサルが倒された後、アラミゴ総督の座は空位になっていたようです。ゼノス・イェー・ガルヴァスが着任する前に、たとえば代理総督のようなポストは置かれていたのでしょうか?

石川 (代理総督の有無は別として)当時の正式なアラミゴ総督としての人物名は出ていません。いずれにせよ、行政機関や官僚機構は従前どおり機能していましたので、彼らが代理総督的な業務は担えるはずです。

──ネール・ヴァン・ダーナスは総督の座に就いてませんよね?

織田 ネールは違います。

──今回更新されたワールドマップは、惑星ハイデリン全体でどれくらいの面積を占めるのでしょうか?

織田 情報をおさらいしますと、今回公開された横長の大きなマップは、“三大州”と呼ばれる“世界最大の大陸”です。この“最大”の部分が、注目していただきたい点です。一方でその南方に、メラシディアという別の大陸が存在することも語られています。またそれとは別に、マムージャたちが暮らす西方地域に、“新大陸”と呼ばれる大陸があります。これらの情報から想像をめぐらすと、おのずと惑星ハイデリンの規模が見えてくるのではないかなと。

──なんとなく想像できる気がします。

織田 ちなみにあのワールドマップに描かれている雲は、データ上ではペリペリと剥がすことができます。もちろん、その下にある地域も描かれています。

──ということは、いずれ……!

織田 雲を剥がすと見えますが、なかなか剥がせません(苦笑)。

──ワールドマップにはいろんな秘密があるのですね。

織田 プロモーションなどで壁面にプリントすることも念頭に作られているので、じつはものすごい高解像度で描かれています。

──それこそ、ドラマ『光のお父さん』のオープニングで使用できるほどの大きさです。

織田 はい。とても高解像度なものなので、ふつうのPCで開くとハングします(笑)。

──いくつかに分割されているのかと思っていました。

織田 ハイスペックPCで開かないと、中身が見えません(笑)。

──ということは、作るのは相当……。

石川 たいへんだったそうです(笑)。

──もちろん、雲の下も含めてですか?

織田 そこも含めてちゃんと描いてあります。

──エオルゼア全図(更新前のワールドマップ)の作者であるロダード・アイアンハートは、かつてそこも踏破したわけですか?

織田 それはどうなんでしょう(笑)。エオルゼア全図を描いたのはたしかにロダード・アイアンハートですが、それ以外の地域に関しては、後世の人たちが書き足した部分もあるのでしょう。

●オメガと神龍の激闘は夢の大怪獣対決!
──いわゆる3.Xシリーズのシナリオの流れは、どんな感じで決められていったのですか?

織田 3.Xシリーズのパッチを大きく5つに分けて公開する計画が(スタッフ向けに)発表されたとき、吉田と相談して「パッチ3.3くらいをメドに『蒼天のイシュガルド』のお話を総決算して終わらせる。そこからパッチ3.4から3.5くらいで、『紅蓮のリベレーター』に向かうべく、視線を東に向けていく」ことが決まりました。

──たしかに物語はそういう流れでした。

織田 『蒼天のイシュガルド』のときは、イシュガルドにクルザス中央高地という実際に訪問できるエリアが存在しました。そのおかげでシヴァなどのお話が作りやすかったんですが、『紅蓮のリベレーター』の場合はそうはいきません。なぜなら、アラミゴの一部に入ることができない状況下で、現地に向かう話を描かなければならないからです。ここが、難しかったポイントです。

──せいぜい、黒衣森から巨大な壁が見える程度でした。

織田 そうです。そこで、あの壁が見えるところを最大限に使うにはどうしたらいいか、と考えました。ゲーム体験としてその中に足を踏み入れないとわからないことも多いので、リソースなどの状況も踏まえて話の中身を考えた末に、巨大防壁 バエサルの長城を入れることにしました。

──あのインスタンスダンジョンは、織田さん側から提案されたものだったんですね。

織田 そうですね。こちらからオファーしたところではあります。

──内部構造も、そうした“実際に足を踏み入れる”ことを匂わせる作りになっているわけですか?

織田 第1フェーズは黒衣森側の地上部分での戦闘。第2フェーズで壁の中を登り、第3フェーズで壁の上で戦う……この流れで進行したうえで、最後のボスにイルベルドを登場させることをお願いしました。

──巨大防壁 バエサルの長城の構造自体が、アラミゴに足を踏み入れつつあるという雰囲気を作り上げているわけですね。

織田 ゲームプレイとともに、そこを体験できるよう意識しました。

──パッチ3.56のラストで登場する長めのイベントシーンには、真龍やオメガなど、さまざまな要素が登場します。織田さんは、どの部分に気を付けてこのシーンを作ったのですか?

織田 オメガと神龍というアイデアを出したときに、『FF』シリーズの伝統で双方がライバル関係にあるみたいな設定は昔からあるものの、実際に彼らが戦っているシーンをまだ誰も見たことがないよなと考えました。『FFXIV』は『FF』のテーマパークでもあるという当初からの吉田の狙いを反映させるからには、誰も目の当たりにしていない“夢の大怪獣対決”を実現してみたいというファン心理的な気持ちもありました。

──たしかにあのシーンは“夢の大怪獣対決”と呼ぶのがピッタリです(笑)。

織田 実現にはすごいコストがかかるので、(事前に)「やっていいですか?」とお願いしました(笑)。あのシーンは、かなり時間をかけて作ったものです。

──どういう流れで作られていったのですか?

織田 いちばん最初に、シナリオ班側から文字ベースのコンテを出したんですが……ほぼ3行くらいの簡単なものでした(笑)。

──どんな感じの文面ですか?

織田 “壁があって、そこへオメガがやって来て、上空で神龍と戦う”くらいのものです。それをカット担当者に持ち込んで、絵コンテを仕上げてもらったんですが……要素が山盛りのとんでもない状態になって戻ってきました(笑)。

──“3行で説明”程度のコメントが、絵コンテでそこまで広がるのですか……。

織田 “タイダルウェイブやデルタアタックがやりたいです”的なものが詰め込まれていて、ものすごいページ数でした。

石川 時期的には、たしかパッチ3.3のカットシーンを制作しているころだったんですが、並行してその作業も行っていた感じです。あの場面だけは、より早めに進めていましたね。

織田 実際に戦わせるのはまだ先なのに、オメガなどのデザインや、そのモデル制作も前倒しで進めてくれていました。

──その絵コンテをご覧になって、織田さんは感動されたわけですね。

織田 すごくいい内容なんですが、本当に作りきれるのかなと(苦笑)。“開幕にタイダルウェイブ、画面全体に津波!”と書いてあって……。こんなことが本当にできるのかと(笑)。

──石川さんはそれを見てどう思われましたか?

石川 開発チームの中に、大怪獣決戦やロボ合体みたいなキーワードに対して俄然燃え上がる層がありまして……。(彼らが持ってきた)絵コンテを見た瞬間、これは燃え上がったなと。スイッチが入ったと思いました(笑)。

──そうしたアイデアは、最終的にあますことなくムービーに盛り込まれたのですか?

織田 そうですね。

●メインシナリオ以外の物語にも注目を
──『紅蓮のリベレーター』をプレイするに当たり、どの部分に注目してほしいですか?

石川 遊びかたのひとつとして、システムコンフィグで“騎乗中のBGM再生を有効にする”のチェックボックスをオフにしたうえでプレイしてみてください。その土地に根差した曲が流れた状態で、フィールドを駆け回ったりお話を進めたりすることで、(ゲームの)体感が大きく変わってくると思います。メインシナリオを終えて、極蛮神討滅戦のマウントを手に入れたあたりでBGMをオンに戻していただけると、ちょうどいいのではないかと思います。

──帰宅したらすぐ、マウントのBGMをオフにします(笑)。

石川 その土地ならではの曲を聴きながらプレイするだけで、まったく新しい文化圏での冒険を肌で感じることができると思います。またそうすることで、訪れた先々で語られるシナリオも、より深く楽しんでいただけるのではないかと……。

──石川さんはBGM関連のお仕事もされているのですね。

石川 サウンド班に対して「こういうマップを作るので、このような系統の音楽を作ってください」という感じで、BGMの発注も担当しています。もともと前廣から引き継いだ仕事です。

──たとえばどんな感じで、サウンド班の方とやり取りするのでしょうか。

石川 「今回の蛮神討滅戦のBGMは、こんな系統で行きましょう」みたいな感じです。サウンドの調整や作曲の内容は先方に任せていますが、「このフィールドはこんな文化圏内にあるので、このような音はどうでしょう」といったところを相談しています。曲調についても、「このダンジョンはノリノリのアップテンポで行きましょう。一方でこちらのバトルは落ち着いた感じで」のようなやり取りをしています。

──機工城アレキサンダー:律動編4層の戦隊シリーズぽいBGMも、石川さんが関わっていらっしゃるんですか?

石川 祖堅(祖堅正慶氏。サウンドディレクター)やバトル担当者を交えて、「これやっちゃいます?」みたいな雰囲気の中で決めました(笑)。絵を見ながら「もっと攻めていこう」ということになり、最終的に現在の形になりました。「ゲヘヘ」と笑いながら、打ち合わせしたことを覚えています。

──それでは、織田さんがプレイヤーに注目してほしい点をお聞かせください。

織田 メインシナリオのほかにも、最新のジョブクエストや、ギャザラー&クラフターのクラスクエストの続編も用意されています。そしてみなさんが訪れた先で、濃いシナリオが楽しめる連続もののサブクエストにも出会えます。いろんなところに物語が存在するので、そうした部分も楽しみにしていただければと思います。それに備えて、いまからレベル60までのジョブクエストを進めておくといいのではないでしょうか。

──たとえば忍者のジョブクエスト以外にも、『紅蓮のリベレーター』に向けてチェックしておくべきシナリオがあるんですね。

石川 ジョブおよびクラスクエストでも、『紅蓮のリベレーター』のタイミングだからこそ体験できるシナリオが語られます。これまで各所に散りばめられてきた、アラミゴに関するエピソードを回収する話にもなっているので、そういう視点で見てもらえれば、今回の世界観をより深く理解できると思います。

※本インタビューは、週刊ファミ通2017年6月29日号(2017年6月15日発売)に掲載された『ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター』記事内に掲載した内容に、加筆・修正を施した完全版です。

最終更新:6/16(金) 18:07
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