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仙台「正論」懇話会 加藤元支局長、韓国新政権を語る「日本は危機の中にある」

6/16(金) 7:55配信

産経新聞

 15日、仙台市青葉区の仙台勝山館(しょうざんかん)で開かれた仙台「正論」懇話会の第48回講演会。講師に招かれた産経新聞東京本社社会部編集委員で元ソウル支局長の加藤達也氏の解説に、約190人の来場者は熱心に耳を傾けた。

 講演後の来場者からの質問では、文在寅(ムン・ジェイン)政権が情報機関、国家情報院の体制を縮小したことで北朝鮮のスパイ対策は問題ないのかという問いに、加藤氏は「警察の保安部門に移管するということを言っているが規模や能力は弱体化する。北朝鮮を刺激したくない文政権の姿勢を示している。(韓国が)譲歩したからといって、北は譲歩する国ではない」と指摘した。

 また、核開発を続けるなど北朝鮮の脅威が高まっている中で、韓国国民はあまりに無頓着ではないかという質問には「韓国の人々は危機に慣らされてしまい、『来るときは来るから仕方ない』という泰然自若の姿勢になっている。また、『(北は)同胞を攻撃しない』『金正恩(キム・ジョンウン)政権が(韓国を攻撃しても)得をしない』と割り切った考えに徹している」と説いた。

 さらに、韓国で正しい歴史認識を持っている人はいないのかという問いには「史実を厳密に見つめようとしている人はいる。しかし韓国が、日本統治時代に経済や公衆衛生の面で発展したという事実を体系的に書物にするのは非常に勇気の要る行為だ」とした上で、「韓国人自らが日本へのコンプレックス(劣等感)を正常化していかなければ、国の発展が阻害される」と言い切った。

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 ■講演要旨

 韓国の文在寅政権の誕生から約1カ月がたったが、衝撃を過小評価すべきでない。日本は危機の中にある。北朝鮮は核を搭載して日本を射程におさめる弾道ミサイルを持っているとみるべきで、技術的進歩は加速している。北朝鮮の脅威について、安倍晋三首相は「危機のレベルは新しい段階に入った」と言っている。

 こうした中、日本と韓国は安全保障上の戦略的利益を共有する必要がある。日韓は昨年11月、秘密情報の共有を可能とする「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)を締結した。北朝鮮の脅威の高まりから、情報交換が必要な局面を迎えているが、文政権になり、日本が必要とする情報が「人質」にされかねない懸念がある。

 文政権には北朝鮮に従い、「一帯一路」構想など中国の新しいスタイルの覇権主義を容認するような姿勢が垣間見える。こうした「日本の脅威」となる政権が成立した背景には、国内の大きな生活格差がある。韓国の若者は「ヘル朝鮮」(地獄の韓国)と呼ぶ。権力者が不公平なことをすると、それが国民の怒りの対象に結びつく。朴槿恵(パク・クネ)前大統領は魔女狩りのような状況に追い込まれた。大統領選で文氏の得票率は約40%だったが、就任1カ月後の支持率は約80%にも上った。文氏はこれを裏切らないようにするため、政策が総花的になる。それがすでに見受けられる。

 朴前大統領は韓国政治に特徴的な見せしめと報復の犠牲者になった。朴氏は文氏に親日派の象徴と見なされている。親日派は「不正腐敗」というイメージが広がっている。親日派を全て駆逐するというのが文政権のスローガンだ。

 韓国では憲法の上に「国民情緒」があるといわれ、国民情緒に反することはできない。このため、朝鮮半島有事の際に、在韓邦人の救出に向かった日本の自衛隊が韓国から入国を拒否される可能性がある。自衛隊を入国させることは国民情緒に反すると判断される恐れがある。韓国には日本人が5万~6万人いるが、この大勢の人が見殺しの危険にさらされかねない。

 韓国を相手に日本はどうすべきか。日本は外交や安全保障面で自立する必要がある。軍事力と経済力で国家を支えるため、憲法改正に踏み込まなければならない。憲法改正で「国の背骨」をしっかりとさせる必要がある。

最終更新:6/16(金) 7:55
産経新聞