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『Transference』はイライジャ・ウッドも開発に参加する、とにかく怖い“サイコロジカルスリラー”【E3 2017】

6/16(金) 20:17配信

ファミ通.com

文・取材・撮影:編集部 古屋陽一

●映画のプロとゲームもプロがコラボ
 2017年6月13日~15日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスのコンベンションセンターにて、世界最大規模のゲーム見本市、E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2017が開催。6月13日に行われた“Ubisoft's E3 2017 Press Conference”で発表された『Transference』は、ユービーアイソフト モントリオールのFunHouseとSpectreVisionというスタジオが手掛けるVR対応のスリラーゲーム。FunHouseは、『チャイルド オブ ライト』(2014年)など、新しい発想のタイトルを生み出している部署。一方のSpectreVisionは、俳優のイライジャ・ウッドが設立した会社とのことで、非常に魅惑的なスタジオによるコラボ作となる。いまだ謎に包まれたままの『Transference』だが、ファミ通.comでは、ユービーアイソフト モントリオール FunHouseのベノイト・リシェ氏と、SpectreVisionのカイル・マクロウ氏にインタビューをする機会を得た。

 マクロウ氏によると、SpectreVisionは数年前からVRに魅力を感じ、「これがメインストリームになる」と確信していたらしい。そこで視察でE3 2015に訪れたところ、ユービーアイソフトの『イーグルフライト』に出会い、「これだけの革新的なタイトルを手掛けるスタッフとならば、すばらしいVRタイトルが作れる」(マクロウ氏)と確信したのだという。そこで、意を決してユービーアイソフトに問い合わせて、FunHouseとコラボすることになったのだとか。SpectreVisionにはVRコンテンツに対する数多くのアイデを持っていたが、FunHouseと話し合いを重ねていく過程で、『Transference』に落ち着いていったのだという。

 『Transference』を開発するにあたって念頭にあったのは、VRの技術を活用できるようなタイトル。「VRでヘッドセットを付けたら忍者になれる」といったアイデアもあったそうだが、「自分自身でいられて、なおかつゲームの中でVR体験ができるような、自分の感情をそのまま表現できるようなタイトルを作りたかった」(マクロウ氏)のだという。そこで、没入感があるということと、ゲームを作る会社(FunHouse)と、映画を作る会社(SpectreVision)ということで、スリラーというジャンルが最適だと判断したようだ。『Transference』は“サイコロジカルスリラー”と銘打たれているのだが、それは“人の精神に入っていく”というモチーフがあることからきている。さらに重要な要素が“テクノロジー”で、テクノロジー(VR)を付けることで、“みずかがら参加する”との思いもあるという。

 開発での注力したポイントは、ナラティブ(語り)とゲーム性の融合。本作では、絵を決めたられた場所に配置するといったパズル的な形でゲームを進めていくことになるのだが、それをいかにナラティブ(語り)とスムーズに融合させていくかに苦慮したようだ。それは取りも直さず、映画とゲームの融合ということが言えるのかもしれない。

 肝心の“スリラー”の部分でも、感情がどんどん高まっていくように演出などにも工夫を凝らしているとのこと。ただし、怖がらせるだけではなくて、“何かおかしいな?”という興味を持ってもらえるようにしているという。怖がらせるだけでは、ユーザーはゲームを先に進めてはくれない。「怖いんだけど、何が起きるか知りたいというモチベーションを抱けるような内容にしたかった」(リシェ氏)という。スリラーということで、恐怖のさじ加減がカギになるかと思われるが、開発にあたってはデベロッパーだけではなくて、いろいろな人を呼んでプレイテストをしてもらって、「本当にいちばん驚いたり怖がったりするような瞬間をチェックしていい感じに調整している」とのことだ。

 さて、先述の通り、SpectreVisionは俳優のイライジャ・ウッドさんが共同創設者として設立した会社で、『Transference』の開発にあたってもストーリーのアイデアや設定など、ほかの開発者と同じように自分の意見を出して作り上げたのだという。かの『ロード・オブ・ザ・リング』のフロド役でおなじみのイライジャ・ウッドさんが開発に関わっていると聞くだけで、ゲームファンならワクワクしてしまうところだ。イライジャ・ウッドさんにとどまらず、FunHouseとSpectreVisionとの共同作業は極めて順調だったようだ。ロサンゼルスのSpectreVisionとモントリオールのFunHouseをSkypeでつないで、頻繁なやりとりをしていたという。「SpectreVisionがコンセプトを決めて、FunHouseが開発をするというのではなくて、最初から全部いっしょに開発しています。映画を作るプロフェッショナルとゲームを作るプロフェッショナル、どちらかが最初に何かを決めるというわけではなくて、全部話し合いで、いちから作り上げていったんです」(リシェ氏)という。「FunHouseは、チャレンジ精神が溢れていて、リスキーなことにも挑戦してくれるので、共同作業は楽しかったですね」とマクロウ氏が言えば、リシェ氏も「協力関係はパーフェクトでした」とのことで、極めて良好な関係だったようだ。


 と、ここまで駆け足でおふたりにお話をうかがってきたのだが、じつは本作は日本発売が決定していない。イライジャ・ウッドさんも参画しているということもあり、日本のユーザーも気にしてもらえそうなタイトルに思えるのだが……。そのことをわきまえつつ、日本のゲームファンに向けてのメッセージをお願いしてみると、「日本の映画やマンガなど、いろいろなホラーコンテンツは日本から来ています。それらに色濃く影響を受けた『Transference』を、日本のユーザーさんに気に入ってもらえるとたいへんうれしいです」(リシェ氏)、「日本の映画やアニメはリスクを取ることを厭わないので、そういったところからも『Transference』は影響を受けているので、ぜひ日本の皆さんにも楽しんでいただきたいです」(マクロウ氏)とのこと。思わぬところで、『Transference』と日本との近い関係性を知ることができたわけだが、こうなると一層日本でのリリースを熱望したくなるというもの。本作が気になる方は、日本のユービーアイソフトにぜひともご要望を!

 『Transference』は、海外ではプレイステーション4、プレイステーション VR、HTC Vive、Oculus Rift、Xbox One、PC向けに2018年春にリリース予定。VR専用ではないが、VRでこそより没入感に浸れるという。

最終更新:6/16(金) 20:17
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