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街照らすホタルの光とLED 逗子市、生息環境守る街路灯設置 神奈川

6/16(金) 7:55配信

産経新聞

 梅雨入り前後、暗闇で幻想的な光を放つホタル。逗子市は今年から、ホタルの生態に影響を与えにくい暖色系のLED街路灯を生息地周辺に設置し、まちぐるみでホタルを守る取り組みを進めている。「“ホタル仕様”のLED灯設置は全国的に極めて珍しい」(専門家)としており、ホタルと住民の共存に注目が集まる。

 「こんなにホタルが輝きを放つ年は初めて。正直、驚いている」。同市沼間でホタルの生息環境の保全に取り組んでいる清水一良さん(74)はこう語る。

 ■昨年の2倍に

 三浦半島内陸部を源流に約6キロにわたって逗子市内を流れる田越川では、梅雨入り前後に同川上流の同市沼間周辺約1キロにわたって、ホタルが乱舞する姿を見ることができる。今年はホタルの生態に配慮し、ホタルの光をより確認しやすくなった暖色系のLED街路灯を設置したこともあり、清水さんは「発生数は昨年の約2倍」と語る。

 沼間地区では、住民の防犯意識の高まりから、既設の蛍光灯よりも明るいLED街路灯の設置が検討されてきた。

 これに伴うホタルへの影響について、住民グループが同市出身の理学博士でホタル研究を行っている大場信義さん(71)に相談したところ、大場さんは「街路灯の輝度が高いと、(光を放つ)ホタルの求愛行動の障害になる」と指摘したという。

 大場さんが電機メーカーと共同で研究を重ねた結果、暖色系の光で、川面に光線が行かないように工夫を施したLED街路灯がホタルの生態に影響を与えにくいことが判明。市は“ホタル仕様”のLED街路灯の採用を決め、今年3月に同市の沼間地区と桜山地区を中心とした市内53カ所に設置した。

 ■過去5年で最多

 ホタル仕様のLED街路灯が設置されてから初めてのシーズンとなった5月中旬から2週間にわたって、市民グループが調査したところ、昨年は68匹が確認された沼間地区の地点で今年は145匹の発生が確認されるなど、各地点で昨年を大幅に上回る発生数となった。

 過去5年間の発生数でも最多を記録。「ホタル仕様のLED灯が早速効果を発揮したのでは」(市民グループ)とささやかれるなど、期待が高まっている。

 大場さんは「住宅地のそばにホタルが生息している環境こそが重要」としており、「ホタルと住民が共存することで、環境意識を高めるきっかけになれば」と語る。

 住民は「ホタル観賞の際には、車で来ることは避けてほしい」と呼びかけている。

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【用語解説】LED

 電圧をかけた際に発光する電子部品の半導体素子。「Light Emitting Diode」の頭文字をとっており、「発光ダイオード」と訳される。材料の違いにより、赤、オレンジ、緑など様々な色に発光するものがあるが、青色発光ダイオードの発明により、「光の三原色」(赤・緑・青)がそろい、ディスプレーの分野を中心にその研究開発に広く貢献した。

最終更新:6/16(金) 7:55
産経新聞