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「奪三振王」則本、野茂よりスゴい理由 ライバルも脱帽

6/16(金) 15:57配信

朝日新聞デジタル

 今季計110奪三振(6月15日現在)で、両リーグトップを走る楽天のエース則本昂大(たかひろ)投手。15日のヤクルト戦(神宮)は7回8奪三振で降板し、自身の日本記録の更新と、大リーグのペドロ・マルティネス(レッドソックスなど)らの8試合連続を超えることはできなかった。だが、その偉業は色あせない。プロ5年目、26歳の右腕はなぜ、三振の山を築けるのか。理由を探った。

【写真】15日のヤクルト戦。一回裏ヤクルト2死、打者山田(左)に投球する楽天先発則本=竹花徹朗撮影

 則本の前の日本記録は、大リーグでも活躍した野茂英雄(近鉄)の6試合連続だ。その野茂を捕手として支えた光山英和・現DeNAバッテリーコーチは言う。「野茂と則本の違い?それはコントロールと球種の多さや」

 野茂の持ち球は直球とフォークの二つ。荒れ球が持ち味でもあった。一方、則本は投球の軸になる直球、フォーク、スライダーに加え、スプリットやチェンジアップも投げる。

 今月8日の交流戦で対戦し、則本の球を間近で見た光山コーチは「全部が一級品だった」と振り返る。「野茂は直球か、フォークかの2択やから。それでも打者を打ち取れるのは野茂のすごさ。だけど、どの球でもストライクが取れる則本の方が打者には難しい。的が絞れないからね」

 交流戦で12三振を奪われた巨人の選手たちは「球威」を口にした。2三振を喫した坂本勇は「バットをいつもより短く握った。でも、想像以上にキレのある力強い球で、簡単には打たせてもらえなかった」。同じく2三振した阿部も「直球に力があってスプリットもいい。なかなか攻略は難しい」とうなった。

 今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、則本の調子は良くなかった。だが、日本代表のスコアラーを務めた志田宗大さん(ヤクルト)は「WBCの時とは球の精度が違う」と語る。「ストライクゾーンぎりぎりを球半分から、1個分で出し入れできている」。オリックスの駿太は、則本のフォークに舌を巻いた。「フォークが低めに、直球と(軌道が)同じようにくる」

 楽天の同僚は「直球の進化」をたたえる。二塁の守備位置から投球を見ている藤田は「去年より直球がよくなっている。だから変化球も生きる」。梨田監督は「直球の性能がよくなったよね。低めに集められているし、球持ちがいい」。

 15日に則本の記録を止めたヤクルト。則本から3安打を放った雄平によると「三振の記録を更新されても、試合に勝てばいい」とチームで話していたという。則本の低めのフォークを見極め、スクイズで流れを引き寄せた。三木ヘッドコーチは「相手投手は超一流。待っていても崩れないから、こっちから仕掛けた」。

 記録は止まったものの、今の則本の球はバットに当てるのも大変だ。「新ドクターK」の攻略に、対戦相手は今後も苦労を強いられることは間違いない。(プロ野球取材班)

朝日新聞社