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準備罪法 機運高めた五輪決定 対テロ国際連携の輪に

6/16(金) 7:55配信

産経新聞

 「テロ等準備罪」の新設を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が15日、成立した。3年後に2020年東京五輪・パラリンピックを控える中、ようやく国際連携の輪に加わるための条件が整ったといえる。

 国際組織犯罪防止条約(TOC条約・パレルモ条約)が平成12(2000)年の国連総会で採択されると、政府は15年、「共謀罪」を新設する同法改正案を国会に提出。16年と17年にも提出したが、いずれも廃案になった。「『集まった』という理由だけで罪のない一般人まで罪に問われ、人権侵害につながる恐れがある」などと当時の野党が強く反発したためだ。

 ▼G7で唯一未締結

 一方、国際社会からは関連法を早期に整備するよう求められていた。TOC条約には187の国・地域が締結しており、国連加盟国で未締結なのはわずか11カ国。北朝鮮ですら締結している国際条約に、日本は先進7カ国(G7)で唯一、締結に至っていなかった。

 テロ対策として改めて法整備の機運が高まったのは、2020年東京五輪・パラリンピックの開催決定だった。共謀罪の構成要件を見直し、犯罪の合意に具体的な準備行為を加えた「準備罪」に変更。名称もテロ等準備罪へと改められた。

 ▼2つのオプション

 現行でも内乱など約60の重大犯罪については共謀罪や陰謀罪、予備罪、準備罪が設けられ、実行前に取り締まることができる。野党からは「現行法で条約を批准できるのではないか」との声も上がっていた。

 しかし、外務省幹部は「担保法を整備しなければ条約の義務を果たすことはできない」と強調する。憲法98条で、締結した条約について「誠実に遵守(じゅんしゅ)することを必要とする」と規定しているためだ。

 TOC条約は「4年以上の懲役・禁錮」を科す犯罪を対象とするよう求めている。そのまま当てはめれば対象犯罪は676に及ぶが、「対象が多すぎる」などの批判を受け、テロや薬物など組織的犯罪集団の関与が想定される277の犯罪に対象が絞り込まれた。

 TOC条約は原則として、重大な犯罪の合意を犯罪とするよう求めている。だが、「日本では『内心が処罰の対象となる』といった懸念にも最大限応えるため、条約の2つのオプションを使うことで、できるだけ処罰対象を限定した」(外務省幹部)という。

 条約では、国内法上求められれば(1)合意(計画)内容を推進するための行為を伴う場合(重大犯罪を実行するための準備行為)(2)「組織的な犯罪集団」が関与する場合-に限定することを認めている。この「2つのオプション」を活用することで、過去3度廃案になった共謀罪とは異なり、適用条件が厳格化された。

 ▼適正捜査も担保

 構成要件では、テロ組織や暴力団、麻薬密売組織など重大な犯罪の実行を目的とした組織的犯罪集団に適用対象を限定している。構成員が2人以上で犯罪を計画し、うち少なくとも1人が資金調達や武器購入、犯行現場の下見といった重大犯罪を実行するための準備行為をしなければ処罰できないようになった。

 法定刑は、死刑または無期や、10年を超える懲役・禁錮を定めた罪で共謀した場合が「5年以下の懲役・禁錮」、4~10年の懲役・禁錮を定めた罪で共謀した場合は「2年以下の懲役・禁錮」としている。

 犯罪に着手する前に自首した場合は刑を減免する規定も盛り込んだ。審議の過程で一部修正され、条文の本則に、適正な捜査の確保に配慮しなければならないと明記されている。

最終更新:6/16(金) 9:38
産経新聞

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