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「ケナタッチ氏書簡は事実誤認」 準備罪の構成要件、英訳文に欠落部分

6/16(金) 7:55配信

産経新聞

 プライバシーに関する国連特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏が日本政府に送った「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法案に懸念を示す公開書簡に対しては、専門家から事実誤認があるとの指摘が上がっている。

 「私の友人が、手綱やくらなどの安全装置を使わずに馬に乗ろうとしているようなものだ。友人に落馬の危険があるということを伝える義務があると思った」

 ケナタッチ氏は東京都内で9日に開かれた日本弁護士連合会のシンポジウムにインターネット中継で参加し、書簡を送った意図を明らかにした。国連の名を冠してはいるが、「ケナタッチ氏は国連の総意を言う立場ではない」(外務省)。国連特別報告者は、政府に対し情報収集を求める権限がある。だが、ケナタッチ氏は「日本政府に問い合わせることもなく誤解をもとに一方的に批判した」(法務省関係者)。野党も政権追及の材料としてきた。

 誤解はなぜ生まれたのか。今回の法案について衆院法務委員会に参考人として出席した木村圭二郎弁護士は「ケナタッチ氏に提供された英文が不正確だったことが原因ではないか」と指摘する。テロ等準備罪の構成要件では組織的犯罪集団に限定。「団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が(対象犯罪の)罪を実行することにあるもの」と定義している。

 ケナタッチ氏が誰から英訳文の提供を受けたかは不明だが、英文には「結合関係の基礎としての」という核となる文言が抜け落ちていた。

 木村弁護士は「ケナタッチ氏の目には、テロ等準備罪は277の対象犯罪の共同正犯を認めるものと映っていた可能性がある」と指摘する。

 条文を正確に理解すれば、一般の労働団体や市民団体が対象となる余地がないことは明白だが、ケナタッチ氏は「組織的犯罪集団の定義は曖昧で、表現の自由などを制約する恐れがある」などと指摘。新法の趣旨を十分に理解せず、誤解していた可能性が高い。

最終更新:6/16(金) 9:39
産経新聞

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