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文書存在と首相関与、別の話

6/16(金) 7:55配信

産経新聞

 「総理のご意向」などと記された文書と同じ内容の文書が文部科学省内で確認された。「存在は確認できない」とした前回調査のずさんさは否めないが、ただちに「首相の関与」を示す内容ではない。実態解明に向け、内閣府の調査が焦点となりそうだ。

 加計学園問題でまず確認したいことは、国家戦略特区を活用した獣医学部新設計画が、業界団体の既得権に風穴を開ける岩盤規制改革の一環であるということだ。昭和41年の獣医学部開設を最後に、文科省は59年、需要が充足したとして獣医学部新設を認めない方針を決定。同学園と愛媛県今治市などは平成19年から獣医学部新設を提案し続けたが、この決定を盾に15回もはねられてきた経緯は軽視すべきではない。

 もう一つ注意すべき点は、岩盤規制改革が政治主導であり、安倍晋三首相の「ご意向」が当初から強いことだ。26年のダボス会議では向こう2年間で岩盤規制を突破する方針を示している。学園側に不正に便宜を図るのは論外だが、特区を担当する内閣府側が「総理のご意向」と発言したとしても不思議ではない。

 むしろ憂慮すべきは、文科省前事務次官の前川喜平氏(62)の発言だ。前川氏は、獣医師の需給見通しが農林水産省から示されないまま獣医学部新設計画が認められたことを「行政がゆがめられた」と批判したが、国家戦略特区諮問会議の民間議員は「既得権者の論理だ」と反論している。文科省が、新規参入を阻止する岩盤規制で天下り先を維持している現状をみれば、“抵抗勢力”とみられるのも無理はない。

 担当者への聴取などを1日で終わらせた前回調査は形式的すぎ、批判を招くのは避けられない。ただ、今回確認された文書と「首相の関与」の有無は別次元であることは押さえておきたい。(花房壮)

最終更新:6/16(金) 7:55
産経新聞