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転ばぬ先のType-C

6/16(金) 14:10配信

Impress Watch

 過渡期にありがちな状況が続いているUSB Type-Cの充電事情。もはや混沌としているといってもいい。ただ、なんとなくこの先の状況が見えてきたようにも感じている。今回は、その界隈を少し整理してみよう。

■PCはPDで決まり

 PCについてはUSB PowerDeliveryで決まりのようだ。先日のCOMPUTEX TAIPEI 2017で、いくつものペリフェラルベンダーに先行きをたずねてみたが、来年2018年になってIntelがThunderbolt 3をプロセッサに内蔵し、ライセンスフリーで使えるようになれば、爆発的に普及するという考えを持っているようだ。おそらくは短期間でみるみるうちにType-AのUSB機器がなくなっていくという見方をしている。

 そうはいっても、インフラとしてのType-Aメスコンセントは普及が始まったばかり。飛行機の座席やパブリックスペースのUSBコンセントなどがどうなっていくかも気になるところだ。

 USB PDは、パワールールと呼ばれる複数の電圧、電流を組み合わせを機器同士がネゴシエーションして充電を行なう。正しい充電器、正しいケーブル、正しいデバイスを接続したときだけ機能するようになっている。基本的に大容量のパワールールは小容量のパワールールと下位互換だ。

 電力容量は電圧×電流で算出できる。いろいろ試してみると、上位互換はいろいろ難しいところもあるようだ。たとえば富士通のLIFEBOOK UH75/B1は、65W未満の小容量のアダプタでPD充電しようとしても受け付けない。また、Macbook Proに30Wアダプタを接続すると、認識はするのだが充電ができないと告知される。HPのEliteBookも電力が足りない旨のメッセージが表示され、やはり充電できない。

 気持ちとしては毎日の持ち歩きに苦にならないコンパクトな小容量アダプタをつないだときには、バッテリの減少が少なくなるとか、スリープ中やシャットダウン中なら充電ができるといった融通を期待したいが、どうもそううまくはいかないようだ。

■スマートフォンの場合はPD劣勢

 一方、スマートフォンの場合はもっと混沌としている。Googleは、PDを採用するように各社に要請しているようだが、なかなかそうは問屋が卸さない。

 たとえば、前回紹介したGalaxy S8はQualcommのQuickCharge 2.0対応だ。それ以外の規格では急速充電ができないことになっている。もっとも、片側がType-A、もう片側のType-Cケーブルには56KΩの抵抗が実装されていて、5V/1.5A、つまり7.5Wを超えての充電はできない。その仕様のケーブルで一般的なUSB充電器とS8をつないだときには急速充電モードにはならない。

 ところが、両端がType-Cのケーブルを使い、PD対応アダプタを使うと、USB Type-C Currentというデフォルトのモードで給電が行なわれる。PDアダプタはケーブルが挿されたときに、そのケーブルの素性をチェックする。PD対応ケーブルにはeMarkerというICが内蔵されていて、ケーブル自身の特性をレポートするようになっているが、ケーブルそのもの、また、デバイス側がPD対応でなかったときにはType-C Currentが使われるようなのだ。つまり、USB Type-Cのデフォルト給電容量だ。これが、5V/3Aの15Wと、5V/1.5Aの7.5Wだ。

 試して見るとこのときS8は急速充電モードになる。また、ほぼ同時期に発売されたHUAWEIのP10やP10 Plusは、充電器と56KΩ抵抗入りType-AーType-Cケーブルが同梱されていて、その組み合わせで充電したときのみ独自の超高速充電になる。純正ケーブルが特殊で、他の電源アダプタに接続したときには、5V1.5Aに制限されるが、純正ケーブルが使われていることを検出する仕組みが実装されているそうだ。

 ただ、PDアダプタと両端Type-Cケーブルの組み合わせではType-C Currentでの充電になるとしている。その場合は「超」のつかない「急速充電」だ。

 チェッカーをはさんで測定してみると、S8もP10も5V/3Aで急速充電されている。PDを使わないUSB Type-Cの給電規格に合致するから、それで問題はないはずだ。

■それでもUSB Type-C端子

 個人的にはいろんな意味で、今、もっともツブシのきくのがPD充電器だと思っている。PD対応のスマートデバイスがPC以外見つけるのが難しい以上、無駄なようにも思えるが、USB Type-C充電ができる機器としては汎用的だ。

 先日、100均のセリアをのぞいたら、かなりUSB Type-C製品が充実していて、両端USB Type-Cケーブルまであるのにはちょっと驚いた。

やるなあ、100均のセリア。USB Type-C製品、どんどんバリエーションが増える。USB Type-Cオスオスもあれば、USB Type-CオスとmicroUSBオスまで出てきた。 pic.twitter.com/wwEdJoR7VB

― 山田祥平(syohei yamada) (@syohei) 2017年6月5日

 eMarker内蔵を100均製品に要求するのには無理があり、当然PDには非対応だが、5V3Aに対応と明記されている。USB Type-Cケーブルなのだからその必要があるという判断なのだろう。

 少なくとも、こうしたケーブルでUSB Type-C端子をもつ充電器とデバイスをつなぎ、USB Type-C Currentの5V3Aで充電する限りは、容量をはみでることもないので安心できる。

 将来的にはPD対応のスマートフォンやタブレットも揃ってくるだろうが、当面は、このあたりが妥協の着地点なのではないか。

 QualcommのQuickChargeのようにUSB Type-C PDとは異なる方法で電源電圧を変動させることを、USB Type-Cが許容するように規格を実情にあわせて変えるのがいいという議論もあるのはわかっているが、それはちょっと違うような気がする。

 COMPUTEXでの取材では、Type-Cが落ち着くよりも先にType-D的なソリューションが登場し、Type-Cの混乱は昔話になるという話をするベンダーもいた。Type-Cのメスパーツの強度が弱すぎて品質を維持できないというベンダーもいた。

 いろんなことを時間が解決するのだろうけど、とにかく悲惨な事故が起こらないように話をすすめることを願いたい。

PC Watch,山田 祥平

最終更新:6/16(金) 14:10
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