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加計文書 焦る内閣府×文科省慎重 岩盤規制改革で攻防

6/16(金) 7:55配信

産経新聞

 学校法人加計(かけ)学園(岡山市)の獣医学部新設計画をめぐる記録文書の再調査結果が15日、明らかになった。流出した文書と同じ内容と確認された14文書からは、安倍内閣の看板政策である岩盤規制改革をめぐる文科省と内閣府との緊迫した攻防が浮かぶ。

 「これは官邸の最高レベルが言っていること(むしろもっと激しいことを言っている)」。内閣府側の規制改革に向けた強い意向がにじむのは、昨年9月26日に行われた、内閣府審議官らと文科省側の窓口となる専門教育課長らとの打ち合わせ概要を記した文書だ。

 内閣府側は国家戦略特区を活用した獣医学部の平成30年4月開学を前提に、「逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」と要請。その上で「官邸の最高レベル」の意向をちらつかせた。

 さらに、「『できない』という選択肢はなく、事務的にやることを早くやらないと責任を取ることになる」と“圧力”をかけ、「今週とかそういう世界で早めに上に相談してくれ」と念押しした。安倍晋三首相が獣医学部新設に向け規制の見直しを表明したのは昨年11月であり、特区担当の内閣府の焦りも浮かぶ。

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 プレッシャーをかける内閣府に対し、文科省側は慎重姿勢を崩さない。

 「義家副大臣レク概要(獣医学部新設)」と題する文書によると、義家弘介文科副大臣は30年4月開学を求める内閣府側の意向に対し「『早くやれ』と言われても、手続きはちゃんと踏まないといけない」と発言。岩盤規制改革の検討事項として議論が進んでいた民泊に言及しながら、「教育と一緒にされては困る」と難色も示した。

 一方、首相官邸の意向も気にしつつ「やれと言うならやるが、内閣不一致(麻生太郎財務相は反対)をどうにかしてくれないと文科省が悪者になる」とも指摘。獣医学部新設問題が政治判断の領域に入っていることを示唆した。

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 同じころ、松野博一文部科学相も内閣府の意向に懸念を抱いた。「大臣ご指示事項」という文書の中では、「大学として教員確保や施設整備などの設置認可に必要な準備が整わないのではないか」と指摘。開学時期は内閣府の求めより1年遅い31年4月が望ましいとの認識を示し、内閣府側に探りを入れるよう事務方に指示を出した。しかし内閣府側は「総理のご意向」と回答、開学延期構想は頓挫した。

 松野氏は反対派国会議員への配慮も示唆。自民党内での手続きをこなすため、文科省、農林水産省、内閣府での合同部会かプロジェクトチーム(PT)の設置を提言した。さらに、獣医学部新設に反対する日本獣医師会会長の長男、蔵内謙氏が立候補した衆院福岡6区補選(昨年10月23日投開票)の終了後に動くべきではないか-と政治情勢にも目配りした。自民分裂選挙となった補選で蔵内氏は敗北。安倍首相は同11月9日、国家戦略特区での獣医学部新設を認める方針を決めた。

最終更新:6/16(金) 9:38
産経新聞