ここから本文です

<佐藤琢磨>信じれば夢はかなう ブーム夢見て世界で勝つ

6/16(金) 20:56配信

毎日新聞

 5月に米国伝統の自動車レース「インディアナポリス500マイル(インディ500)」を日本人として初制覇した佐藤琢磨(40)が毎日新聞のインタビューに応じ、「40歳になっても夢を追い続けてきた。日本の子供たちに『夢はかなう』と伝えたい」と語った。【聞き手・大谷津統一】

 ◇インディ500日本人初制覇を振り返る

 --インディでは残り5周でトップに浮上した。2012年は2位だった最終周に追い抜きを試みてクラッシュしたが、その経験が生きた?

 ◆全ての経験はつながっている。12年のレースがなければ今回、自信を持って追い抜きに挑むことはなかった。

 --常に勝利を狙う挑戦的な姿勢はリスクと怖さもはらむ。

 ◆人間なのでこわさは感じる。車をコントロール下に置いていない時、近い未来どうなるか分からない時に人は恐怖を感じる。逆に車を完全に自分のものにし、レースをコントロールしていれば恐怖はほとんどない。時速350キロで車が滑っても対処できる。ただ、他の車がどう動くか分からない中で、時速300キロ超で(車間)数インチの接近戦をしている時は、ものすごく緊張感が高まる。

 --車を自分のものにするにはスタッフとの準備が欠かせない。

 ◆すごく重要だ。オーバル(長円形のコース)を走るマシンは、性能差が結果に決定的につながる。車が速くなければドライバーがどんなに頑張っても埋められない溝があり、そこは完全なチームスポーツ。素早いタイヤ交換と燃料注入も必要で、優勝はチームの努力で勝ち取ったものだ。

 --東日本大震災の被災地で子供たちの支援に取り組んできた。

 ◆レースを続ける中で日本を支援したいと思った。子供たちは「無理だ」「できない」と思うことがたくさんあると思う。でも、やってみないと分からない。自分の好きなことならば、とことんやってほしい。夢を見て、目標を設定し達成することで大切な経験を積める。僕は40歳になっても夢を追い続けてきた。信じ続ければ夢はかなうということを今回、大きなメッセージとして残したい。

 --日本のモータースポーツの現状をどう見るか。

 ◆僕自身、1980年代後半からのF1ブームの中で育った。あの興奮を忘れられない世代が今、親になって子供をサーキットに連れて来ている。僕が(98年に)英国でレースを始めた頃に見た光景に近づいている。祖父と孫とが手をつなぎ、3世代がローカルなレースを見て楽しんでいる。一時のブームには至っていないが、文化は続くことが大事。そのためには僕たちが欧米のレーサーに勝ち、海外に飛び出した選手は世界でトップを取ることが大事だ。

 ◇佐藤琢磨 略歴

 さとう・たくま 東京都出身。東京・和光高時代は自転車で高校総体優勝。早大在学中に鈴鹿レーシングスクールを首席で卒業し、2001年に英国F3選手権で総合優勝。02年にジョーダン・ホンダからF1デビューし、BARホンダに所属した04年の米国グランプリで日本人最高位タイの3位となる。10年からインディカー・シリーズに活躍の場を移し13年の第3戦で初優勝。

 ◇ことば「インディ500」

 米インディアナ州にあるインディアナポリス・モータースピードウエーを200周(1周約4キロ)し500マイル(約800キロ)で争う。1911年に始まり今年が101回目。F1の「モナコ・グランプリ」、耐久レースの「ルマン24時間」と並び世界3大レースと称される。33年に優勝した選手がレース後に牛乳を求めたことから、優勝者は牛乳を一気飲みすることが慣例。

最終更新:6/16(金) 23:10
毎日新聞

Yahoo!ニュースからのお知らせ