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<日銀>金融緩和「出口」見えず 現行政策維持 決定会合

6/16(金) 21:26配信

毎日新聞

 日銀は16日開いた金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利(10年物国債利回り)を0%程度に誘導する現行政策の継続を決めた。記者会見した黒田東彦総裁は、雇用の改善などを背景に2%の物価上昇目標達成に自信を示したが、日銀が描く好循環シナリオの実現は見えていない。利上げや量的緩和縮小など、緩和からの「出口」を歩み始めた米欧中銀との差は開く一方だ。

 「今の時点で出口の手法や順序を示すのは難しい」。黒田総裁は会見で、大規模金融緩和終了時のシナリオ提示は時期尚早との考えを繰り返した。

 2013年4月の異次元緩和開始以来、国債などの保有資産が3倍に膨らんだ日銀に対し、市場では「緩和を終了して長期金利が上昇(国債価格が下落)すれば、日銀は巨額の損失を抱える」との懸念がくすぶる。出口の際の日銀財務への影響を示すよう求める声は強いが、黒田総裁は「かえって市場に混乱を招く」と慎重論に終始した。

 背景には、物価上昇目標の達成時期が一向に見通せないことがある。黒田総裁は2%台に低下した失業率を踏まえ、「賃金上昇圧力は着実に高まっている」として、18年度ごろの目標達成に自信を示す。だが、賃金や消費の抑制姿勢は根強く、4月の物価上昇率は前年同月比0.3%にとどまった。黒田総裁自身、「目標に向けての道はまだかなりある」と認める状況で、日銀幹部は「いつ実現するかわからない状態で『出口』を示しても意味がない」と言い切る。

 一方、米欧中銀は大規模緩和の手じまいを始めている。米連邦準備制度理事会(FRB)は15年12月から利上げに着手し、今月14日までに4度の利上げを実施、年内にも国債などの保有資産の縮小に入る方針だ。欧州中央銀行(ECB)も昨年12月に量的緩和の規模を縮小し、今月8日には、当面の政策方針から追加利下げの可能性を削除した。

 日銀ばかりが出口が見えないまま保有資産が膨らみ続ける状況に、「市場が不安を感じるのは当たり前。いつまでも時期尚早と(出口の議論を)封印し続けるわけにもいかない」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)との懸念も聞かれる。

 金融業界でも「将来の修正を恐れることなく、オープンに議論していくことが大事」(根岸秋男・生命保険協会会長)との声が出ており、18年4月の任期切れまでに黒田総裁が何らかの道筋を示すのか注目される。【坂井隆之、宮川裕章】

最終更新:6/16(金) 21:26
毎日新聞