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森友・加計問題の根底にある真因とは? 「衆愚社会」へ陥れるメディアに警戒を

6/16(金) 11:07配信

SankeiBiz

 ■衆愚社会へ陥れるメディアを見極めよう

 実に不思議だが、森友学園に引き続き、加計(かけ)学園が大いに世間をにぎわせている。どちらも、「安倍総理の責任を問う」という流れを作らんとする野党やメディアあるいは諸外国(のスパイ?)の意図を感じざるを得ないわけだが、なぜ、この問題がこんなに大きく国会やメディアで取り上げられ、総理の責任を問う流れができつつあるのか。

 仮に、総理が、森友学園や加計学園から多額の謝礼を受け取って便宜を図っているのなら、それは「違法」な話、「政治とカネ」の話であり、国民感情として許せない。ただ、うすうす国民も、ましてや事実を検証しているメディアや野党は、ほぼ確信しているように、これは贈収賄的な事件ではない。そうした結論につながる証拠は現状皆無だ。

 森友学園の籠池泰典前理事長や前川喜平・前文部科学事務次官の証言などから、総理への「忖度(そんたく)」の可能性が垣間見えるだけだ。その有無が問題となり、再調査後に実在が確認された文科省の文書にしても、証拠的には忖度の域を出ない。

 というのも、官僚出身の筆者の実感として、厳しい交渉の際、細かく上の意向を確認せずに「大臣を含め、省を挙げての総意だ」的発言をすることはよくある。大臣を社長に、省を会社に置き換えれば明らかだが、社会人経験があれば、かなりの確率で皆、忖度を経験しているのではなかろうか。これだけで総理の関与を疑うのは乱暴だ。

 ここでさらに不思議なのは、加計学園をめぐるメディアの論調だ。普通に国民感情を考えれば、権限を楯に、数十年も新たな獣医学部の設置を認めないで来た文科省、その象徴たる前川前次官こそが非難の対象になりそうなものだ。獣医数の規制すら不明だが、いわんや獣医学部の数を厳しく規制する必要がそもそもあるのか、一般国民にはさっぱり分からない。まだ、食品衛生系の専門学校やら牛丼屋の数を厳しく規制して質を保つ方が、理屈としてはよほど国民生活の安全につながる。

 再び言おう。なぜ、このような状況で、文科省や前川氏ではなく、総理を非難する方向で国民感情に火が付くのか。全くもって不思議である。確かに、露骨に「火を消そう」として、失敗した感はある。ただ、それだけで説明がつくだろうか。

 私の仮説は残念ながら国民のレベルが落ちてきているというものだ。低俗な国民であればあるほど「パンとサーカス」を露骨に求めるのは歴史の教えるところであり、民主主義は容易に衆愚政治に堕する。安倍政権が長期化する中、初期には、金融緩和のバズーカだ、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)だ、東京五輪決定だ、と「サーカス」に事欠かなかったが、最近は「見せ物」が不足気味だ。

 私は日本人は世界的に見て、理性と英知に満ちた「創る」国民だと思っていた。私利私欲から物事を「壊す」のではなく、長期的公益のため、大切なものを見極められる国民だと信じてきた。特に、メディアや国会議員など、直接にこの国を創る立場にある方々は特に自覚が大切だ。

 後世から見ての現在が、ささいなことで物事を「壊そう」とする「衆愚に陥った社会」となるのか、真に大事な問題を中心に議論する「健全な民主主義社会」となるのか、決めるのは今の私たち自身である。

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【プロフィル】朝比奈一郎

 あさひな・いちろう 青山社中筆頭代表・CEO。東大法卒。ハーバード大学行政大学院修了。1997年通商産業省(現経済産業省)。プロジェクトK(新しい霞ヶ関を創る若手の会)代表として霞が関改革を提言。経産省退職後、2010年に青山社中を設立し、若手リーダーの育成や国・地域の政策作りに従事。ビジネス・ブレークスルー大学大学院客員教授。44歳。

最終更新:6/16(金) 11:07
SankeiBiz