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桐生、100メートルは400メートルリレーの心境で走れ!9秒台を目指す“同志”4人が日本選手権で激突/陸上

6/16(金) 14:48配信

サンケイスポーツ

 8月の世界選手権(ロンドン)代表選考会を兼ねた、陸上の日本選手権が23日、大阪・ヤンマースタジアム長居で開幕する。男子100メートルは、日本歴代2位(10秒01)の記録を持つ桐生祥秀(21)=東洋大=を筆頭に、日本勢初の9秒台が出るか、注目が集まっている。

 京都・洛南高3年だった2013年4月、織田記念国際で10秒01をマークして以降、桐生は日本男子短距離界の期待を一心に背負ってきた。昨年6月の日本学生個人選手権で3年ぶりに自己記録に並んだものの、まだ10秒の壁は突破できていない。15年3月のテキサス・リレーでは、追い風3・3メートルの参考記録で9秒87をたたきだしたが、追い風が2・0メートルを超えると公認されない。

 これまで桐生のレースを何度も見てきた。もっとも鮮明に覚えている走りは100メートルではない。15年5月の関東学生対校選手権400メートルリレー予選だった。東洋大は2走者と第3走者の間でバトンミスが出て、アンカーの桐生は最後方に近い位置でバトンを受けたが、驚異的なスピードでホームストレートを駆け抜け、3位に滑り込む決勝進出を果たした。“爆走”と表現していいほどの圧巻の走りで、このシーンを100メートルで再現できれば、9秒台突入の日はそう遠くないと思えた。

 13年6月に英バーミンガムで行われたダイヤモンド・リーグで海外デビューを果たして以来、前述のテキサス・リレーをのぞき、桐生は100メートルで目立った成績を残していない。しかし400メートルリレーとなると話は別だ。日本代表の一員として15年5月の世界リレー大会は銅メダル、昨年のリオデジャネイロ五輪では銀メダル獲得に貢献した。

 4人がバトンをつなぐリレーと100メートルとではどう違うのか。答えは連帯感にあると思う。全員が同じ目標に向かって突き進むことで、おのおののプレッシャーも軽減される。個人種目の100メートルでは、桐生は9秒台という重圧を1人で抱え込んでいるように感じてしまう。

 幸いなことに今回の日本選手権は、桐生以外にも役者がそろった。ともにリオ五輪銀メンバーのケンブリッジ飛鳥(ナイキ)、山県亮太(セイコーホールディングス)に加え、今月11日の日本学生個人選手権で追い風4・5メートルの参考記録ながら準決勝で9秒94をマークし、追い風1・9メートルの決勝では日本歴代7位の10秒08を記録して優勝した多田修平(関学大)も名を連ねた。この4人がしのぎ合い、追い風の条件に恵まれれば、世紀の瞬間は訪れるかもしれない。ライバルではなく、ともに9秒台を目指す“同志”として、スタートラインに立ってほしい。