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スバルの安全技術、乗員から歩行者保護にも広がり

6/16(金) 7:31配信

ニュースイッチ

エアバッグ採用の車種拡大、ブランドイメージに磨き

 SUBARU(スバル)が歩行者保護用エアバッグの搭載車種を増やしている。昨年秋に全面改良して発売した新型「インプレッサ」に続き、5月に発売したスポーツ多目的車(SUV)の新型「XV」に全車標準搭載した。歩行中に車と衝突する事故で命を落とす人が後を絶たないためだ。乗員とならび歩行者保護も重視しスバル車の衝突安全性能に磨きをかける。

 スバル車に搭載する歩行者保護用エアバッグはフロントバンパーに取り付けたセンサーが歩行者との衝突を検知し、フロントフードとワイパーの狭い隙間から展開する。衝突検知から展開までの時間はわずか約0・1秒。衝突による死亡原因に多い頭部や胸部への衝撃を緩和できる。衝突時の圧力の変化を読み取ることで人以外にはエアバッグが展開しない機能も備えた。

 スバルが歩行者用エアバッグを採用したのは交通事故における歩行者の死亡者数が多いためだ。国土交通省の資料によると、2015年における交通事故による死亡者の約37%が歩行者だった。自転車を含めると半数を超える。

 スバルはこれまで対策としてフロントフードを改良し、歩行者との衝突を軽減できる構造にするなど安全性能を高めてきた。ただフロントガラス横のピラーについては構造上硬いままにする必要があり、危険性が高いのが課題だった。

 古川寿也車両研究実験第二部部長は「解決にはピラーを覆う歩行者保護用エアバッグが必要だと判断した」と振り返る。歩行者保護用エアバッグを巡ってはスウェーデンのボルボ・カーなどが採用していたが、日本の完成車メーカーで車に標準搭載したのはスバルが初めて。

 当初は生産やコスト負担を考慮しオプションでの採用を検討したが、開発を進める中「安全を追求する完成車メーカーとして標準搭載するべきだ」(開発担当者)と意見が一致。開発と生産部門が緊密に連携し車の生産方法を工夫したり、歩行者保護用エアバッグの部品点数を減らすなどし、標準搭載に向けたハードルを乗り越えていった。

 歩行者保護用エアバッグの採用などによる衝突安全性能の向上でインプレッサとXVは国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が実施した自動車アセスメント「JNCAP」において過去最高得点を獲得し、16年度「衝突安全性能評価大賞」を受賞。今後両車種以外の新型車に対しても標準搭載を検討していくという。

 スバルは65年に軽自動車「スバル360」から自主的に衝突試験を始め、衝突安全に関する知見や技術を積み重ねてきた。米国など各国で衝突安全の規制が厳しくなる中、安全性能を高める技術を追求し交通事故による死亡事故を減らすとともに“スバル車は安全”というブランドイメージに磨きをかける。

日刊工業新聞第一産業部・下氏香菜子

最終更新:6/16(金) 7:31
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