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JASRAC、音楽教室から著作権料徴収 10年間、埋まらなかった両者の「溝」

6/16(金) 11:00配信

BuzzFeed Japan

日本音楽著作権協会(以下、JASRAC)は6月7日、都内で記者会見を開き、音楽教室での演奏について、来年1月から著作権料の徴収を始めることを正式に発表。同日、文化庁に使用料規程を届け出た。【BuzzFeed Japan / 播磨谷拓巳】

この議論をめぐっては、JASRACと、音楽教室を運営するヤマハや河合楽器製作所など音楽教育事業者で結成された「音楽教育を守る会」(以下、守る会)が真っ向から対立している。

両者の埋まらなかった「溝」とは。BuzzFeed Newsは守る会、JASRACにそれぞれの主張を聞いた。

これまでの経緯と争点。

きっかけは、音楽教室の年間受講料収入の2.5%相当を著作権使用料として運営会社から徴収する方針を、JASRACが明らかにしたことだった。

JASRACが音楽教室から著作権使用料を徴収する法的根拠は、著作権法22条に定められた「演奏権」だ。

著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として上演し、又は演奏する権利を専有する。

この法律を根拠にして、JASRACはコンサートやカラオケ、BGMで音楽を使う店舗などから著作権料を徴収している。

13日もBGMを利用していながら、著作権の手続きをしていない美容室など178事業者、352店舗に対し、法的措置をとった。

今回、JASRACは音楽教室での指導者や生徒の演奏も「公衆の前での演奏」と解釈。「演奏権」が及び、使用料が発生すると判断した。

徴収対象は、ヤマハ系列や河合楽器製作所など大手事業者で、個人の教室は当面、除外するとしている。

先述のとおり、この方針にヤマハや河合楽器などは反発。音楽教育事業者で「守る会」を結成した。

両者が食い違っている「溝」は大きく分けると以下の2点になる。

・音楽教室での演奏に演奏権がおよぶか、否か
・音楽教育発展への影響

これについて両者に主張を聞いた。

教室での演奏は「技術を伝えるための演奏」

守る会の事務局の功刀渉さんと、斉藤誠さんがBuzzFeed Newsの取材に答える。

守る会は、「演奏権」が及ぶのは公衆に聞かせる目的のための演奏であり、 音楽教室での練習や指導のための演奏は該当しないと主張している。JASRACの方針は、文化の発展に寄与するという著作権法の目的にも合致しない考えだ。

現行の著作権法は1970年に制定された。音楽教室はその前から続いており、1970年には、ヤマハの教室だけでも30万人の生徒が在籍していたとのこと。

功刀さんは話す。

「立法当時、演奏権がレッスンでの指導にまでおよぶと想定されていたのだとしたら、そのような調整がなされたはずです。また、JASRACが本件で協議を持ちかけてきたのは2003年頃で、著作権法が制定されてから30年も経過してからのことです」
続けて斉藤さんも述べる。

「過去の判例もあるので、一定の理解はあるつもりです。それでも、音楽教室での演奏は演奏権に及びません」

それは「教室での演奏は、その曲の持つ芸術性などを伝えるものでもなく、技術を伝えるための演奏」だからだという。

今回のような事例は初めてではない。

2002年、JASRACは愛知県にある社交ダンス教室に対し、JASRACが管理する音楽著作物の演奏差止めと損害賠償を求める訴訟を起こした。

最高裁は、ダンス教室側の上告を受理せず、総額3646万円あまりの支払いを命じた。

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最終更新:6/16(金) 11:00
BuzzFeed Japan