ここから本文です

個性的なデザインが魅力の「ホンダ・ライフステップバン」

6/16(金) 11:10配信

朝日新聞デジタル

■世界の名車

 発想力が日本の自動車メーカーの原動力だった時代の産物がホンダ・ライフステップバンだ。1972年9月に軽自動車ライフのバリエーションとしてビジネスに軸足を置くユーザー向けに発売された。

【写真】いまでも人気が出そうなピックアップ

 「ゆったりとした居住性とかさばる荷物も無理なく積める大きな荷台スペースを確保した近代感覚あふれるスタイルのユニークな車」。これが発表当時の本田技研のニュースリリースに書かれた文言である。

 当時、本田技研は豪華な1300や走り屋が好んだシビックRSなどを手がけた。そのいっぽうで、低い床と高い天井による広い室内と、折りたためばフラットになる後席シート、広い開口部を持つドア(スライドではない)など実直なクルマづくりでも手を抜いていなかった。

 ステップバンはさらに「伝票の投入ができる大きなグローブボックス」(リリースより)など商用車としての使い勝手のよさも謳(うた)われていた。いっぽうで一般向けカタログではレジャーに使える雰囲気も。実際の機能性と、新世代の遊びグルマ。ふたつのイメージがうまく重なったため、74年に生産中止されてからも人気が衰えなかった。

 エンジンは356cc、2気筒。フロントに搭載されて前輪を駆動した。ステップワゴンのノーズの短さをみると、開発者がコンパクトなエンジンのメリットを最大限生かそうと努力した姿が見えてくるようだ。短いけれどノーズがある、いわゆる1.5ボックススタイルはデザインとしても魅力的である。

 約1年後の73年8月にはライフピックアップが追加された。2人乗りのキャビンと開放型の荷台が特徴のモデルである。こちらは350キロまでの荷物を積め、しかも荷台の高さは51センチに抑えられて使い勝手にすぐれた。全長約2.9メートルだけれど存在感はそれ以上だったのだ。


◆文 小川フミオ(おがわ・ふみお)クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。

(朝日新聞デジタルのライフスタイルウェブマガジン「&M」)

朝日新聞社