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電波少女ハシシ「大人にはなっていない」30歳で見えた新たな心境/インタビュー

6/16(金) 13:50配信

MusicVoice

 ヒップホップユニットの電波少女が6月12日に、デジタルシングル「ME」を配信限定でリリース。3カ月連続シングルリリースの第1弾。今年1月に『日本縦断ヒッチハイクの旅』を無事に成功させ、メジャーデビューを勝ち取った。ユニットの中心人物であるハシシは今年30歳を迎え、少しずつ考え方に変化が生まれてきているという。今までにはなかった「感謝」や「愛」をテーマに新曲を制作するなど、ハシシの今の心境とは。「ME」の制作背景やフリースタイルラップなどについて話を聞いた。

【写真】撮り下ろしカット

音楽以外から刺激を得ることが多い

――今回配信リリースとなる「ME」を作曲された経緯を教えて頂けますか。

 インディーズ2ndアルバム『WHO』に「MO feat. NIHA-C」と、E.Pの『パラノイア』に「RY feat.Jinmenusagi」があるんです。それの続編というか、3曲で1つのストーリーになる様に考えていました。タイトルも3つ合わせると『MEMORY』になる様に「ME」という曲を作りました。後付けではあるんですけどね。

 「MO feat. NIHA-C」の時点では考えていなかったのですが、「RY feat.Jinmenusagi」を作った時に「こういうシリーズにしよう」と。繋がりがあるのは歌詞です。「MO」が別れた後で、「RY」は別れてからさらに時間が経ってからの気持ちだったので、付き合っている時期の気持ちを書いてみようと思いました。

 曲はビートメイカーの方にお願いして、歌詞とメロディは自分が作っています。今回の場合で言うと、ピアノパターンを最初に送ってもらって、そのテンポを自分の歌いやすい様に早めたり、キーを上げたりします。それを戻して「ベースはこう動いてほしい」、「Bメロはこうしたい」とか口で音程を言いながらSkypeでやりとりします。自分のイメージしたメロディと違っていたりしたら、コードを代えてもらったりもします。

 この曲は割とすんなり出来ました。大枠はヒッチハイク行く前に2番くらいまでは出来ていて。3カ月連続リリースなので、新しいので勝負したいというのがありました。

――「ME」もひねくれた歌詞が特徴だなと感じましたが、実際その様な恋愛を?

 はい(笑)。でも基本的に出来事は歌ってないです。気持ちを歌っているので。だからフィクションな部分はないです。フィクションで書く事もありますけど、その場合は割と内面的な事が多いです。自分も音楽を聴く時、小説の様にストーリーを楽しめる物よりも「わかるわ!」と思いたいタイプなので。そういう書き方が多いです。

 この「ME」の内容は、18歳の時の恋愛を基にしています。ずっとなんですけど、ラブソングを書くとなると無意識にその時の事を書きます。それぐらい大きな恋愛だったので、それを様々な視点で書いていきました。

 最近、割と言いたい事を言い尽くした感があって。自分の中に元々そんなにないんですけど、ある程度の事は言ったなと思っています。誰が歌っても面白そうなトピック、恋愛とか向上心、何かと戦っているリリックはやりつくしたなと。これからは新しい部分を見つけていかなきゃいけません。思っているけど、まとまってないところとかも。先ほどもストーリーとしての書き方はしないと言いましたけど、そういうのもしたいなと思っています。

――現在どのような構想を持っていますか。

 いきなりファンタジーという訳でもなく、ありそうな架空の話と言うか。映画を撮る様な感じでどこまで文字で表現できるんだろう、という事を考えています。自分が良いなと思ったメロディやリズムをキープすることは前提です。あまりポエトリーリーディング(朗読)的なやり方が好きではないので。

 他のアーティストがやっているのでは好きなものもあるんですけど。自分がやるというのでは違うと思います。奥は深いんですけど、リズムとか無視して言いたい事が言えてしまう。それを音楽の目線を保ったまま、どれだけ出来るんだろうというところでは、前作に入っている「Mis(ter)understand」は実体験を基にしながらストーリーを作るというやり方ができました。

 それがピタッとはまった時に「面白いな」と思ったんです。そういうのも出来て行くと幅が広がるのかなと。実体験だけでやると本当に枯渇して、いつか限界が来てしまうのではと思っています。

――インスピレーションを得るのはどういうところからでしょうか?

 自分は漫画です。僕は古谷実さんがとても好きで。ギャグマンガの『行け!稲中卓球部』でも有名なのですが、最近はシリアス路線で書かれています。最近ドラマ化されるのが決まった『わにとかげぎす』も書いています。彼の世界観が凄い好きで、中学校の時は一番影響を受けていました。今でもチェックしています。

 基本的に悲観的で、北野武さんの映画にも似ている部分があります。絶望の方向に向かっていき、“どよーん”としている。着眼点も凄く好きです。たぶん電波少女のお客さんが読むと「こいつ相当影響を受けてるな」と感じると思います。

 音楽も聴くんですけど、勉強として聴く事が増えてしまったので、音楽以外から刺激を得ることが多いです。映画とかドラマも見ないし、小説はちょっと文字のみで難しい。マンガの良い所は自分のペースで読めるところかなと思います。

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最終更新:6/16(金) 13:50
MusicVoice