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新型シビックに販売現場は「売れと言われても…」 往年の人気車が成功する鍵とは

6/16(金) 14:17配信

オートックワン

なぜ今になってシビックを国内で復活させるのか?

クルマ好きにとって、これから発売される新型車で気になるモデルのひとつが、ホンダの新型シビックだと思う。最近のホンダは、軽自動車/コンパクトカー/ミニバンに力を入れ、以前のスポーツカーを数多くそろえた時代とはラインナップが変わった。燃料タンクを前席の下に搭載して車内後部のスペースを広げるセンタータンクレイアウトなど、ホンダの独創性は軽自動車やコンパクトカーにも生かされるが、力を入れるジャンルが以前とは大幅に異なる。

ホンダ 新型シビック セダン/ハッチバック/タイプRの詳細を見る(画像105枚)

その意味でシビックは、1970~1990年代まで人気車だった経緯もあり、中高年齢層には思い出深いクルマだ。復活すればそれなりに注目されるだろう。

疑問に思うのは「なぜ今になってシビックを国内で復活させるのか?」だ。一度廃止した車種を改めて発売するのだから、相応の考えがあってのことだろう。

そこで開発者に尋ねると「最初のきっかけは、シビックセダンの製造を埼玉県の寄居完成車工場で行うことになったから」だという。2015年に発売された現行シビックは海外で堅調に売れ、北米の月別販売統計を見ると、日本メーカー車ではSUVを除くとトップクラスになる。トヨタ カムリやトヨタ カローラと争っている超人気モデルだ。

そして北米のシビックには、5ドアハッチバックやクーペも用意されるが、セダンが全体の78%を占める。この売れ行きを補うために「海外生産と併せて、国内の寄居完成車工場でもシビックセダンを生産して輸出することになった」という。これを受けて「日本で生産するなら日本国内でも売ろう」と話が進んだ。

その背景には冒頭で述べた、近年のホンダ車が実用指向の車種に偏っている実情もある。

シビックのイメージは年齢層で様々、若い人は…

ホンダらしさを取り戻すべく、スポーツモデルを登場させた。しかし、軽スポーツのS660は楽しいクルマだが実用性が乏しく、新型NSXは生産規模が極端に小さいから、今は実質的に新規契約ができない状態だ。

アコードやレジェンドはスポーティ感覚が乏しく、多くのユーザーが購入しやすい趣味性の感じられるホンダ車はほとんどない。強いて挙げても、ヴェゼルやフィットRS程度になってしまう。これではブランドイメージが下がり、1台当たりの粗利も少ないから、販売会社の利益にも良くない影響を与える。

その点でシビックには高性能なタイプRも用意され、ラインナップの幅を広げる上で効果的と判断された。国内で生産するシビックはセダンだけだが、これだけでは品ぞろえが乏しく、5ドアハッチバックと同じボディを使うタイプRをイギリスから輸入することになった。

ただし、この経緯はかつてのシビックを知っている読者諸兄にとって、少々情けないと感じさせる話だろう。現行シビックを開発する段階では国内で売る計画はなく、セダンの国内生産に乗じた結果的な国内販売になるからだ。

仮に北米でシビックセダンの売れ行きが低調だったり、為替レートが円高に振れていれば、シビックの国内販売もなかった。いくつかの条件が重なり、いわば成り行きで、国内販売に踏み切った印象を受ける。日本のユーザーがシビックにどのような思いを抱き、いかなるシビックが求められているのか、市場調査を綿密に行った上で開発した日本を視野に入れたシビックではない。

開発者は「シビックのイメージは年齢に応じて様々。中高年齢層にとっては、若い頃に親しんだ馴染みやすくてスポーティな小型車だが、世代が少し若くなると、シビックといえばタイプRになる。さらに若い人達はシビックという車名は知らない」という。

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最終更新:6/16(金) 15:25
オートックワン