ここから本文です

日立、IoT「ルマーダ」加速 最大のライバルGEと渡り合えるか

6/16(金) 17:30配信

日刊工業新聞電子版

■IoT事業で売上高1兆円超

 日立製作所がIoT事業に一段と注力している。2018年度には売上高を1兆円超にし、グローバルでの存在感を一層高めていく構えだ。最大のライバルと目される米ゼネラル・エレクトリック(GE)と渡り合うことができるか。

 「これからは日立グループの全事業をLumada(ルマーダ)上に展開していく」―― 日立製作所の小島啓二執行役専務サービス&プラットフォームビジネスユニットCEOは、同社が先頃、投資家向けに開いた事業戦略説明会でこう強調した。

 Lumadaとは、日立グループの幅広い事業領域で蓄積してきた制御・運用技術(OT:オペレーショナルテクノロジー)と、AI(人工知能)やビッグデータ収集・分析などの情報技術(IT)を組み合わせ、顧客にとって最適なソリューションを提供する製品・サービス群のことだ。同社はLumadaを「IoTプラットフォーム」と位置付けている。

 日立グループの全事業から見ると、Lumadaは図のような位置付けになる。この図で日立が最も重視しているのは、Lumadaを活用して各事業分野の顧客と“協創”(コー・クリエーション)することにより、新たな価値を創出していくことである。

 Lumadaの具体的な事業モデルとしては、「Lumada SI事業」と「Lumadaコア事業」がある。前者は産業・社会インフラ系を中心としたIoT分野のSI事業、後者は幅広く適用できるサービスをグローバルに展開する事業である。2018年度の売上高として、SI事業で7600億円(2016年度実績7800億円)、コア事業で2900億円(同1200億円)を見込んでおり、とくにコア事業に注力して合計1兆500億円まで引き上げたい構えだ。

■GEとの違いは「プロダクトではなくソリューションありき」

 まさしく「全社グループを挙げて」という姿勢を鮮明に打ち出した日立のIoT事業。その最大のライバルと目されているのがGEだ。

 GEが開発したIoTプラットフォーム「Predix」(プレディクス)は、アセットパフォーマンスマネジメント(APM)など数多くのアプリケーションを産業用機器と接続し、データ収集や分析を行い、リアルタイムに事業者に知見を提供することで産業用機器の性能向上や製造プロセスの全体最適化を図ることができる、というのが触れ込みだ。

 GEはこのPredixを、第4次産業革命に向けて2012年に自らが提唱した「インダストリアルインターネット」のプラットフォームとして確立すべく、ITベンダーなどとのパートナーエコシステムづくりにも注力している。

 そんなGEと比較した日立の戦略展開の違いについて小島氏は、「同じIoTプラットフォームでも、GEは自分たちのプロダクトを売るためのものと見受けられる。一方、日立はSIやサービスによってソリューションを提供することを前提としており、しかもその新しい価値を顧客との協創によって生み出していくというのが、当社ならでは事業姿勢だと考えている」と述べた。

 プロダクトだけでなく、SIを長年手掛けてきたITベンダーとしての強い自負を感じさせるコメントである。だが、IoTプラットフォームを広く普及させていくためには、パートナーやユーザーとのエコシステムづくりが不可欠だ。日立の場合、国内では日立グループの存在があるが、グローバルで成功するためには、これから強力なパートナーを見つける必要もあるだろう。

 折しもGEのCEOが交代するとのニュースが舞い込んできた。株価低迷が理由のようだが、IoTへの取り組みは新CEOのもとで一層加速するものとみられる。GEのこの緊張感を受け止めつつ、日立には“Lumada経済圏”をグローバルに大きく広げるべくチャレンジしてもらいたい。

松岡 功