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黒田総裁が赤字の可能性に言及、通貨発行益あるため信認は損なわれず

6/16(金) 20:54配信

Bloomberg

日本銀行の異次元緩和の出口について関心が高まる中、黒田東彦総裁は日銀が赤字に陥る可能性に言及する一方で、中央銀行には通貨発行益があることを理由に、信認が失われることはないという考えを改めて示した。

黒田総裁は16日の金融政策決定会合後の会見で、出口における日銀の財務について「2015年度から債券取引損失引当金を大幅に拡充しているので、収益の変動に対する対応としてはかなりしっかりしている」と指摘。「そうした下でも収益が振れ、赤字になる可能性があるのではないかと言われると、それはいろいろな前提の置き方でそうなり得る」と述べた。

その上で、「中央銀行は持続的に通貨発行益が発生するので、長い目で見れば収益を必ず確保できる仕組みになっている」と説明。「短期的な収益の振れがあっても中央銀行あるいは通貨の信認がき損されるということはない」と強調した。

同様の考え方は政策委員会の他のメンバーからも上がっている。原田泰審議委員は1日の講演で、「そもそも中央銀行の損益が赤字かどうかを気にしてお札を使う人がいるだろうか」とした上で、中央銀行は長期的には必ず利益を得られるため、「日銀が長期的に損失を負うことによる危険など存在しない」と言明。その後の会見では、損益や損失を「債務超過に置き換えても同じことだ」と語った。

日銀OBから異論

こうした見解に対しては日銀OBを中心に異論も出ているほか、政治家の間からも懸念の声が上がり始めている。

元理事の早川英男氏は15日、自民党の「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」で講演し、異次元緩和の出口で「年間数兆円の赤字がしばらく続くという試算が出ており、今後もどんどん続けばロスもどんどん拡大する」と指摘。日銀内には「損失の民間試算は過大であり、債務超過になっても一時的」との見方もあるようだとした上で、「ならば、なおさら試算を公表して国民を安心させるべき」と主張した。

「反アベノミクス勉強会」と称される勉強会に初めて出席した石破茂元幹事長は会合後、「政局ではなく政策で論じるべきだ」とし、少子高齢化や社会保障制度など「日本が迎える状況は極めて危機的」だと指摘。「侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が行われるのは当たり前だ」と述べるとともに、早川氏の見方に理解を示した。

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最終更新:6/16(金) 20:54
Bloomberg