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「ご主人が事故」車で現場まで 一報の恩人どこに

6/17(土) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

水戸市で先月「ご主人が豆腐の行商中、車にはねられた」といち早く知らせ、現場まで車に乗せていってくれた女性を同市渡里町の後藤やえさん(79)が探している。思い当たる地域を訪ね、ラジオでも放送してもらったが、見つからない。やえさんは「どこのどなたか、一言お礼を言いたい」と、一報の恩人の手掛かりを求めている。

5月12日正午、やえさんが豆腐店の掃除を終え、隣接する自宅に戻ろうとした時だった。「おじいさんが事故に遭いました」。30歳代ぐらいの見知らぬ女性が突然店に飛び込んできた。いつものように豆腐を売りにいく夫、誠さん(80)の自転車を見送って約20分後のことだった。

「頭の中が真っ白になってしまった」。動揺するやえさんに、女性は事故現場まで車で送ると申し出た。家の施錠を手伝い、手を引いて車に乗せてくれた。

女性は事故現場を偶然通り掛かった。誠さんの容体とともに、事故をまだ知らない家族のことが「気になって仕方なかった」。一度は帰宅したが、やっぱり知らせなければと思い、店に来たと説明した。夫婦で営む豆腐店は国道沿いにあり、自転車で行商する誠さんを地域で知る人は多い。

やえさんは車内で娘と息子に連絡。約3キロ離れた同市飯富町の事故現場に着くと、誠さんは意識不明の重体。搬送されるところだった。やえさんも救急車に乗り、病院に向かった。

誠さんは一命を取り留めた。今も入院中で、会話ができない状態だが、家族の呼び掛けに目を開けるようになった。いつも首からぶら下げていた行商用のラッパを差し出すと、ゆっくりと握ったという。

やえさんは、きちんとお礼を言えなかったのが心残りでいる。女性の手掛かりは「ミヤタさん」という名字だけ。何人かに尋ね、地元のラジオ局でも放送してもらったが、手掛かりは得られていない。

やえさんは「早く知らせてもらって、本当にありがたかった。どうにか感謝の気持ちを伝えたい」と話している。  (松原芙美)

茨城新聞社