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「LCC」&「民宿」で旅が広がる! 台湾初体験(その2)

6/17(土) 0:00配信

Impress Watch

 前回(バニラエアに乗ってお気軽台湾旅へ)からだいぶ間が空いてしまったけれど、いよいよというかようやく本題。本日の目的地となるのは台中と花蓮の間、つまり東西台湾のほぼ中央に位置する「清境農場(CingJing Farm)」周辺に点在する民宿だ。詳しくは追々説明するとして、まずは現地へ向かおう。

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 台湾桃園国際空港からタクシーに乗り込み、最初の経由地となったのは台湾高鐵(台湾高速鉄道)の桃園駅。取材時はタクシーかバスで移動するしかなかったけれど、原稿を書くのに手間取っている間にMRTが開通している。タクシーでも20分程度の距離だが、今ならMRTに乗った方がラクかもしれない。

 自動販売機で切符を購入して地下のホームへ。次の経由地となる台中駅までは普通車で540NTドル(約2050円、1NTドル=約3.8円換算)、商務車(日本風に言えばグリーン車)で805NTドル(約3060円)。桃園駅は速達(新幹線で言うところの「のぞみ」)タイプは通過してしまうものの、それでも1時間に2~4本程度が停車するようで、移動に困ることはなさそう。一時期、「赤字で存続が危うい」なんて報道があった台湾高鐵だけれども、このときの乗車率はほぼ100%な混雑ぶり。台湾を縦断する高速鉄道として十分に認知されているような印象を受けた。

 桃園駅で購入した駅弁をつまみつつ、揺れや騒音とは無縁の快適な車内を楽しんでいると、45分ほどで台中駅に到着。エアコンの効いた車内からホームへ出ると、ムッとした蒸し暑い空気が体にまとわりついてくる。桃園からは120km程度しか離れていないものの、もはや別のエリアって感じだ。

 ここから清境農場まではクルマでのアクセスとなる。今回は取材なので足が用意されていたが、普通なら民宿の送迎もしくは公共交通機関の利用となる。南投客運(NAN TOU BUS)の路線バスが運行されているものの、あまり本数が多くはないので事前に時刻表をチェックしておいた方が安全だ。所要時間は埔里(Puli)を経由して2時間ほど。

 せっかく埔里を通るのだから、紹興酒の歴史を紹介する醸造所「埔里酒廠」には立ち寄っておきたい。各種お土産の購入も可能だ。そのほかにも台湾の中心を示す「台灣地理中心碑」、少し離れているけれど「日月潭」など、観光スポットも点在している。埔里については記事後半で紹介するので、詳しくはそちらを。

 話を元に戻そう。台中から埔里まではバイパスが通っており、日本でもよく見かける地方都市周辺といった風景が続く。イメージ的にムリヤリ日本に当てはめると「高崎から沼田」って感じ(余計分かりにくいか……)だ。埔里を過ぎると道幅がぐっと狭くなり、川沿いにぐんぐん高度を上げていく。商店や民家もまばらになり、「沼田から片品」って(以下略)。周囲の風景を眺めていると意外と日本と植生があまり変わりがないように見えることに加え、チラホラと現われる民家もなんとなく日本的なデザイン。時々見慣れたコンビニなんかも姿を現わしたりと、見慣れたような風景が続くなかで、よく見ると看板に描かれる文字だけが違うので、外国というよりは異世界に来たような、なんとも不思議な感覚にとらわれる。

 山肌に沿って曲がりくねった山道を登っていくと、ようやく清境農場のエリア(仁愛郷清境)になる。すでに標高は1700mをオーバーしていることもあって、周囲は高原といった様相。台中駅周辺とは違い、周囲の空気もひんやり。別世界のような心地よさだ。

 簡単に説明しておくと、清境農場周辺は高山作物の生産を目的として1960年代に開墾されたのがはじまり。当初は水も電気もない土地だったが次第に開墾が進み、標高が高いことから1年を通じて気温が低く、台北などの平野と違い四季も存在。お茶をはじめとして各種果物、近年では香水用のユリなども生産されるようになった。台湾といえばフルーツ王国のイメージがあり、なかでもマンゴーが真っ先に思い浮かぶところだけれど、ここでは7~8月に桃、9月に梨、10月に柿やキウイと多様な果物が栽培されている。

 で、そんな環境だけに避暑地としての需要が高まると同時に、台中と花蓮方面を結ぶ14号線が整備され、海抜0mの台中から3000mオーバーの合歡山まで90分あまりでアクセスが可能になった。ロケーションのよさに加えてアクセスも向上したことにより、1980年代に入ってから観光客向けの「民宿」が誕生。2000年代に入ってからは清境農場そのものも観光に軸足を移行。現在では民宿の数は100軒以上に増加し、台湾の10大観光スポットに数えられるまでになった……、というのが大体の流れになる。

 こうして清境農場付近に増えつつある民宿だけれども、日本でイメージする宿とは異なり、ヨーロッパ風のリゾートホテルのような外観を持つ施設が多いのが特徴。部屋に関してはコテージだったり、大きな一軒家だったりとさまざまで、インテリアもヨーロッパ風だったり、山小屋風だったりとそれぞれに工夫を凝らしたつくり。日本ではほとんど見ることがない「天蓋付きベッド」が備えられていたりもする。客室数はホテルほど多くなく、スタッフとは民宿のような距離感。日本的に言えば大規模なペンションといった感じか。英語では「HOME STAY」と説明されていることからも、台湾「民宿」の立ち位置がうかがえる。

 この地を訪れる観光客は台湾内、国外(アジア圏)がほぼ半々程度とのこと。ただ、日本人は1%に満たないということで、知られざるスポットってワケだ。その背景には認知度不足ってこともあるだろうけれども、大規模なホテルがないためツアーに組み込まれることがほとんどないってことも大きい。加えて、民宿の場合は個人で予約することが必要になるため、電話やFAXしか連絡手段がなかった一昔前はハードルが高かったのだ。だがしかし。今はインターネットがある。「Booking.com」や「Agoda.com」などのサイトを利用すればカンタンに予約することができる。「GoogleMaps」で宿を選んでクチコミを見つつ予約サイトに飛ぶ、なんてのもイマドキな方法だ。

 日本人的にもう一つ大きな問題なのが言葉。民宿の場合、スタッフの人数が多くないため日本語が通じるとは限らないわけだ。だが、今回のツアーでは通訳さんが付いてくれていたので聞き比べてみたところ、固有名詞は分かるので細かなニュアンスはともかく、大意は伝わる印象を受けた。最終手段としては同じ漢字圏の国という強みを活かして筆談という手もある。実際、通訳さんとのコミュニケーションも最終的にはこれだったぐらい。まぁ、なんとかなる感じだ。

 ということで、清境農場エリアの民宿を何件か紹介しよう。部屋の名称など分かりにくく、日本人になじみのない感じなどは英語をベースとした表記に変えている場合もある。いろいろと混ざってややこしいがご了承いただきたい。

□明琴清境(Ming Ging Farm)

Webサイト:明琴清境(Ming Ging Farm)

 清境農場へのメインルート(台14号甲線)から少し登った丘の上にあるのが「明琴清境(Ming Ging Farm)」。レセプションやレストランがあるA館のほか、B~D館の4つの建物に客室が用意されている。園内には5ヘクタールの農園があり、採れた作物はレストランで提供するほか宿泊者の農業体験も可能。無線LANも完備。

□見晴花園渡假山莊(SunShine Vacation Villa)

Webサイト:見晴花園渡假山莊(SunShine Vacation Villa)

 日本語の「見晴らし」を由来とする「見晴花園渡假山莊(SunShine Vacation Villa)」は、仁愛郷のほぼ中心に位置と抜群のアクセスを誇る。客室は「見晴園」「來福居」「羽松館」の3棟からなるほか、レストランやカフェのほか台湾茶を販売する「信翰茶業」、さらにはセブン-イレブンまで敷地内に。

□清境佛羅倫斯渡假山莊(Florance Resort Villa)

Webサイト:清境佛羅倫斯渡假山莊(Florance Resort Villa)

 明琴清境をさらに登った斜面に現われる欧風な建物が「清境佛羅倫斯渡假山莊(Florance Resort Villa)」。コンセプトが異なる「義式郷村城堡(Italianate Villa)」「君士坦丁堡(Constantinople)」の客室2棟のほか、レストラン、台湾の果物やお茶を使ったチョコレート工房「Nina巧克力工坊」が併設されている。

□維也納庭園木屋(Vienna Pleasance Cott)

Webサイト:維也納庭園木屋(Vienna Pleasance Cott)

 今回紹介するなかで標高がもっとも高いのが「維也納庭園木屋(Vienna Pleasance Cott)」。木をふんだんに使った建物はスイスの山小屋を思わせるクラシカルな造形で、2名から最大8名まで宿泊可能な客室が用意されておりファミリーにもピッタリ。所有する6ヘクタールの農場ではキウイをはじめとした果物や野菜、お茶を栽培している。

■青青草原

 民宿に泊まったあとは観光だ。清境農場の観光スポットとなるのが「青青草原」。日本風に言えば観光牧場で、山の斜面に設けられた牧場には400頭あまりの羊が放し飼いにされており、間近で見ることができる。なんでも1頭で200万元の価値があるとか。訪れたときには見ることができなかったけれど、毛刈りショーなども実施しているとか。

 もう一つ定番となるのが、清境農場からさらに山を登った武嶺、合歓山といったスポット。実際に山に登ることもできるものの、さすがに観光ではちょっとキビシイ。ここに至る14号線は台湾一高所にある国道とのことで、晴れていれば眺めは抜群。星空や日の出を見るのもお勧めだ。一応、バスでのアクセスも可能だけれども、大抵の民宿ではツアーを行なっているので、尋ねてみるとよいだろう。

■埔里

 観光を済ませたあとはもう一度、埔里を通って台中へ向かう。前述したように埔里は台中の東、山に囲まれた盆地に位置する街。地理的に台湾の中心であるとともに清境や日月潭へのアクセスの起点にもなっている。水がよいことから日本統治時代には日本酒が、その後は紹興酒の生産が盛んになり「紹興酒のふるさと」としても知られているそうだ。ここにも民宿があるので、ここをベースにして記事の前半で紹介した「埔里酒廠」や「日月潭」をのんびり観光するのも楽しそうだ。

□成龍山莊

Webサイト:成龍山莊

 埔里の北、クルマで10分ほどの山麓に建つのが「成龍山莊」。民宿は農場と酒造を営むオーナーの自宅を兼ねており、まさにペンションといった雰囲気。建物前の庭にはミラクルフルーツなどが植えられており、宿泊者はつまんで食べてもよいとか。農場の体験も可能。

□埔里酒廠

Webサイト:埔里酒廠

□金都餐廳

 最後に、1994年に設立されたレストラン「金都餐廳」で昼食。旬の食材、地域の食材を活かした料理に舌鼓。

 このあとは、台中から再び台湾高鐵に乗って台北を経由。目的地はお馴染みの観光スポット「九フン(份)」だ。

トラベル Watch,安田 剛

最終更新:6/17(土) 0:00
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