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物件総額10億円以上「メガ大家」の知られざる苦悩

6/17(土) 9:10配信

ZUU online

不動産投資に興味のある人や既に始めている人なら「メガ大家」という言葉をよく耳にするだろう。世間では所有物件の総額が10億円を超えるような大家のことをいつのまにか「メガ大家」と呼ぶようになっている。そしてこのメガ大家たちの中には苦悩ばかりであまり儲かっていない人がいると言われ始めている。

■メガ大家達が増えた背景

今メガ大家と呼ばれている不動産投資家のほとんどは、2009年から2013年の間に始めた人が多いと言われている。このころから低金利政策と東京五輪開催決定の影響で一般の人が気付かないうちに不動産投資ブームが始まりつつあったのである。

不動産投資家としての手法が素晴らしいメガ大家も実に多い。しかし一方でこの良きタイミングに乗れたことでメガ大家が増えたという見方も否定できない。銀行の融資も受けやすい属性の多いサラリーマンやコツコツと小さい物件から始めていた主婦などの投資家が一気にメガ大家への階段を上がれる環境が整っていた時期なのである。

融資を活用して資産を増やしているので10億という資産は「純資産」ではない。融資を受けながら節税に効果のある買い増しを続けて増やした10億の資産には、70%から80%に達する借入のあるメガ大家がほとんどだと言われている。

■資産10億での実際のキャッシュフロー

かなりざっくりとしたシミュレーションだが資産10億レベルの人で家賃収入を年8000万円としてキャッシュフローを計算してみよう。

物件によって様々ではあるだろうが総資産の80%前後について20~25年くらいの融資期間で3%前後の借入をしているとする。表面利回り8%台を維持していても融資返済額を差し引くと残るのは大体年額で4000万円前後だと推測できる。

「サラリーマンが不動産投資で年収4000万!」といったタイトルで紹介されているメガ大家たちの収支内訳の大体がこのような成り立ちをしているだろう。これは年収なのでそこからさらに税金を差し引き、修繕積立費などの予備費を考慮すると手元に残せるのは年額で2000万円前後にしかならないという計算になる。

年間5000万円近い返済を続けながら満室を維持するための労力は決して半端ではない。本業を持ちながらそれらの賃貸事業を行っているのであるから彼らはある意味やはり「メガ大家」なのかもしれない。

■短期間での資産増加は見込めなくなる時代

前述のように短期間で不動産を買い足すことができた環境で多くのメガ大家が誕生したことは否定できないだろう。融資をフル活用して一棟マンションを買い、常に満室経営しながら数億もの借入の返済を続けている。融資環境が活発で不動産の価格も上昇に向かっている市場下では買い替え、買い増しを駆使するメガ大家たちの手腕がセミナーなどでも話題になっていた。

しかし決して誰にでもできるほど楽な運営ではなく苦悩のほうが多いということはこのように収支をシミュレーションすれば分かる。買い足しを行うのは購入初年度の経費計上でキャッシュフローのバランスが取れるからだ。市況が穏やかになりすぎて買い足しを続けられなくなると、返済に充てるはずの収入に税金がのしかかる。これを「デッドクロス」といい、キャッシュアウトの状況に陥ってしまう可能性が一気に高まるのだ。一部のメガ大家が破綻寸前になっているとささやかれるのはこれらが主な要因であろう。

メガ大家の全てが不動産投資を楽しみながら儲けを維持しているわけではない。上り始めた階段を引き戻せなくなっているメガ大家もいるというのが現状だろう。彼らの投資手法には多くの人が憧れ、これから自分でもその場所を目指して奮闘をしている人も多いはずだ。

しかし今後の不動産投資手法は変えざるを得ない時期に差し掛かっているのかもしれない。売り買いを繰り返す短期的な増資ではなく堅実なキャピタルゲインを生み出しながら着実に実績を積む。その賃貸事業の信頼性に対して融資をする金融機関がメインになるだろう。ミドルリスクミドルリターンが特徴である本来の不動産投資のスタイルを振り返る時期だろう。(片岡美穂、行政書士、元土地家屋調査士)

最終更新:6/17(土) 9:10
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