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ジェトロ茨城3年 輸出、海外進出、活発に

6/17(土) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

日本貿易振興機構(ジェトロ)の本県の拠点となる「茨城貿易情報センター(ジェトロ茨城)」が開所から3年を迎えた。国内外のネットワークやノウハウを生かした支援は、農畜産物の本格輸出や中小企業の海外進出の活性化につながり、ジェトロの進出効果が県内に波及し始めた。少子高齢化の進展などで国内市場の縮小が懸念される中、海外での事業展開は有力な選択肢の一つになりつつある。ジェトロ茨城の西川壮太郎所長は「輸出振興を通して地域を元気にすることが使命」と、本県と海外をつなぐ橋渡し役として、潜在的な需要の掘り起こしを進める考えだ。 (報道部・松崎亘)


県が県産品の輸出事業に本腰を入れ始めた2014年6月、ジェトロ茨城は国内40番目の貿易センターとして水戸市内に開所した。企業の海外進出や農産物輸出の支援を大きな柱に、外資企業の県内進出など対日投資や外国人観光客(インバウンド)向けの本県誘致ツアーなど観光誘客対策にも力を入れてきた。

ベトナム・ハノイ事務所から赴任した西川所長は「茨城は海外展開が遅れていたが、おいしい食べ物に、優れた技術や製品に伝統的工芸品があり“宝の山”だった」と、着任当初を振り返る。

最初に手掛けたのが常陸牛の初輸出。東南アジア地域では富裕層を中心に高品質の和牛や果物などの人気が高まっていることに着目。和牛の輸入を解禁したベトナムへの売り込みに成功し、その後の継続的な輸出の足掛かりをつくった。県によると、常陸牛の輸出量は、14年度の0・4トンから15年度に1・8トン、16年度は3・4トンと年々増加している。

■国内の知名度向上も
県によると、県内青果物の輸出量は、14年度の2トンから15年度は41トン、16年には179トンまで急激に伸びた。主要品目のメロンは、15年度に4・1トンから16年度に13・2トンと3倍増。ナシは14年度の0・3トンから15年度に8・1トンに増加した。輸出する産地や輸出先も年々増えている。

県の輸出担当者は「ジェトロの進出が本格的な農産物輸出のきっかけになった。輸出のノウハウの活用と関係機関の連携強化で増加につなげられた」と話す。一部の産地では、輸出を通じて国内での知名度が向上し、販売価格の上昇や新規の取引先開拓につながるなどの効果も出ている。

西川所長は「『海外で稼ぎ、茨城を元気にする』ことが私たちの存在目的。輸出は難しい、敷居が高いと思っていた生産者たちの気持ちを変えることができたのが一番うれしい」と手応えを口にする。

■海外バイヤー招く
海外の仕入れ担当者(バイヤー)を精力的に招く手法も効果的だった。3年間で41社を本県に招待し、直接売り込む機会をつくることで成約のチャンスを広げた。3月には米英の5社を招き、笠間焼など伝統的工芸品を対象とした商談会では、笠間市の窯元など9社中6社が成約につなげた。

また、海外投資の第一歩となる貿易投資相談を重視し、海外との取引のチャンスとリスクについて説明し、二の足を踏む中小企業を後押し。16年度の相談件数は計1131件で1日平均4件の相談を受けた。

韓国向けに製氷加工機の輸出を実現した今関冷機製氷販売(水戸市)の今関靖将社長は「輸出のノウハウを学び自信がついた。自社の強みをきちんと伝えることができ、国外でもスムーズな交渉ができるようになった」と話す。

今後は、物質の謎や難病治療など幅広い分野の研究に役立つ加速器の海外展開などの支援に力を入れる方針。西川所長は「何もしないことがリスクにつながる時代。海外事業に挑戦する企業を積極的にサポートしたい。気軽に相談してほしい」と訴えた。

★日本貿易振興機構(ジェトロ)
2003年10月、日本貿易振興機構法に基づき、前身の日本貿易振興会を引き継いで経済産業省所管の独立行政法人として設立。本部は東京都港区。国内外に拠点があり、国内は大阪本部、アジア経済研究所と43カ所の貿易センターを構える。海外は55カ国に74事務所。

茨城新聞社