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株主総会の土産、廃止広がる 理由は「公平性に配慮」

6/17(土) 8:00配信

神戸新聞NEXT

 3月期決算企業の株主総会が来週から本格化する。出席した株主にはささやかな土産が手渡されることが多いが、神戸製鋼所(神戸市中央区)と川崎重工業(同)は今年、廃止に踏み切る。首都圏の大手企業を中心とした廃止の動きが兵庫県内にも波及した形だ。

 昨年の土産は、神鋼が千円程度の神戸の洋菓子、川重が自社関連の展覧会チケット2枚と500円のクオカードだった。2015年以前は川重も神戸の焼き菓子を贈っており、2千円未満が“相場”のようだ。両社とも廃止の理由を「遠方の株主は総会に参加できないので、公平性に配慮した」と説明する。

 企業の株式実務担当者でつくる全国株懇連合会(東京)が、上場企業を中心とする約1800社を対象に行った調査では、16年の総会で土産を廃止したのは前年比4割増の56社だった。

 株主総会の実務対応に詳しい大和総研(同)の吉川英徳主任コンサルタントによると、鉄道会社がいち早く廃止した後、16年から大企業を中心にやめるケースが増えたという。「最低投資単位の引き下げで個人が株を買いやすくなり、総会への出席者が増えている。広い会場の確保やトラブル対応など、運営面の負担が重くなっていることも一因」と指摘する。

 「土産を目当てに来る株主はいる。入場時に求められれば渡す」とある県内メーカーの総務担当者は明かす。実際、神鋼は公平性の確保以外の廃止理由に「重要な会議としての意義を明確にするため」を挙げた。

 一方、土産にこだわる企業もある。全株懇の調査では75%の企業が手渡しており、価格は千~2千円とした企業が半数を超えた。

 グローリー(姫路市)は「わざわざ総会に来てもらったことへの感謝を込めている」と、播磨特産の食品(1500円相当)を手渡す。今後も廃止する考えはないという。

 フジッコ(神戸市中央区)は自社製品4個(800円相当)の詰め合わせに、今年は3千円相当のサプリメントを加える。「確認できるだけで過去10年間、少なくとも20年ぐらいは配っている」(広報担当)。

 土産を株主優待の一部と見なす企業もある。携帯電話販売店運営のベルパーク(東京)は、女性社員を中心とした「株主総会お土産選定委員会」が全国各地の洋菓子をよりすぐる。15年からは2種類の選択制とし、地下鉄の1日乗車券と合わせて2千円相当を贈る。ただ「土産目当ての人が多く、総会の出席者は増えていない」(同社)という。

 投資歴50年超という神戸市長田区の無職男性(70)は「総会に行けるのは時間に余裕がある高齢者と社員株主が大半。ネット対応が進み、企業が土産を渡す理由がなくなっている」と、企業の動きを受け入れる。

 大和総研の吉川氏も「企業は個人株主の参加を増やして開かれた総会を目指してきたが、今後は議事のネット中継などを充実させ、より広く参加できる仕組み作りに向かうだろう」と指摘している。(高見雄樹)

最終更新:6/17(土) 11:14
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