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住民企画の「民旅」人気 独自体験プログラム多彩

6/17(土) 16:30配信

神戸新聞NEXT

 これからは「民旅(みんたび)」-。旅先の地元住民が独自の体験プログラムを企画する。兵庫県内でも「ホスト」となった地元住民らが農業体験やワークショップ、街歩きなどを提案。専門に扱うサイトでは現在、県内関連のプログラムが約50に上る。リピーターを呼び込む地域活性化策としても注目を集めている。(坂山真里緒)

 6月上旬、尼崎市のカフェ。「いきおいが良すぎると噴火しますよ」

 「抹茶ビール作り」を体験した。ホストは、日本茶鑑定士という珍しい肩書を持つ田村千夏(ちか)さん=尼崎市。まずは抹茶をたてる。「粒を残さないように」。田村さんの言葉に茶せんを振る腕に力が入る。出来上がった抹茶を入れたグラスに、静かにビールを注ぐ。口にすると、絶妙なバランスの甘味と苦味が広がった。日本茶鑑定士と抹茶ビール。意外な組み合わせは民旅だからこそ。「日本茶が日本人に飲まれなくなっている。もう一度ブームを起こしたい」と田村さん。

 民旅人気の火付け役となったのは、専門サイト「TABICA(タビカ)」(運営会社・ガイアックス)だ。現在、タビカ内でプログラムを提供するホストは全国約1300人。「ゲスト」と呼ばれる利用者(旅行者)はうなぎ上りで、昨年は月100人程度だった新規登録者が、今年4月は約1800人。5月末時点で約1万4千人を数える。

 ミナト神戸の旧居留地の近代建築を巡る街歩きにゲストとして参加した三木さくらさん(42)=宝塚市=は「知っている場所だけれど、視点が面白い。東京など遠方からのゲストの反応を見るのも楽しいし、ホストの解説も詳しかった」。

 現在、県内で提供されているプログラムは、農業体験▽藍染め体験▽古民家再生のための壁塗り体験▽スイーツに特化した街歩き-など。従来型のツアーでは体験できないことばかり。三木さんは「こんなんもあるんや、と気付くきっかけになる。ホストや別のゲストとも交流できるし、また参加したい」と話す。

 昨年末発表された流行情報誌「日経トレンディ」の2017年ヒット予測でも、民旅は10位にランクイン。人口減少が進む中、地域活性化に観光客の呼び込みは欠かせない。地元住民との交流も期待できる。民旅が起爆剤となるか。

■専門サイト、関学大OBが発案

 民旅の専門サイト「タビカ」を発案したのは、関西学院大(西宮市)出身で、ソーシャルメディア運用会社「ガイアックス」(東京)社員、細川哲星(てっせい)さん(27)=東京都。大学時代までを過ごした関西で、親戚が住む山里の祭りが廃れていくのを見たのが原体験という。地域のつながりを深めるイベントや体験を発信しようと企画。2015年6月にサイト運営を開始した。

 ほとんどのプログラムが参加費数千円ほど。ホストには参加費のうち5~7割が支払われる。サイト内のデザインや参加者、参加費の管理はすべてタビカが行うため、ホストの事務的な負担はほとんどない。

 細川さんは今後、人口減少が著しい地域にいる『おもろいおっちゃん』たちをどんどんホストにしたいという。「人と出会いたい、面白い体験がしたい、という動機で人が動くかたちを広めたい」とする。

 観光地でも取り組みは進む。城崎温泉(豊岡市)では3月、観光協会などが体験型プログラムを通年で提供するサイト「ステキ体験旅行社」を設立した。地元の20~40代女性による運営委員が、隠された魅力を発掘。旅館のおかみや寺の副住職らをガイドにした体験型プログラムやツアーの提案に励んでいる。

 温泉の魅力を再確認してもらい、連泊利用や再訪者を増やすことが狙い。7月上旬ごろに新プログラムを導入する予定で、担当者は「現在は日本人向けだが、今後は訪日外国人にも提供していきたい」と話している。

最終更新:6/17(土) 16:39
神戸新聞NEXT

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