ここから本文です

「仮想通貨」マイニングで価格が高騰しているものとは?

6/17(土) 18:20配信

ZUU online

「仮想通貨」への注目度が高まっている。こうした中で、価格が高騰しているものがある。

それはパソコンのパーツだ。パソコンを買うときは完成品を選ぶのが一般的かもしれないが、バラバラに販売されているパーツを買い、組み立てて、自分好みの仕様にすることもできる。実は「仮想通貨」が思わぬパーツの高騰を呼んでいるというのだ。

■「マイニングPC」に使われる部品が高騰中

最近高騰している部品は「グラフィックボード」または「グラフィックカード」と呼ばれるものであり、理由は「仮想通貨のマイニングに使う自作PCに組み込む」需要が一気に高まったためである。

自作PCは、パソコンの価格が高かった90年代中盤に人気となり、安価で性能の良いパソコンを手に入れる手段として用いられた。その後パソコンの価格が相対的に下がったあとでも、ゲームに使うために強力なスペックを持ったものや、静音化を追求したもの、とにかく安く作るものなど、様々な目的で作られている。

グラフィックボードはGPU(グラフィック描画用チップ)が搭載され、CPUの補助的な役割をしている。価格はピンからキリまであるが、今回の高騰は例えば15000円程度だったグラフィックボードが、25000円を軽く超えた上に入荷未定という状況となっている。

グラフィックボードの世界では、AMDが作る「Radeon」や、NVIDIAが作る「GeForce」の二つが大きな勢力となっているが、今回はRadeonに人気が集中している。グラフィックボードは描画性能に直結するため、例えばデイトレーダーなどが複数のディスプレイを使ってチャートなどを表示させる、といった用途にも使われている。

■仮想通貨のマイニングとは?

そもそも「マイニング」とは何だろうか。マイニングには採鉱、採掘と言った意味があり、実はIT的には「データマイニング」など別の意味として使われる場合が多い。今回の「マイニング」は、文字通りPCを使って採掘する意味であり、採掘するものは仮想通貨である。

仮想通貨を物理的に掘るわけではなく、仮想通貨の承認作業を(自動で)代行することにより、その報酬として仮想通貨がもらえるという仕組みだ。

具体的には、ソフトウェアをインストールし、インターネットに接続した状態にし、送られてくる暗号化された仮想通貨の取引承認情報をPCで計算し、その結果を返す。一言でいえば「ブロックチェーンの承認作業を代行し、その報酬として仮想通貨を受け取る」ことである。

■数年置きに突然やってくる需要逼迫

実は数年前にも同様のブームが起き、その時はビットコインがその取扱い媒体となっていた。

しかしビットコインのブロックチェーン承認を専門的にこなすものが現れ、一般ユーザのブームは急速に去って行った。今回は主に「Ethereum(イーサリアム)」が媒体となっている。イーサリアムは2015年7月にリリースされた、ビットコインに次ぐポピュラーな仮想通貨である。

このイーサリアムのブロックチェーンの計算を効率的に行えるのではと考えられたのが、CPUではなくGPU、つまりグラフィックボードである。ロジック的には不明な部分も多いが、CPUよりもGPU、さらにそのグラフィックボードを複数枚差すことにより、効率的にイーサリアムを稼ぐことが出来る…と「推測」されている。

このようにユーザのパソコンの処理能力を借りて大きな作業を行うという考え方は以前から存在し、遺伝子の解析プロジェクトなどが話題となった事がある。それらとマイニングが違うのは、借りたPCのパワーに対して対価が支払われる、という点である。

実際に採掘作業を行って収支報告をしている個人ブログが数多く存在するが、複数枚グラフィックボードを購入した結果、イーサリアムの価値そのものが高騰していることもあり、例えば25万円程度で作成した自作PCの価格を超えるリターンが、数カ月で得られたと紹介している例もある。

先述の「GeForce」と「Radeon」という二大ブランドのうち、Radeonに人気が集中している理由としては、処理能力の差というよりもコストパフォーマンスの良さが評価されている部分も大きい。「安く作って効率的に掘り、確実にリターンを得る」という考え方だ。

■トータルで見れば決してコスパは良くないが……?

「採掘」という言葉からは「高価な仮想通貨を高性能なPCで探し当てる」とイメージされがちだが、そのリターンは先述の通り作業量に比例している。また仮想通貨の流通量が一定であり、高騰していたかと思うとすぐに下落する傾向にあるため、安定的な利益を上げる事は難しい。

今回のブームも、恐らく一過性のものと思われる。パーツメーカとしては稼ぎ時だが、いつ突然終わるとも知れない需要の高まりに対し、グラフィックボードを大きく増産させることも難しいため、結果として品不足のままブームが終わってしまう…ということも予測される。マイニングPCに対してこれから大きな投資を検討している場合は、特に注意深く推移を見守る必要があるだろう。(信濃兼好、メガリスITアライアンス ITコンサルタント)

ZUU online

最終更新:6/17(土) 18:20
ZUU online