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この秋、iOSに本格的AR・AI時代が到来

6/17(土) 11:46配信

ITmedia PC USER

 先週のWWDC 17の基調講演、は「6つのトピック」から構成されていた。こう書くと話題が少なそうだが、実はそれぞれに数十の新発表が潜んでおり、全体としては膨大な情報量で、興味のある話題が他の情報に埋もれて見逃していた人も多いと思う。

【iOS 11で変わること】

 直前に書いた原稿ではハードウェア系の新発表を中心にHomePodとiPad Proについてレポートした。本稿ではiPhone/iPadの新OS、iOS 11のiPhone/iPad共通機能について取り上げる。

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●iOSを使った本格AR時代の幕開け

 この秋、iOS 11が無料アップデートとして登場する。iOS 11はiPhone以上にiPadを大きく進化させるが、iPad関連の変更点は直前の記事でまとめたので、そちらを参照してほしい。ここではiPhoneにも関係のある変更を中心にまとめた。

 iPhone 10年目に登場するiOS 11は、iPhoneとiPadを大きく進化させ、さらに用途を広げるOSになる。

 iPhoneの新たな活用として今後一気に増えそうなのがAR(拡張現実)、つまり現実の世界にiPhoneおよびiPadの情報や仮想オブジェクトを重ね合わせて表示する技術だ。Appleは開発者がこうしたアプリを開発しやすいように、机や床の表面やへりの自動認識などの基本機能をiOS 11に追加されたARkitという核テクノロジーとして用意する。

 WWDCで披露されたデモでは、iPhoneのカメラを机に向けると天板の面を認識してその上にデジタル立体映像のランプやカップを置くことができる様子が示された。カメラをかざす向きを変えると違う角度から見ることもできる。

 これまでiPhoneで一世を風靡(ふうび)したセカイカメラやポケモンGOでは、iPhoneを左右に動かした際に、合成している風景と映像に微妙な位置のズレが起きて仮想現実の夢から覚めてしまうことが多かったが、(掲載した映像では分かりづらいものの)実際に自分の手でiPadを持って眺めて見ると、合成映像が表示される位置はiPhoneを多少速く動かしてもズレなかった。まるで専用のVRゴーグルのように自然な動きだ。

 驚くのは、この自然な動きをiPhoneやiPadのカメラと、そのCPU、GPUそしてジャイロスコープなどのモーションセンサーだけで実現していることだ(つまり現行のiPhoneやiPadで利用できる)。

 特に上の動画の最後に紹介している「Wingnut AR」という開発中のゲームのリアルさはすごかった。テーブルの上にSF映画の戦場が再現されており、爆発などが起きると人が机のへりから下へと落ちていくあたりには最新ARの可能性を感じた。

●iOS内蔵の人工知能、Siriがさらに賢く進化

 一方で、3億7500万ユーザーが利用するiOS内の人工知能、Siriもさらに賢く進化する。

 まず米国英語版では人と区別がつかないほど自然な声に進化。同じ単語に対しても何種類か違う発音のバリエーションが用意されているおかげで、機械っぽさが抜けて、まるで人間が話しているように聞こえる。

 英語圏ではさらに、Siriを旅行先で通訳に使える。英語のフレーズを中国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語の5カ国語に翻訳させることが可能になるのだ。もちろん、日本語圏を含む英語圏以外の人たちがすぐに恩恵を受けられるポイントもたくさんある。

 例えば、Siriは一問一答の人工知能で、「エイブラハム・リンカーンの子どもは?」(実は2人いる)と聞いたとき、これまでは最も該当する確率の高い回答を1個しか答えてくれなかったが、iOS 11のSiriは「ロバート・トッド・リンカーン」と「タッド・リンカーン」といった具合に複数の答えを列挙してくれる。

 また、新しいSiriはユーザーが次に何をしたいか先回りして予想する精度がさらに上がる。例を挙げると、SiriはApple Musicを通してあなたの音楽の好みを既に理解しているので、あなたが気に入りそうな曲をより正確に予想して選曲してくれる。Siriができるのは音声による受け答えだけでなく、iPhoneの中で静かにあなたの行動を見守って、次にやりそうなことを手助けしてくれるのだ。

 SiriはあなたがiOS標準の「ニュース」機能でどんな記事をよく読んでいるかを学び、あなたが気に入りそうなニュースを正確におすすめしてくれる。メールで文字を入力する際は、位置情報を元にあなたが入力しそうな地名などを候補として表示してくれる(アイスランド旅行中は数文字打つと、普段はでてこない「レイキャビック」が入力候補として出てくる)。iMessageで友だちから「何時ごろに着きそう?」と聞かれると、経路探索をして到着時間を計算し結果の到着時間を返答の候補として表示してくれるし、Safariで旅行予約サイトなどから予約を行うと、そのことを認識してカレンダーに入力すべきかを聞いてくる。

 こうして学んだあなたに関する情報は、iPhone単体だけではなく、iPadやMacといったあなたのApple IDを登録した他のアップル機器でも共有される。これまではiPhoneのSiriもiPadのSiriも、MacのSiriもバラバラで、アドレス帳にある誰が自分の配偶者で、誰が自分の兄弟なのか一台一台学習させる必要があったが、これからはたった1度だけ教えれば他デバイスで教え直す必要はなくなる。

 Siriが、ここまであなたについて詳しくなると、なんだか生活を監視されているようで心配になる人もいるかもしれない。だが、実はSiriが観察した情報は必要なとき以外はiPhone、iPad、Macといったあなたの手の中にある機器の中にとどまっている。たまに必要に応じて行われるクラウドとの通信は傍受できないように暗号化され、他の会社はもちろん、Apple自身にも見られることはないとしている(次の記事でも触れるが、もともとユーザーのプライバシー保護を重視しているAppleが、最近さらに本腰を入れ始めている)。

●Siriの知性が他社製のアプリでも活用できるように

 こうしたSiriの知性は今後、Apple以外のアプリにも組み込まれていく。既に昨年のiOS 10からSiriを使って他社製アプリの操作が少しずつ可能になっている。例えば、乗り物の配車やメッセージの送受信、写真の検索、VoIP通話の発信、ワークアウトアプリの操作といったアプリのうち、Siriに対応しているものは、既に音声操作が可能になっていた。

 iOS 11では、それに加えオンラインバンキングアプリの操作や車連携機能、一覧型項目の作成、QRコードの作成なども可能になる。WWDCではその具体例な例として、OmniFocusというアプリでの新規To Do項目作成やCitiBank銀行アプリの操作、Evernoteでのメモの作成、Things 3アプリでのリマインダーの作成、そしてWeChatアプリで友人に送信するQRコードを自動作成といった事例が紹介された。

 また、Siriの高い認識能力も他のアプリに組み込みやすいように、AppleはiOS 11にCore MLという開発者向けの核テクノロジーを用意する。

 iOS 10のSiriに向かって「お寿司の写真を見せて」と言ったことはあるだろうか。あなたのアルバムの中にお寿司の写真があれば、かなり正確にそれを認識して一覧表示してくれる。これは最近、流行りの「機械学習」(Machine Learning)という方法で学習した認識能力だ。

 Core MLを使えば、開発者がお寿司以外にも色々な物の写真を認識させたり、音を認識させたりすることが可能になる。

 Core MLでは、基本技術として写真や動画に写っている顔の認識や追跡、写っている名所旧跡がどこであるかの認識、写真中に写っている文字の認識、書類など四角い形状の歪み認識、バーコードの検出、写っている物体の移動を追跡、認識した物体の登録といった技術を用意している。つまり、こうしたプログラミングが苦手な人でも、今後は勝手にカメラで映った文字やQRコードを簡単に認識して利用できるアプリが開発できるようになる。

 画像認識以外に、文章の解析技術も組み込まれている。その文章が何語であるかの識別に始まり、少し専門的になるが形態素解析(文章を最小単位に分解)、語形変化の解析、品詞の同定、固有表現抽出といった技術が標準装備されている。

 Appleが用意した上記の基本の認識技術に加え、自らiPhoneにもっと複雑な認識機能を加えたい場合には、下の写真にある6種類の機械学習ライブラリも利用できる。

 少し難しい話が続いたが、我々は徐々に人工知能の時代に入りつつある。ここ1~2年で多言語翻訳を代表とする魔法のように賢いWebサービスが出始めていたが、まもなくこのこのCore MLを使って、さらに多くの魔法のようなアプリが登場しそうだ。

 ARkitとCore MLは、OSをアップデートしたからといって即座に恩恵が受けられるものではない(Siriは試せる)。だが、2018年以降にかけて登場するiPhone、iPad用のアプリを劇的に賢く、楽しく進化させる起爆剤となるテクノロジーだ。

●すぐに恩恵を受けられるiOS 11の新機能

 続いて、対応アプリの登場を待たずともすぐに恩恵が受けられるiOS 11の新機能を箇条書き形式で挙げよう。

1)iMessage――iMessageがさらに使いやすく

・iCloud同期:iCloudを経由してiPhone、iPad、MacのiMessageでのやりとりが同期されるようになり、新しいiPhoneに乗り換えても過去のやりとりが読めるようになった。また写真のやりとりなど過去の通信がクラウドにバックアップされ、本体に情報を保持しなくなることでiPhone内の使用メモリが少なくて済むようになる。
・ アプリドロワー:画像やスタンプなどを選ぶアプリドロワーが改良され、項目が選びやすくなる。

2)Apple Pay――まもなく米国で50%の店舗が対応するApple Payが進化

・個人間での支払い:これまでの店頭支払い、アプリ内支払い、Safariブラウザ経由での支払いに加えて、iMessageを通して個人間でもお金のやりとりができるようになる(日本で利用できるかは現時点では不明)
・Apple Pay Cash:受信したお金はApple Pay Cashという仮想のカードに蓄えられる。ここに貯められたお金は、さらに他の人に送金することもできれば、Apple Payでの支払いに使うことも、銀行口座に転送することもできる(日本で利用できるかは現時点では不明)

3)カメラ――年間1兆枚の写真が撮られるというiPhoneのカメラ機能

・新しい保存形式で容量節約:これまでiPhoneの動画はHD動画時代に誕生したH.264という圧縮技術を使って記録されていた。iOS 11では動画が4K解像度になったことを受け、新しいHEVC(High Efficiency Video Coding)方式に切り替えられ、容量が最大で半分ほどに収まり、iOS機器やiCloud上の使用容量節約ができる。静止画写真もHEIC(High Efficiency Image Format)という、やはり容量が半分ほどで収まる新方式で記録する。他の機器に送受信する際にはフォーマットを変換するので互換性が保たれる。
・ポートレート撮影の強化:iPhone 7 Plusで採用されたポートレート撮影(背景をぼかして高級カメラで撮ったような味のある写真が撮れる)が強化され、画質向上したほか、暗い場所に強くなり、光学手ブレ補正機能がつき、TrueToneフラッシュにも対応し、HDR撮影にも対応した。
・DepthAPI:ポートレート撮影はiPhone 7 Plusに搭載された2つのカメラを使って被写体の奥行きや形状を認識しているからだが、この認識した被写体情報を他の開発者も利用できるようになり、写真の自動切り抜きや合成を行うアプリを開発しやすくなる。

4)写真――撮影した写真を記録する写真アプリも進化

・メモリ:過去に撮影した写真を自動的にアルバム形式にまとめるメモリ機能では、新たにペット写真、#TBT(ThrowBack Thursday:木曜日に過去写真を投稿する流行)、スポーツイベント、パフォーマンス、アウトドア、夜遊び、結婚式、アニバーサリー、赤ちゃんの写真を自動的に認識してアルバムを作ってくれる。画面が縦横どちらの向きでも最適な状態でスライドショーを再生する。
・ライブフォト:撮影前後のちょっとした動きが再現できる写真、ライブフォトも進化して余計な部分をカットする機能、静止状態で見せたい絵を援護フレームから選んで差し替える機能、音を消す機能、繰り返し再生機能、再生と逆再生による繰り返し、そしてライブフォトとして記録された映像を長時間露光写真に加工する機能が搭載される

5)コントロールセンター――iPhoneの基本設定を素早く切り替え

・外観:これまで画面下端から上にスワイプすると画面下半分ほどを使って表示されたいたコントロールセンターだが、iOS 11からは全画面表示になる。
・3Dタッチ:音量つまみや明るさのつまみ、さらにはネットワーク関連のボタンなども、対応しているiPhoneで3D Touch、つまり画面を強く押し込めば、さらに詳細設定の画面が現れる。

6)マップ――ショッピングモールのフロア別マップも表示可能に

・大型商業施設内案内:ショッピングモールなどの大型商業施設の案内図が表示されるようになった。フロア別マップも表示でき、ロンドン、ニューヨーク、サンフランススコ、香港といった世界主要都市には、2020年にオリンピックが開催される「東京」も入っている。この後も毎月数百件のペースで追加していくようだ。
・空港内地図:空港のどこに保安器が設置されており、どこにどんなショップが並んでいるか把握できる空港内マップも、世界の30空港を皮切りに提供が始まる。ただし、こちらは日本の空港は入っていなかった。

7)CarPlay――運転中か停車中かを判断

・カーナビ機能:カーナビ機能では新たに速度制限の表示や、左右どのレーンを走ればいいかの指示が追加された。
・Do Not Disturb While Driving:車の運転中にスマートフォンを操作するのは事故の元。iOS 11にアップデートしたiPhoneでは、CarPlay対応の車に接続すると、この機能を勧める画面が表示される。ONにすると画面が真っ暗になり、メッセージなどの受信を一時的に通知しなくなり、メッセージ送信者は「今、運転中なので後で連絡します」という自動返信を受け取る。なお、家族などからの急用で、どうしても連絡を取りたい場合にはそのための抜け穴も用意。無線LANのドップラー効果などさまざまな情報から運転中か停車中かを識別している。

8)HomeKit(AirPlay 2)――Wi-Fi接続オンスピーカーに対応。

 対応家電をiPhone、iPad、Apple Watch上のホームアプリやSiriを使って操作できるようにするHomeKitは、現在ガレージのドア、サーモスタット(温度調整器)、スマート錠前(ロック)、各種センサー、送風機、窓のシェード、セキュリティ機器、スプリンクラー、エアコン、監視カメラ、ドアベル、空気清浄機、照明、加湿器、電源のオン/オフ、水道の蛇口といったものを制御可能だが、iOS 11では新たにもう1つコントロールできるものが加わる。Wi-Fi接続オンスピーカーだ。

・AirPlay 2:iOS機器には、既に再生音を対応スピーカーやヘッドフォンに転送するAirPlayという技術が搭載されていたが、iOS 11ではこれが進化し、家にある複数のスピーカーを同時選択して転送できるようになる。つまり、家の1階と2階のスピーカーで同じ音楽を楽しめたりするようになる。
・Up Next:AirPlay 2を使って家内にあるWi-Fiスピーカーで音楽を再生する場合、家族や友だちなど複数人で次に再生する曲を決められる機能。同じスピーカーに繋がった複数のiPhoneに、この後に再生予定の曲の一覧が表示される。接続している人は誰でも参加して自分のかけたい曲をリストに加えることができる。

9)Apple Music――世界で2700万人が利用するストリーミングサービス

・友だちが聞いている音楽:大勢の友だちが最近聞いている曲をアプリ内に一覧表示する機能。また、友人に自分が聞いている曲やプレイリストを共有する機能も追加される。
・MusicKit:他社アプリがApple Musicの音楽を活用するための開発キット。Nike+Run Clubはこれを用いて自動的にApple Music登録曲でエクササイズ用プレイリストを作成、Anchorを使うユーザーはApple Music登録楽曲を使ってDJ気分に浸れる。また、音楽認識アプリのShazamは、認識した音楽を自動的にMy Musicに追加してくれるようになる。

10)キーボード――大きな画面での操作性を向上

・キーボードの右寄せ/左寄せ:大型のiPhoneでも片手で操作がしやすいように、欧文および日本語のキーボードを右寄せ/左寄せできるようになった。

●App Storeをリニューアル

 こうしたiOS 11におけるさまざまな進化は、iPhone/iPad用アプリの開発者らを再び活気付けてくれるはずだ。しかし、そうしたアプリとユーザーの接点となるApp Storeには既に膨大な数のアプリが登録されており、目当てのアプリを発見しにくくなっているのも事実。そこでAppleはiOS 11で、この世界最大規模のアプリ市場、App Storeに大きくメスを入れる。

 App Storeは現在でも勢いが止まっておらず、毎週5億人が利用しており、累積で1800億ダウンロードを達成している。これは自動ダウンロードやアップデートは含まない数字だ。App Storeを通して開発者に支払われた金額は累積で700億ドル。しかも、その30%はこの1年で支払われたという。

 Appleはこの素晴らしい市場をさらに進化させるにあたって2つのことに注力していく。1つは「ユーザーが安心して使える信頼できる市場にすること」、そしてもう1つが「開発者にとって大きなチャンスを与える市場にすること」だ。

 この取り組みにあわせて、オープンから9年の間それほど大きく変えてこなかったApp Storeの見た目を0からデザインし直した。特徴は以下だ。

・「Today」タブ:かつてはApp Storeを開くたびに新しいアプリが登録されているのを見つけてワクワクしていた。そのワクワク感を再び呼び戻すために、1日に1本おすすめアプリを取り上げ、その開発裏話などを紹介したり、「How To」コーナーと称して、人気アプリの意外に知られていない機能などを深掘りして紹介する。

・「Game」タブ:世界中で大勢の人がiPhoneでゲームをしているので、毎日1本、その日のおすすめゲームを取り上げるタブも用意する。
・アプリ内課金の表示:ゲームに追加できる新キャラクターなどのアプリ内課金商品もApp Storeに項目としてフィーチャーできるようになる。
・「Apps」タブ:ゲーム以外のアプリを1日に1個フィーチャーするタブ。
・刷新されたアプリ紹介ページ:アプリ紹介ページで、雑誌のようなレイアウトを施したり動画を多用したりが可能になる。せっかく作ったアプリの魅力を、思う存分、たっぷりと語れる場所として刷新されている。

 App Storeを刷新する一方で、アプリの営業ルールなども見直しており、ユーザーにレビューを強制することは禁止となった。

 開発者にとってApp Storeがより使いやすい場所になるように、アプリの審査のスピードアップや「Phased Release」への対応も行なっている。アプリ審査は、現在ではほとんどのアプリが24時間以内で完了。多くのアプリは1~2時間で審査が完了するという。

 一方、多くのユーザーを抱える中小規模の開発者にとって重要なのが「Phased Release」だ。こうした開発者は全ユーザーが一気にアプリをアップデートしてしまうと、サーバーに大きな負荷がかかり、サーバーダウンなどのトラブルの元になる。そこで、それを避けるべくユーザーをいくつかのグループに分けて少しずつ反応を見ながらアップデートを許可できるようになるのだ。

 10周年という大きな節目を迎えたiOS。この10年は人類史上、最も勢いよく売れた電子製品のOSとして、ソーシャルメディアブームを加速し、携帯型ゲーム機市場を脅かし、コンパクトデジタルカメラを葬り、多くのアプリ長者を生み出したAppエコノミーで話題をさらってきた。

 その勢いあるプラットフォームも、10年目の後半ではやや盛り上がりが鈍化していた印象はあったが、AppleはこのiOS 11でARやAIなど次の5年、10年の盛り上がりを作るのに十分な基盤を用意し、その一方でアプリ流通の市場も再整備して臨んでいる。再びあのエキサイティングな日々を再現できるのか。成功に必要なピースの半分は今、アプリ開発者たちの手に委ねられた。

(取材協力:Apple Japan)

最終更新:6/17(土) 11:46
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