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”銭湯神”ヨッピーも太鼓判 高円寺・小杉湯が「交互浴の聖地」と呼ばれる理由

6/17(土) 12:42配信

ねとらぼ

 銭湯イラストレーター、enya honamiさんがお気に入りの銭湯をイラストで紹介する「えんやの銭湯イラストめぐり」。第1回は高円寺駅から徒歩5分、「交互浴の聖地」としても有名な老舗・小杉湯を紹介します。

【店内写真など:画像13枚】


●休職中に銭湯と出会い、今では銭湯で働くように

―― えんやさんは今ここで働いているんですよね。自己紹介も兼ねて、銭湯で働くようになったきっかけを簡単に教えてもらえますか。

えんや:元は設計事務所で働いていたのですが、激務で体調を崩してしまって一時期休職していたんです。それで休職中に医師から湯治を勧められて、銭湯に出会いました。

えんや:そうしたら、銭湯に通い始めてからどんどん体の調子が良くなっていったんですよ。“これは恩返しをしなきゃ”と銭湯のイラストを描き始めたら、それがTwitterで話題になって、その絵を見た小杉湯の3代目(平松佑介さん)が声をかけてくれたのがきっかけです。

―― そのとき通っていたのが小杉湯?

えんや:いえ、実は声をかけられて遊びに行ったのが初めてです。自宅から遠くてなかなか行けなかったんですよね。それまでは戸越銀座温泉や蒲田温泉、武蔵小山の清水湯など家に近いところから巡っていました。


●小杉湯名物の「ミルク風呂」

―― ということで、今まさに小杉湯で働いているえんやさんに聞くのもちょっとヘンなんですが、小杉湯の推しポイントを教えてください。

えんや:やっぱりミルク風呂と水風呂ですね。

―― ミルク風呂は小杉湯の看板ですよね。実は僕も少し前まで高円寺住まいで、しょっちゅう小杉湯に通っていました。

えんや:小杉湯は3つ浴槽があってそれぞれ温度が違うんですが(41度、42度、44度)、ミルク風呂は41度と一番ぬるめなのでゆっくり入れるんですよ。お肌に良い成分も沢山入ってるので、女の子の友達が来てくれた時はここで女子会したりもします。

―― これって本当にミルクが入ってるんですか?

えんや:昔は本当に牛乳を入れていましたが、今は名古屋の化粧品メーカーが開発してくれた「ミルク風呂の素」を使っています。これは全国でも小杉湯にしか卸していないらしいです。


●誰もがハマる「交互浴の聖地」

―― 次が水風呂ですよね。ライターのヨッピーさんも小杉湯を「交互浴の聖地」って言ってましたが、何が他の銭湯とそんなに違うんでしょう。

えんや:温度と水質ですね! 小杉湯の水風呂は地下水を浄水して使っているので、夏冬通じて16度前後で、ゆっくり入れる温度だから交互浴にぴったりなんです。循環ではなく“かけ流し”というのも大きいですよね。

えんや:私も水風呂好きでいろんな銭湯の水風呂を回ってますが小杉湯の水風呂は本当に良いんですよ! 水の肌触りが良いし1~2分ゆっくり入れるし塩素臭もなくてちょうどいい深さと広さで……深く整うんです!(整う:交互浴で血行がよくなり最高に気持ちいい状態)

―― (急にめっちゃ早口になったなこの人)

えんや:重要文化財として保護した方が良いと思います。本当に良いです。

―― そもそも交互浴って何なんでしょう?

えんや:交互浴は熱いお風呂と水風呂とを往復する入浴法です。熱いお風呂で血管が開いて、水風呂で血管が閉じる、これを繰り返すと血の流れがよくなって、あと、お風呂と水風呂で交感神経と副交感神経が交互に刺激されるから自律神経も整うんですよ。

えんや:心臓疾患のある方にはオススメしにくいのですが、生活習慣が乱れていたり、疲れが溜まっている人には抜群に効く健康法です! それに水風呂から上がった時が爽快で、この気持ちよさが銭湯価格で楽しめるのは本当にすごいんです……!

―― (この人交互浴のことになると早口になるな……!)

―― あと、ここはサウナがないのに水風呂があるのがずっと不思議でした。水風呂って普通サウナとセットですよね? お風呂と水風呂を往復するスタイルって、よそではあまり見ない気がします。

えんや:十数年前にリニューアルした時、おかみさんの判断で導入したんだそうです。旦那さんには「サウナもないのに」って反対されたみたいですが、今思えばこれがファインプレーでしたね。

―― 今では「交互浴の聖地」ですからね。

えんや:水風呂が付いていても利用しない方ってけっこう多いんですが、小杉湯だとほとんどの人が水風呂を利用しています。


●風呂上がりは待合室のギャラリーでだらだらと

えんや:あとはギャラリーですね。小杉湯は待合室がギャラリーになっていて、1カ月の間、無料で出展できるんです。

―― 普段はどんなものを展示してるんですか?

えんや:高円寺に住んでいる方の作品が多いですね。絵とか写真とか、ジャンルは問わず展示できます。地元のお爺ちゃんが作った作品もあったりして、そのほっこりした雰囲気がお風呂上がりにぴったりです。あと、漫画が並んでいるところも推しどころですね。

―― 僕はヨッピーさんの紹介記事で小杉湯を知ったんですが、記事以前からこんなに人気があったんですか?

えんや:以前からだいぶ盛況だったようですが、ヨッピーさんの記事で若いお客さんがぐっと増えましたね。

―― 銭湯って斜陽産業のイメージがあったので(失礼!)、小杉湯に来て驚きました。全然斜陽じゃねえ! って。

えんや:小杉湯に来るとイメージ変わりますよね。休日の夜なんか番台は忙しすぎて目が回りそうになります。


●小杉湯
住所:東京都杉並区高円寺北3-32-2
電話:03-3337-6198
URL:http://www13.plala.or.jp/Kosugiyu/
営業時間:15時30分~25時45分(最終受付25時30分)
定休日:毎週木曜日


●作者プロフィール
塩谷歩波 honami enya/イラストレーター
 1990年生まれ。東京都出身。小杉湯所属。インテリアコーディネーターの母と描いた住宅パースから建築の道を志す。早稲田大学建築学科に入学、地方都市の研究を経て建物と人の営みについて興味を抱くようになる。2015年、住宅設計で著名な某設計事務所に就職するも、過労により身体を壊す。休職中、医師の勧めで始めた湯治から銭湯の魅力を知り、喋らずとも温かみを感じられる銭湯という場がいつしか心の支えに。設計事務所で目指していた「誰かの居場所になる建物」としての役割を、銭湯が既に担っていたことに衝撃を受け、「銭湯に恩返しがしたい」と始めた都内の銭湯図解がネットで話題となる。2017年小杉湯に転職、ポスターや店内のデザインを担当している。好きな水風呂の温度は15度。

最終更新:6/17(土) 12:50
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