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ロンドン火災は死者17人 “外張り断熱工法”は日本も危険

6/17(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 英国ロンドンの24階建て高層マンション「グレンフェル・タワー」で14日に発生した大規模火災は死者17人、負傷者70人以上、少なくとも数十人が行方不明となる惨事となった。

 建物は1974年に建てられた低所得者向けの公営住宅。難を逃れた住民たちは火災報知機やスプリンクラーなど防火体制の不備を指摘しているが、ここまで被害が拡大したのは、大規模修繕工事が原因のようだ。昨年、マンションは1000万ポンド(約14億円)をかけて外壁を新しくしたばかり。外壁を伝って一瞬で火が燃え広がったことから、外壁に燃えやすい素材が使われた可能性が指摘されている。

「火災の映像を見る限り、日本でも広く知られている“外張り断熱工法”が外壁に施されたのではないかと思いました。外張り工法はウレタンなどの発泡プラスチック系素材を原料とする断熱材を外壁に張るだけなので、壁の内側に断熱材を詰めるよりも工期が短縮でき、コストも低く抑えられる。もちろん、防火対策で表面に不燃性の塗料でコーティングが施されていますが、原料自体に可燃性のポリスチレンなどが使われているため、いざ着火すると激しく燃焼します」(ある1級建築士)

■ラスベガスや北京でも同様の事故

 実際、9年前に発生した米ラスベガスのホテル「モンテカルロ」の火災や、2009年に中国・北京で起きた30階建てのビル火災は、いずれも可燃性の断熱材を使用した外装材に花火などが引火し、急激に燃焼したとされる。まだ日本でこの手の大規模火災は起きていないが、3年前、国立研究開発法人「建築研究所」が外装材の危険性について注意喚起している。

「さすがに防火規制が厳しい日本の最近のタワーマンションなどは、外壁や建材に厳しい要件を満たした不燃材が使われており、耐火構造がバッチリ。ただ、30年以上前に建てられた鉄筋コンクリート造のマンションは、外壁改修などの際に可燃性の断熱材が外張り方式で使われてきました。一戸建て住宅の火災事例を調べてみると、外張り断熱工法が原因だったというケースが少なくありません。経年劣化で表面の不燃性塗料が剥がれ落ちていたり、リフォームしたばかりでも施工が乱暴だと、ズレた断熱材の部分から着火する恐れがあります」(前出の1級建築士)

 今後、ロンドン火災の死者はさらに増える見通し。英内務省のハード閣外相(警察・消防担当)は同様の大規模改修を行った高層住宅について一斉点検を実施することを明らかにしたが、日本も“外張り断熱工法”でリフォームしたマンションを調べた方がよさそうだ。