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死亡生徒の父、再発防止へ学生に講義 浜名湖ボート転覆事故7年

6/17(土) 9:30配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 2010年、浜名湖で県立三ケ日青年の家(浜松市北区)のボートが転覆し、愛知県豊橋市立中の女子生徒=当時(12)=が死亡した事故は18日で7年を迎える。この事故後も、栃木県那須町で高校生ら8人が死亡した雪崩事故など「教育」の場で子供が命を落とす事故は後を絶たない。女子生徒の父親(58)は教諭など命を預かる職業を目指す学生に思いを語り、防ぐことのできる悲劇との決別を訴える。

 名古屋市の椙山女学園大。15日、小学校や幼稚園の教諭、保育士を志す教育学部の3年生約30人が集まった教室に女子生徒の父親の姿があった。2015年から講師を務める「命の授業」。元小中学校教諭で同大講師の林宗弘さん(62)=愛知県豊田市=の招きで実現し、今回で4回目になる。

 どの時点でどんな判断があれば娘の死を防げたか-。事故の状況を学生と整理した。那須の雪崩事故を「ボート事故と背景がよく似ている。後から考えれば誰でも『まずい』と分かる環境下で、再び取り返しの付かない事故が起きてしまった」と女子生徒の父親。引率教諭の大多数が危険性を認識していたとされながら、待ったを掛けられなかったことに対する「なぜ」は今も変わらない。

 「娘が生きていれば、今年20歳。ちょうど皆さんみたいな感じだったのかな、と思って」と語った女子生徒の父親の姿に、豊橋市出身の女子学生(21)は涙が止まらなかった。

 「子供を預かる職業を目指す皆さんには、関心を持って過去にあった事故を知り、事故の原因や背景を自分の役割として学び、行動できるようになってほしい」。女子生徒の父親は授業をこう結んだ。

 幼稚園教諭を目指す浜松市中区出身の女子学生(20)は「おかしいと思ったら空気に流されず声を上げる勇気を持ちたい」と話し、女子生徒の死を無駄にしまいと誓った。



 <浜名湖のボート転覆事故>2010年6月18日、三ケ日青年の家で海洋活動中の豊橋市立中の生徒18人と教諭2人が乗ったカッターボートが悪天候で航行不能となり、えい航中に転覆。ボートに閉じ込められた女子生徒が死亡した。静岡県警は13年、事故当時の所長や校長ら6人を業務上過失致死容疑で書類送検。静岡地裁は15年、元所長に有罪判決を言い渡した。女子生徒の両親は、不起訴となった5人のうち元校長の処分を不服として静岡検察審査会に審査を申し立て、静岡地検は同検審の不起訴不当の議決を受けて再捜査したが、今年3月に再び嫌疑不十分で不起訴処分とした。学校側の刑事上の過失は認定されなかった。

静岡新聞社